「余弦定理」の基礎・基本
余弦定理は意味がつかめず、定理が覚えられない生徒が少なくない。2辺とその間の角の値から、残りの1辺の値を求めさせることを作業で理解させる。また、3辺の値から角の大きさを求められるメリットも伝えていく。

1 授業のアウトライン
① 定理の確認(15分)
② 教科書の例示問題1・練習問題2(10分)
③ 教科書傍用問題集(5分)
④ 例示問題2・練習問題2(15分)
⑤ 教科書傍用問題集(5分)
2 定理の確認はこう授業する
証明は教科書通りでよい。難しそうにしているのであれば、黒板で示すだけで良い。
この項の第一の目標は余弦定理で辺の長さが求められることである。

教科書と同じように、\bigtriangleup \mathrm{ABC}をかきます。
\bigtriangleup \mathrm{BCH}において、\mathrm{CH}はどのようにかけますか。(b\mathrm{sin}Aです)
\mathrm{AH}はどのようにかけますか。(b\mathrm{cos}Aです)
\mathrm{BH}はどのようにかけますか。(\mathrm{BH=AB-AH}=c-\mathrm{cos}Aです)
次に何をしますか。 (直角三角形\mathrm{BCH}において、三平方の定理を使います)
教科書のようにa^2=とかいて、計算しなさい。
bやcについては、教科書の解説を読ませる程度でよい。次の演習に時間をかけたい。
公式を暗記させる場合は、以下のプリントを活用してください。
3 教科書の例示問題1・練習問題1はこう授業する
図は一度はノートにかかせたい。形を認識させるためである。ただし、大きさはおおよそでよい。
ノート左から2マスのところに点を打ちなさい。
2行下の一番左に点をとります。
そこから右に3\mathrm{cm}の進んだところに点を打ちなさい。
点を結びなさい。
教科書のように、角度と辺の長さをかきいれなさい。

角度は何ですか。(60°です)
○をしなさい
角と向かい合う辺の長さを○しなさい。(aに○させる)
矢印で結びなさい。

式を立てなさい。(a^2=4^2+5^2-2×4×5×\mathrm{cos}60°)
図のように式が、aで始まり、60°で終わっています。
\mathrm{cos}60°の値が分からないようであれば、先に教師が示した方がよい。
a^2=4^2+5^2-2×4×5×\mathrm{cos}60°\\ a^2=16+25-40 \times \frac{1}{2}\\ a^2=21\\ a>0だから\\ a= \sqrt{21}
4 例示問題2・練習問題2はこう授業する
第二の目標は、3辺の値から1つの角の大きさを求めることである。
教科書の図をかかせ、以下のことを確認する。
a^2=b^2+c^2-2bc\mathrm{cos}A\\ 2bc\mathrm{cos}A=b^2+c^2-a^2\\ したがって \mathrm{cos}A=\frac{b^2+c^2-a^2}{2bc}
同様に
\mathrm{cos}B=\frac{c^2+a^2-b^2}{2ca}\\ \mathrm{cos}C=\frac{a^2+b^2-c^2}{2ab}
教科書111ページ。例7を読みます。(△\mathrm{ABC}において、a=7, b=3, c=8)
使う公式を言いなさい。\left(\mathrm{cos}A=\frac{b^2+c^2-a^2}{2bc}\right)
代入しなさい。
\mathrm{cos}Aはいくつですか。\left(\frac{1}{2}です\right)
Aは何度ですか。(60°です)
角度が答えられないようであったら、101ページの表を見させてもよい。