国語力の一つ”主題読み取り”スキル①
教科書の手引きを通して「主題」を読み取る授業の紹介。
その1。

1学期国語最後の教科書教材は「ちかい」という物語教材です。(東京書籍)
ざっと,次のようなお話です。
「少女ヤミーナは,狩人になるのが夢だ。ある日ヤミーナは,かあさんを殺された赤ちゃんゾウと出あう。おびえるゾウをなだめながら,ヤミーナはゾウのむれをもとめて草原をあるきだした…。」(「評論社」からの紹介)
この単元の学習のめあては次です。
出来事に注意して物語の流れをまとめ,最も強く心に残ったことを短い文で表そう。
教育業界では,「主題の読み取り」と呼んでいます。
主題とは,「作品の中心となる考え」です。
教科書には,主題を読み取らせるために次の手引きが掲載されています。
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【最も強く心に残ったことを短い文で表そう】
物語を読んで,最も強く心に残ったこと,その物語が自分に強く語りかけてきたことを,自分の言葉で一文に書き表そう。
・ 物語の中で最も大切だと思う一文を選ぶ。
・ その文を選んだ理由を考える。
・ 選んだ文と,その理由をふまえ,最も強く心に残ったことを一文にまとめる。
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3つの手順が示されています。
この手順に沿えば,子ども達は主題を読みとることができるのか?
試しにやってみました。
まずは,番号を打たせました。
① 物語の中で最も大切だと思う一文を選ぶ。
② その文を選んだ理由を考える。
③ 選んだ文と,その理由をふまえ,最も強く心に残ったことを一文にまとめる。
① 物語の中で最も大切だと思う一文を選ぶ。
「最も大切な一文に線を引きなさい」
子ども達は,線を引きました。
次の3つが出ました。
◆ あぶない目にあっても,希望をなくしてはいけないよ。
◆ あたし,ハンターにはならない。
◆ ヤミーナはそっと,自分自身にちかった。
② その文を選んだ理由を考える。
「選んだ理由をノートに書きなさい」
【あぶない目にあっても,希望をなくしてはいけないよ。】
・ この(おじいさんの)言葉で,ヤミーナは希望をとりもどして,母さん達が来るのをまったと思うから。
【あたし,ハンターにはならない。】
・ あんなにハンターになりたかったのに,自分があぶない目にあってハンターになるのをやめたところだから。
・ ヤミーナが「ハンターになりたい」から「ハンターになりたくない」という考えに変わるところだから。
・ これが,ヤミーナのちかいの文だから。
・ なぜなら,ヤミーナの気持ちが完全に変わったところだからだ。今までは,ヤミーナはずっとハンターになりたかったので,その考えが変わるところが大切だと思う。一番最後に「ヤミーナは,そっと自分自身にちかった」と書いてあるが,そこは,「あたしハンターにはならない」をどういうふうに言ったかが書いてあるので,(最も重要な文は)「あたしハンターにはならない」だと思う。
【ヤミーナはそっと,自分自身にちかった。】
・ 「ちかった」という文字は,題名に書いてあるから一番大切だと思う。
・ 話の題名でもあり,ヤミーナの考えが変わった文でもあるから。
・ この物語の題は「ちかい」だから「ちかった」と書いてあるこの文が一番大切だと思う。「ちかう」の意味は,「かたく約束する」「かたく決心する」という意味だからすごく大切だと思う。
理由を読むと,子ども達の選択の基準は「ヤミーナの考えが変わったところ」であることがわかります。
これは,偶然ではありません。
主題の学習に入る前,「中心人物の考えががらりと変わったのはどの文からか」を問い,討論をしました。
中心人物の考えががらりと変わった部分を「ピナクル」といいます。
このピナクルの学習が今回の最重要文選択の役に立ったはずです。