【命の授業】「木村沙織さんの親友の授業」(横山友美佳さんの生涯)
あるクラスでの調査では、死んでも生き返ると考えている児童が7名、生き返ることもあるが2名、分からない5名、生き返られないが10名だという。よいことをした人は生き返るなどと考えている子もいる。重大な事件を起こした犯人が「人が死ぬところを見たかった。」と述べたということもある。「死」を扱うことによって、「生命の尊さ」を学ばせることは、急務である。

【命の授業】「木村沙織さんの親友の授業」(横山友美佳さんの生涯)
1.授業について
ある小児科専門医の話である。
自閉症スペクトラム(旧アスペルガー症候群・旧高機能自閉症)の人は、死をどう捉えているのか分からない行動を取ることが多い。
「死とはなにか?」と聞くと、「輪廻」と言うものがあれば、「その始まり」とか辞書的な回答をする。自分が死ぬということを考えられない。
事件が起こって、「人が死ぬところを見たかった」と言う犯人がいるが、本当にそうなのか。PDDの子たちは後から理屈をつける。
適当なことを言っている可能性もある。本当にそう思って言ったのかどうかは分からない。
やるか、やらないか、普通なら止める。躊躇する。その躊躇するという気持ちが育っていない。
学校で、死を扱うべきである。死は、すべてが終わること。もう戻らないことを教えないといけない。
本授業は、翔和学園の熊田賢人氏が、学園で実践した授業の追試実践である。
子供たちに、「死」という逃れられない運命を目の前にして、あきらめずに夢をもって生き続けることの凄さを学ばせることができる授業である。同時に、「死」を扱うことで、「今という瞬間を大切に生きるべきだ」という最後の横山さんのメッセージを受け止めることができる。
2.授業の内容
(1)横山さんの夢
(画面1)
バレーボールの木村沙織選手です。
(画面2)
全日本代表の選手です。
その隣のチームメイトは、「横山友美佳さん」と言います。
全員で言ってごらんなさい。(横山友美佳さん)
今日は、横山さんのお話です。
(画面3)
①横山さんは、小3でバレーを始めました。
②中2で、山梨県代表。
③高1で、ワールドグランプリ
④アテネオリンピックでの代表選手の有力候補でした。
(画面4)
横山さんの夢は何だったでしょうか?
子供「優勝すること」
子供「日本一になること」
バレーボールで日本一になることでした。
(画面5)
日本一になるため、毎日厳しい練習を続けていました。
①高校の授業が終わってから、チーム練習、自主練習、雑用と続きます。
②1年の半分が校内合宿。練習中に意識が飛ぶこともありました。
③睡眠時間もしっかり取れない日々が続きます。
④このように思っていたそうです。「読みます」
子供「(画面を見て)逃げ出したい。一般性のようにまっすぐ家に帰りたい。」
子供「みんなで逃げれば怖くない。バレーボールはもうイヤだと真剣に語った。」
それでも、友美佳さんはあきらめません。
友美佳さんを支え続けたのは、日本一になるという夢でした。
(画面6)
夢は叶ったのでしょうか?
東京で勝ち残り、インターハイと国体の切符を手に入れました。
インターハイ 3位
国体 2位
と表示。
(画面6)
友美佳さんには、新しい夢ができました。
北京オリンピックに出場すること。
その夢は叶ったのでしょうか?
(画面7)
しかし、5ヶ月後、横山さんの夢は、「大学進学」になります。
横山さんに、何が起きたと思いますか。
子供「病気?」
子供「怪我をした。」
(画面8)
運命の日、高2の誕生日の直後、監督から呼ばれました。
全日本の代表の合宿への参加を告げられたのです。
当時の新聞には、身長187cmの「大型新兵器」と呼ばれ、注目を集めました。
友美佳さんは、オリンピックに出場できたのでしょうか?
(画面9)
その代表合宿に呼ばれた、正にその日、ガンであることが分かりました。
5年後の生存率が20%という末期がんでした。
(画面10)
治療が始まりました。
友美佳さんは、バレーに復帰でいたのでしょうか?
(画面11)
もうバレーを続けられなくなりました。
そして、大学進学の夢を新しくもちました。
横山さんは、大きなチャレンジをします。
(画面11)
しかも、一流大学です。
これまでは、治療のこと、病気のことで不安になることがいっぱいありました。
でも、大学受験という新しい夢が、生きる原動力になっていきました。
(画面12)貼り付けた動画を流す。
そして、入院しながら、受験勉強に取り組んでいました。
(画面13)
私立最難関と言われる早稲田大学。
合格したでしょうか?
挙手で確認。
見事に合格しました。
(画面14)
そして、2006年2月21日、とうとうこの日がやってきました。
(画面15)
友美佳さんは、新しい夢をもちます。
バレーボールができないと分かってから、「日本の~~~こと」という夢です。
何でしょう?
子供「ためになること」
子供「ために、バレーボール選手を応援しに行くこと」
「日本の企業に入社して、さらに中国の北京に派遣され、北京で仕事をすること。」でした。
病気が完治して、大学にも通い始めました。
大学のサークルができない分、必死に英語の勉強をし、アルバイトをしてお金も貯めました。
(画面16)
いよいよこれから!という時にガンが再発します。
「もう限界、もう2度とあの治療をするのは、耐えられない」友美佳さんは、思いました。
ドクターから、次の3つの選択肢を告げられました。
①もう一度強い薬。完治を目指す。
②弱い治療。病気と共存する。
③治療をしないで、残された時間を楽しく生きる。
そして、自分でもう1つ選択肢を足しました。
④自ら命を絶つ
友美佳さんは、何番を選んだのですか?
一気に重い空気になる。
挙手で確認。
②③が半数ずつ。
④を選んだという子が多かった。
(画面17)
裏切られても、少ない可能性でも、
もう一度信じて命をかけてみるしかない。
それが生きるための唯一の選択肢だから。
横山さんは、もう一度治療を選びました。
ガンは完治したでしょうか。
(画面18)
待っていたのは、2度目の再発です。
その時は、「共存するか?」「死か?」の2つの選択肢しかありませんでした。
どちらを選びましたか?
(画面18)
このような横山さんの生きる姿は、親友の木村沙織さんや、周りの人への支えになっていました。
これは、木村さんから、横山さんにあてた手紙です。
手紙の最後の部分です。
読みましょう。
ゆみかには、強く生きるってこと、どんなことがあっても絶対にあきらめないってこと、学びました。
私、ゆみかの分までバレー頑張るからね!
自分が苦しい時でも、人に優しく、笑顔を忘れない、強い人…。
私もゆみかみたいになるからね!!
(画面19)
本には、横山さんからのメッセージが詰まっています。
本の最後の部分を朗読している映像を流す。
最後に何と言っていましたか?
言って御覧なさい。
「今という瞬間を大事に生きること」