「母集団と標本」と「標本平均の分布」の基礎・基本
「母集団と標本」は中学校の復習なので、クラスの実態に応じてはすぐに問題から取り掛かることができる。「標本平均の分布」は➀標本平均を活動によって理解させ、母集団の平均・分散と比較する。➁標本平均の平均・分散・標準偏差は、➀の活動で分散と標準偏差が変化したことも着目させ、情報を整理して標本平均の分布の問題を解かせる。

1 授業のアウトライン
① 教科書の例示問題1・練習問題1(5分)
② 例示問題2・練習問題2(25分)
➂ 教科書傍用問題集(10分)
2 教科書の例示問題1・練習問題1はこう授業する
『母集団と標本』は全数調査と標本調査が区別できることが目標である。しかし、これは中学校で習っているので、クラスの実態に応じてはすぐに例1(教科書104ページ)に入るのも一つの方策である。
他は読み物として扱う。
3 例示問題2・練習問題2はこう授業する
流れとして『標本平均の平均、分散、標本偏差』の公式を確認させ、問題を解かせる。まずは『標本平均』の説明から始める。
教科書106ページ。冒頭から読みます。(7行目の終わりまで読ませる)
例えば、 \overline{X} =\frac{X_1+X_2+ \ \cdots X_n}{n}の式に2を代入します。(下記のように板書する)
\overline{X} =\frac{X_1+X_2}{2}
例えば、 \overline{X} =\frac{X_1+X_2+ \ \cdots X_n}{n}の式に3を代入します。(下記のように板書する)
\overline{X} =\frac{X_1+X_2+X_3}{3}
このようにXの平均とることで、平均や分散などがどのように変わっていくかを調べます。
教科書に戻ります。(8行目から13行目までを読ませる)
横に表があります。縦にしてかきなさい。
教科書の表にはEはないが、Eまで求めるように指示をする。
(教師がかいたように)平均(m)と分散(σ^2)をかきなさい。
ここでは分散(σ^2)を求めることがメインではないので、板書を写させる程度でよい。
教科書に戻ります。(14行目から16行目までを読ませる)
ノートにかきます。(図a)
(\fbox{1}, \fbox{1})のようにかきます。(図b) これはカード\fbox{1}と\fbox{1}を引いたということです。
平均をとります。(図c)
例えば、\overline{X}=\frac{1+1}{2}=1、\frac{1+2}{2}=1.5です。残りも同じようにかきなさい。(図d)
\overline{X}ごとの確率分布の表は教科書にあります。縦にしてかきます。
教科書の表にはEはないが、Eまで求めるように指示をする。
(教師がかいたように)平均(E(\overline{X}))と分散(V(\overline{X}))をかきなさい。
上の表と比較します。平均は変わりましたか。(変わっていないです)
分散は変わっています。分母は何倍されましたか。(2倍です)
その後、教科書(107ページ)のまとめを写させる。
演習問題は問2→例2の順で解かせる。例2は導出も母平均の求め方からかいてあるが、後の問題には使わないので例2は後回しにする。
107ページ。問2を読みます。
以下の情報の整理の仕方は「『標準化して一般の確率変数を求めること』の基礎・基本」と同じである。
m, σ, nをかきだします。
(ⅰ) (標本平均の平均)は何ですか。(m=20です)これは母平均と変わりません。
(ⅱ)(標本平均の分散)は何ですか。\left(\frac{σ^2}{n}=\frac{\left(\sqrt{5}\right)^2}{10}=\frac{1}{2}です\right)
(ⅲ)(標本平均の標準偏差)は何ですか。\left(\sqrt{\frac{1}{2}}=\frac{\sqrt{2}}{2}です\right) 標本平均の分散に√をつけます。
例2も同様に解かせる。
4 例示問題3・練習問題3はこう授業する
『標本平均の分布』も同様に解くことができる。
107ページ。例題1を読みます。
m, σ, nをかきだします。
(ⅰ) (標本平均の平均)は何ですか。(m=50です)これは母平均と変わりません。
(ⅱ)(標本平均の分散)は何ですか。\left(\frac{σ^2}{n}=\frac{10^2}{25}=4です\right)
(ⅲ)(標本平均の標準偏差)は何ですか。(\sqrt{4}=2です)標本平均の分散に√をつけます。
(ⅳ)(\overline{X}の標準化)をするには、どんな式がかけますか。\left( Z=\frac{\overline{X}-50}{2}です \right)
P(48≦\overline{X}≦51)はどのように変形しますか。\left(P\left(\frac{48-50}{2}≦Z≦\frac{51-50}{2}\right)です\right)
正規分布表を用いた確率の詳しい求め方は、以下のリンクからご覧になれます。