「五色百人一首」軸に学級崩壊を立て直す方法
受け持つ前年度まで授業中の私語、立ち歩きや暴言・暴力が当たり前だったという子供たちに、五色百人一首を導入し、立て直していった事例から、立て直しの方法を抽出した。出会った瞬間から、心地よい秩序を教え、「先生の言うことを聞くと楽しい」ことをまず味わわせることが必要だった。
「五色百人一首」を軸に学級崩壊を立て直す方法
~崩壊した子供達に五色百人一首を実践することで知的な楽しみと秩序を教える~
受け持つ前年度まで授業中の私語、立ち歩きや暴言・暴力が当たり前だったという子供たちに、五色百人一首を導入し、立て直していった事例から、立て直しの方法を抽出した。出会った瞬間から、心地よい秩序を教え、「先生の言うことを聞くと楽しい」ことをまず味わわせることが必要だった。そのために、五色百人一首は大変有効だった。
1.毎日のゲーム時間を保障する
まず、毎日の国語授業の最初の5分間を五色百人一首に当てることで導入した。
朝の会、帰りの会で時間を取る方法もあるが、荒れているクラスほど、こういう時に、毎日の時間の保障ができないからだ。
もちろん、初回は「めんどくせぇ!」「やりたくねぇ」と言っていた。
しかし、一週間もすると、試合中にシーンとする場面が増え、静かにする心地よさを経験させることができた。
また、毎日ゲームをするからこそ、学習が苦手な子も札を覚え、強くなってくる。強くなってくるからこそ、楽しさを味わえるのだ。
2.初回指導は基本通りに教える
初回の指導では、読み札を十箱購入するごとについてくる「五色百人一首手引書」の通りに指導する。
五色百人一首は、「東京教育技術研究所(03-3787-6564 )」で手に入れることができる。
向山洋一氏の「初めての指導CD」も併せて聞いて、その通りに指導する。
その中でも最も留意すべきことは以下の通りだ。
①ルールは、ゲームをしながら1つずつ教えていく。
②和歌の一覧表を渡して「覚えてきなさい」とは絶対に言わない。
①人の話が聞けない子供達に長々とルールを説明してからやらせることは不可能である。1首詠んで取る度に、「札を取る時には、『はいっ!』と短く返事をしなさい。」、1首詠んで取る度に、「手が重なったら、下にある人の札です。」…というように指導していく。
②をすると子供は一辺に嫌いになる。覚えることを強制した途端「遊び」から「勉強」に変わってしまう。ある時、学年全体で取り組んでいる学年があった。素晴らしいことだ。しかし、あくまで学習として捉えていたために、一覧表を渡して、「今週は、1~20首まで覚えなさい」と宿題に出してしまっていたために、百人一首が嫌いになってしまった子が続出していた。子供が嫌がっていると苦情の電話まで受けていた。教師にとっては、「学習」でも、子供にとっては、「遊び」でよい。あくまでも、遊びの中で、子供が楽しんで覚えていけばよい。それだけの魅力を十分にこの教材はもっている。
3.熱中する仕掛けをつくる
私は、子供達に「札を覚えて来なさい」と言う代わりに、実施する前から、次のグッズを教室に揃えた。
①漫画「ちはやふる」(末次由紀著Be Loveコミック)→学級文庫に
②五色百人一首ポスター(東京教育技術研究所)→教室に掲示
③五色百人一首下敷き(東京教育技術研究所)→忘れた子の貸し出し用に常備
④『五色百人一首で遊ぼう!』(小宮孝之著・汐文社)→学級文庫に
①の「ちはやふる」は百人一首を題材とした漫画だ。これを読んで影響され、中学受験の希望校で「百人一首クラブがある学校に入りたい」と言う子が出るほどである。
②も、貼っておくと、通る度にじぃっと見つめている子が増えた。廊下に掲示したところ、他の学年・学級の子供も見ていた。
③を常備しておくと、休み時間などに、見つめる子が増えた。後で、厚紙に印刷して全員に配布してあげると喜んでいた。こちらから渡すのではなく、子供から欲しいという声があがってから一覧表は渡すのである。
④の本を置くと「うっかり・はげ…」などとブツブツ言いながら楽しく札を覚えている子が続出した。
4.五色シリーズを活用する
どんなに優れた教材でも、中だるみの時期は生じる。そのため、気分転換に他の似たような効果がある教材を用意した。
五色百人一首の他、五色名句百選かるた、五色名文・格言かるたがある。これらも、五色百人一首と併せて使用していった。
①五色百人一首(東京教育技術研究所 03-3787-6564 )
②五色名句百選かるた(東京教育技術研究所 03-3787-6564 )
③五色名文・格言かるた(東京教育技術研究所 03-3787-6564 )
④五色ソーシャルスキルかるた(東京教育技術研究所 03-3787-6564 )
5.五色百人一首の効果
学習に殆ど興味を持ったことがなく、教師に逆らってばかりいた子、遊びでルールを無視していた子たちが、教師の指示に従い、穏やかに友達と接することができ、親に百人一首をねだるようさえなった。
五色百人一首の絶大な効果を実感した。