『割れ窓理論』を活用した語り
教室環境が荒れてしまうと,学級での問題も発生しやすくなります。子ども達に教室環境を整える意識を持たせるために,『割れ窓理論』を活用した語りを行います。

窓ガラスが割れている写真を見せて,問いかける。
窓ガラスが割れています。どう思いますか。
子ども達は以下のように答える。
「大丈夫かな。」
「どうして割れているのかな。」
「窓ガラスが割れているんだ。( )くらい,いいだろう。」
( )に言葉を入れてごらん。
子ども達は以下のように答える。
「もう一枚割るくらい,いいだろう。」
「泥棒するくらい,いいだろう。」
窓ガラスがたった1枚割れているだけで,人間の悪い心に火をつけてしまいます。
これを『割れ窓理論』と言います。
40年前のニューヨーク。
犯罪があふれていました。
犯罪を減らすために,何をしたと思いますか。
子ども達は以下のように答える。
「監視カメラを増やした。」
「警備員を増やした。」
「警察官を増やした。」
この後,ヒントとして地下鉄の写真を見せる。
地下鉄の落書きを消したのです。
このことがきっかけに,約10年で犯罪が減ったと言われています。
何という考え方を使ったのですか。
子ども達は「割れ窓理論」と答える。
もう少し身近な例で考えます。
ある学校の,ある教室の窓ガラスが1枚割れていたとします。
どうなると思いますか。
子ども達は以下のように答える。
「ケンカが起きる。」
「窓ガラスがもっと割れる。」
「いじめが起こる。」
ここではあえて,悪い情報をたくさん出させるとよい。
さらに身近な例で考えます。
今の◯年◯組は大丈夫ですか。
教室の写真を見せる。
若干乱れている場所やゴミなどがあれば,その写真を見せてもよい。
今から5分間,時間をとります。
『割れ窓理論』の考え方を使って,行動してごらんなさい。
子ども達は,教室環境を見て整理整頓を始めるだろう。
教師はその様子を見取ってもよいし,一緒に整理整頓をしてもよい。
終わった後に,どんな行動をしたか尋ねる。
子ども達は以下のように答えるだろう。
「本棚の本を整理しました。」
「ごみを拾いました。」
「チョークを揃えました。」
皆さんは今,どんな考え方を使ったのですか。
『割れ窓理論』と子ども達は答えるだろう。
「また日常的に,『割れ窓理論』の考え方を使っていけるといいですね。」
などと語って終える。
教室環境が再び乱れ始めた時には,『割れ窓理論』というキーワードを出して,再度語るとよい。