「先づ隗より始めよ」(十八史略)を「抑揚」を通して理解させる
「死馬を買う」→「生きている馬はなおさら買う」の間に,「生きている馬の方が価値がある」という前提があることを理解させることで,賢士が集まった理由を理解させた。

「死馬すら且つ之を買ふ。況んや生くる者をや。」の意味する内容を解釈する。(訳はしてある。)
「死馬の骨」を,いくらで買ったのですか。(五百金)
みんなは,生きている馬を持っているとします。あるとき,先生が死馬の骨を五百万円で買ったという話を聞きつけました。
先生は,みんなの馬をいくらくらいで買うと考えますか。
列で指名。少なくとも,五百万円以上でなければ,おかしい。
板書
死馬の骨…五百金
∧
生きた馬…それ以上
この不等号が,「抑揚」形の原理である。
昭王は賢士を募集していました。
賢士は,集まりましたか。(集まった)
どこから分かりますか。(士争ひて燕に趨く)
それは,賢士たちがどのように考えたからですか。必要な言葉を補いなさい。
次のような図が完成する。
板書
【郭隗】(二字) …【宮】(一字)を築いてもらう
∧
【賢士】(二字)…それ以上
良い待遇をアピールするために,最も身近な家臣・郭隗に贅沢をさせたのですね。
この話から生まれた故事成語「先ず隗より始めよ」は現在,どのような意味で使われていますか。(事をなすには,まず自分から行動を起こすべきだ。)
ところで,この話の中で最も得をしたのは誰ですか。
①昭王 ②郭隗 ③賢士 の中から選ばせ,簡単に理由も発表させる。
②郭隗が,自身は何もしていないのに「千里の馬」の例を出したことで宮を築いてもらっているあたり,得をしていると言える。
この「抑揚」をはじめ漢文には様々な句形があるが,それらは論理を磨いて少しでも自分が利益を得ようという文化を背景にしたものである。そのことを頭に入れておくと,文章の見方も違ってくるだろう。
使用教科書「新精選国語総合」(明治書院)