苫をあらみ
和歌に見られる表現
「名詞+を+形容詞の語幹+み」の訳しかたを、和歌を具体例にして、理解させる。

一首目
秋の田のかりほの庵の苫をあらみ
わが衣手は露にぬれつつ
天智天皇 小倉百人一首
百人一首の最初に出てくる和歌です。
声を出して読みます。さんはい。
苫とは藁で編んだむしろで作った屋根のことです。
中から見あげると隙間から光が見えています。
秋の田の近くの
仮小屋の
苫の編み目が粗いので
私の袖は
露に濡れていくばかりだよ
訳です。
「苫をあらみ」
は
何と訳されていますか。
苫の?
苫の網目が荒いので。
正解!
「苫をあらみ」
は
「苫の編み目(が)荒い(ので)」
と訳します。
二首目
瀬をはやみ
岩にせかるる滝川の
われても末にあはむとぞ思ふ
崇徳天皇 小倉百人一首
これも百人一首です。
読みます。全員で、さんはい。
川の流れ□とても速い□□、
岩にせき止められる 急流が
二つに分かれてもまた 一つになるように、あの恋しい人といつか逢いたいと思う。
訳です。
□に入る「ひらがな」は何ですか?
相談してもかまいません。
川の流れ(が)速い(の)(で)
正解!
「瀬をはやみ」
は
川の流れ「が」速い「ので」
と訳します。
三首目
山ふかみ
春ともしらぬ松の戸に
たえだえかかる雪の玉水
式子内親王 新古今和歌集
これは新古今和歌集の有名な歌です。
読みます。
「山ふかみ」とあります。
一字ひらがなを足すとしたら
どこに、どんなひらがなを足しますか?
ノートに書きます。
(山が深いので)
春が来たともわからない山家の松の戸に、
一滴、また一滴としずくを落とす雪どけの水よ。
訳「山が深いので」がヒントです。
1山がふかみ
2山をふかみ
どちらですか?
1?
2?
挙手により、理解できているかを確認する
山「(を)」深「(み)」
は
「山(が)深い(ので)」
と訳します。
苫 を あら み
瀬 を はや み
山 を 深 み
名詞+を+形容詞の語幹+ み
まとめるとこうなります。
名詞+(を)+形容詞の語幹 +(み)
は
名詞 (が) 形容詞の状態な (ので)
と訳します。
練習問題
1車がはやいので
2木がおおいので
3◯◯が◯◯ので
1と2は古文ではどう書きますか?
ノートに答えを書きます。
1車を速み
2木を多み
3
机間巡視して◯をつける
できた生徒には
3を作らせる。
3が作れたら前に見せにきます。
「作品」と「名前」を黒板に書かせます。
順番に読ませてから、訳を言わせます。