日本神話の読み聞かせシリーズ4「天岩戸」
天岩戸にお隠れになった天照大神。光が消えたとき、取り戻す方法とは何か。

須佐之男命は、勝った勢いでいい気になり、天照大御神の作った田の畦を壊し溝を埋め、御殿の中に大便をまき散らしました。みんながあきれてみている中で、一人天照大御神だけは少しもとがめようとせず、決して悪い気持ちでやったのではないと考えました。
須佐之男命の乱暴はだんだんひどくなり、機織りの御殿に向かって、まだらの天馬の皮を剥いで投げ込みました。機織機は壊れ、織り姫の中には驚いて機織り機にぶつかって死ぬものまででました。
さすがの天照大御神も、これ以上ほっておけない、自分の責任だと感じて、心を清め高天原を清めようと、天の岩戸の中に、岩戸を立てて閉じこもってしまいました。
太陽の神である天照大御神が隠れたのですから、あたりは真っ暗になってしまい、夜ばかりの世界になってしまいました。悪い神も騒ぎだし、災いが吹き出すように出てきました。
困った神様達は、早く天照大御神に出てきてもらおうと相談を始めました。一番知恵のあるおもいがねの神に、いい方法を考えてもらうことにしました。
まず、長鳴き鳥を連れてきて「コケコッコー」と鳴かせ朝を告げました。
次に、大きな鏡を岩戸の前に置きました。
そして、神に捧げるよい言葉を唱えました。
力の強いたぢからおの神が岩戸の陰に隠れました。
最後に、あめのうすめの命が大きな樽の上で裸踊りをされました。このダンスを見て神々はあまりにもおかしくて大笑いをしました。
あまりにもにぎやかになったので、天照大御神は、気になってそっと隙間から外をごらんになりました。私が隠れて外は真っ暗なのにどうしてみんな楽しそうなのかを尋ねました。
あめのうずめの命は答えました。
「あなたよりもっと尊い神がおいでになったので皆喜んでいます」
そのとき、ふとだまの命はそっと鏡を差し出しました。鏡には、光り輝く女神が映りました。天照大御神は、それが鏡に映った自分の姿とは気づかず、さらに身を乗り出して隙間を空け、ごらんになろうとされたところを、たぢからおの命が岩戸をつかんでぐいっと引き開け、天照大御神を外へお出ししました。
こうして高天原に再び光が戻ってきました。
長野県に、戸隠山という山があります。岩戸を引き上げたとき、力が余って岩が下界に飛んでいき、それが戸隠山になったと言い伝えられています。