斎藤直樹氏のパラレルターンの指導
スキーの醍醐味はスピードである。バランスをとり自由に滑ることができたとき、開放感と爽快感が味わえる。スキーは誰でも滑れるようになる。(TOSS体育授業研究会推薦) No.1216153 http://www.chiba-fjb.ac.jp/masao_n/sido/else(9)/ski4.html

TOSS体育北海道スキーセミナーが毎年開かれ、私も参加させていただいている。齋藤直樹氏は講師として活躍され、私も何度か指導を受けている。
齋藤氏のスキーは滑らかで切れ味の鋭いすべりである。パラレルターンも見事である。私もパラレルターンが上達したいと考え、齋藤氏から指導をしていただいた。
プルークボーゲンができるようになると、スキーを平行にして滑るパラレルターンに憧れる。パラレルターンができるようになると、スピードを出して斜面を自由に滑り降りできるようになる。
スキーの醍醐味はスピードである。バランスをとり自由に滑ることができたとき、開放感と爽快感が味わえる。
スキーは誰でも滑れるようになる。
1.パラレルターンの基礎感覚づくり
パラレルターンに必要な基礎感覚として次の三つを示している。
① エッジング感覚 スキーを操作する感覚
② スピード感覚 目と身体をスピードに慣らし、恐怖心を克服する感覚
③ バランス感覚 転ばないように斜面と雪質に応じて身体のバランスをとる感覚
エッジング感覚とは、スキー板に体重をかける、スキーを傾けエッジを立てる、スキー板をひねり回すなどスキーを操作する感覚である。
これができていないとパラレルターンは難しい。自由にスキーを操作する基本動作ができないからである。
スピード感覚は自転車をこぐ程度のスピードである。スピード感覚はエッジング感覚と密接な関係にあるという。停止の技術を身につけ、目と身体をスピードに慣らしていくようにする。
バランス感覚は、坂道で目を閉じ、10秒間片足をあげ続けるくらいのバランスが必要である。これは最初には難しいが、練習をしていけば身に付いていく。
パラレルターンができるうになるには、以上の感覚作りを行っていく。それが近道である。
2.パラレルターンの基礎技能づくり
基礎感覚づくりの次は基礎技能づくりである。斎藤氏はパラレルターンの基礎技能を2つのスキルに分けて考えている。
① 直滑降・斜滑降の基礎技能
直滑降とはスキーを平行にしたまま直線に滑り降りすることである。斜滑降とはスキーを平行にしたまま、斜面を斜めに直線で滑り降りることである。
齋藤氏はパラレルターンとは、「スキーを平行にしたまま、直滑降と斜滑降を連続させること」であると述べている。
パラレルターンができるようになるためには、直滑降・斜滑降が十分にできていないと上達は難しい。
② 膝押しターンの基礎技能
パラレルターンの一番のポイントは、「スキーを平行にしたままターン(方向を変える)できる」ことである。そのためには膝押しターンの基礎技能が必要である。
膝押しターンは、ストックをはずし、両膝を両手で押さえ、行きたい方向に向かって押し続ける練習で身に付く。
この段階でスキーを平行にしたままのターンができるようにする。ゆるやかなターンから少しずつ練習していくようにする。
3.パラレルターンの運動課題づくり
最後は運動課題作りである。運動課題づくりには緩斜面を使い次のように行っていく。
① 縦長ターン
② 浅いターン
③ 深いターン
このように段階を踏んで、少しずつ並行スキーができるようにしていく。
4.パラレルターンのつまずきと指導のコツ
パラレルターンの基礎練習でのつまずきには次のものがある。齋藤氏はそれぞれのつまずきに応じて、具体的な指示を行い効果的な指導をしている。
① 歩行滑走の導入で足踏みできない場合
両方の膝を山側に少し倒しなさい。
スキー靴の中で、谷川の指を持ち上げなさい。
② ジャンプ斜滑降・ジャンプターンができない場合
ストックを外し、胸の前で束ねて両手で持ちます。ストックが水平になるようにします。
このストックが斜面と水平となるよう意識して滑りなさい。
ストックを持って、直滑降から左(右)にターンします。
連続して2ターンします。完全に停止するまでストックを斜面と水平に保ちます。
基礎技能練習でのつまずきには次のものがある。
① スキーの先端が徐々に狭くなっていくので「ハの字」に戻る。
スキーの先が狭くならないよう、両膝の間にバスケットボールを挟んでいると思って滑りなさい。
② バランス感覚がなく、転倒が怖いので平行にならない。
片足あげた斜滑降・ターンを練習させる。
最後は運動課題でのつまずきである。両膝を両手で押していた時はスキーが平行になるが、両手を放すとスキーがハの字に戻ってしまう場合である。次の指示が効果的であると述べている
両膝に目玉がついていると思いなさい。両目で同時に進む方向を見るのです。
5.パラレルターンの発展学習と補充指導
基礎感覚の診断項目としては、片足ターン、歩行ターン、ジャンプターンがある。それらの項目ができるか、できないかで診断する。
基礎技能の診断項目としては、膝押しターンができるか、できないかで診断する。
最後は運動課題である。パラレルターンができるかで診断する。それぞれに、できる場合は発展学習、できない場合は補充学習を行うようになっている。
パラレルターンの楽しさを指導してほしい。