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『舞姫』(森鴎外)第1時

高校3年現代文(使用教科書は明治書院「精選現代文B」)。
本時は、事件0(話者の回想場面)である。
話者がドイツからの帰国の途にあり、「人知らぬ恨み」を抱くようになったドイツ滞在中の出来事を振り返る形でこの後物語が展開することを理解させる。

場面を次のように分けて扱っている。(頁数・行数は明治書院「精選現代文B」による。)

0(事件が始まる前。回想。) p324 はじめ「石炭をば・・・」~p326 1行目「・・・つづりてみん。」
1 p326 2行目「余は幼き・・・」~p328 13行目「行・・・きて聴きつ。」
2 p328 2行目「かくて三年ばかり・・・」~p331 11行目「・・・なかだちなりける。」
3 p331 12行目「ある日の夕暮れなりしが・・・」~p336 1行目「・・・手の背に注ぎつ。」
4 p336 2行目「ああ、なんらの悪因ぞ。・・・」~p341 6行目「・・・え読まぬがあるに。」
5 p341 7行目「明治二十一年の冬は・・・」~p346 4行目「・・・打ち笑ひたまひき。」
6 p346 5行目「ひと月ばかり・・・」~p351 14行目「・・・涙満ちたり。」
7 p351 15行目「二、三日の間は大臣をも、・・・」~p354 9行目「・・・地に倒れぬ。」
8 p354 10行目「人事を知るほどに・・・」~最後「・・今日までも残れり。」

1 範読・音読

『舞姫』は擬古文である。まずはすらすら読めないと読解にも自ずと支障が出る。

指示 . 1

先生が読みます。読みの分からない言葉に振り仮名を振りなさい。

「・・・いで、その概略を文につづりてみん。」まで読む。(事件0とする)

指示 . 2

ここまで、各自で練習しなさい。

指示 . 3

音読テストをします。一人一文ずつ読みます。

文によっては長いものもあるので、場合によっては句読点で切っても良い。

2 設定の確認(一字読解)

発問 . 1

マル1。題名は何ですか。(舞姫)

発問 . 2

マル2。作者は誰ですか。(森鴎外)※「おう」は旧字体

発問 . 3

マル3。誰が出てきますか。三文目から一字で抜き出します。(余)

発問 . 4

マル4。話者はどこにいますか。地名を答えます。(セイゴン)

発問 . 5

マル5。セイゴンに来るのは何回目ですか。初めて・二回目以降、どちらかで答えます。(二回目以降)

補助発問として「どの語から分かりますか。」と問う。「五年前」と「来し頃」の「し」(過去の助動詞「き」連体形)である。

発問 . 6

マル6。船はどちらに向かうのですか。方角を表す言葉で抜き出しなさい。(東)

マル7。話者の心は明るいですか、暗いですか。(暗い)

補助指示として、「どの語から分かりますか。できるだけたくさん線を引きます。」と告げる。

特に、「人知らぬ恨みに頭のみ悩ましたればなり。」に着目させる。

説明 . 1

どうして「恨み」を持つに至ったか、それを次の場面から読み取っていきます。