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不審者対応マニュアルの点検(副校長として)

不審者への対応は、児童生徒の安全を守る上でとても重要であり、作成後も訓練の結果や実際に起きた事案の対応を踏まえて、定期的に見直しを行う必要がある。

1 見直しの手順とポイント

(1)訓練の成果や課題を明らかにする。

①安全に関する事項なので、すべての教職員の意見等を反映させる。
②児童生徒の評価や保護者、関係機関の声もすべて反映させる。

児童生徒の安全に関わることなので、「すべて」の意見を反映させることが重要である。

(2)学校の実情に応じて想定される危険を明確にし、以下の6項目について見直しを図る。

①人事異動等による分担や組織が妥当かどうか。
②学校の施設や設備の変化はないか。
③児童の通学路や地域の道路状況等に変化はないか。
④地域や関係機関との連携に変更はないか。
⑤訓練や研修会等での図上訓練(卓上訓練)で、問題点や課題の発見はないか。
⑥他校の事例、先進校の事例や社会情勢の変化等から、事項に不足している点はないか。

2 具体的な点検項目

文部科学省で発行した「学校の危機管理マニュアル−子どもを犯罪から守るために−」(平成19年11月)には、点検をする際のチェックリストが例示されている。このチェックリストを参考に、学校や地域の実態に応じて点検項目を設定し、「不審者対応マニュアル」の見直しを進めることが大切である。

(1)「学校の危機管理マニュアル−子どもを犯罪から守るために−」のチェックリスト(P25~27)を活用し、日頃の安全対策について点検する

① 全般及び不審者侵入時編
② 登下校編

(2)緊急時の教職員の役割分担を点検する

<不審者侵入(登下校時の緊急事態)時の役割分担の例>
 ① 全体指揮・外部との対応~校長、副校長
 ② 保護者等への連絡~教務主任、PTA担当教員
 ③ 避難誘導・安全確保(現場へ急行)~学級担任、授業担当者
 ④ 不審者への対応(現場へ急行)~発見者、生徒指導主事
 ⑤ 応急手当・医療機関等~養護教諭、保健主事
 ⑥ 電話対応、記録~事務職員等
 ⑦ 安否確認~(全体掌握)副校長・教頭、教務主任
        (学年・学級)学級担任、学年主任
        (校内外巡視)担任外教員、用務員等

<留意点>
①出張等で、管理職や担任が不在の場合にも機能するように役割が重複されているか。
②授業以外の時間帯のときは、担当場所を決められていて、直行できるような体制になっているか。

(3)学校施設・設備の安全点検

毎月1回の安全点検や業者による定期点検も行っているが、防犯という視点から施設・設備の点検を行う。

①校門、フェンス、外灯、校舎の窓、出入り口等の破損、鍵の状況の点検・補修
②警報装置(警報ベル、ブザー等)、防犯監視システム、通報機器(校内通話システム、警察や警備会社との連絡システム)の作動状況の点検、警察や警備会社との連絡体制を確認する
③死角の原因となる樹木等の障害物の有無、自転車置き場、駐車場や隣接建物からの侵入の可能性について確認する。
④校舎等の死角となる部分について、侵入防止のための施錠状況を確認する。

(4)通学路や地域の道路状況の安全点検や地域の関係機関との情報共有をする

防犯の観点から通学路を点検し危険個所を把握し、地域の関係機関や団体と情報を共有する。
以下の視点から、教職員で分担して、点検を実施する。

①不審者が入り込みそうな空き家の有無
②街灯の有無
③周囲の民家の有無
④死角を生む障害物等について
⑤複数の児童生徒が集団で集まる場所や通学路について

(5)子どもの状況確認

転入、引っ越しなど4月に行った家庭環境調査の情報から変更になっていることもあるので、児童生徒の家庭環境については、常に最新の情報を得ておく。

①学年等発達段階
②特別支援の有無
③登下校方法~徒歩、自転車、自家用車、公共交通機関等
④登下校時間帯等
⑤通学経路
⑥登校班の構成メンバー

(6)地域や関係機関・団体との連携状況について点検する

緊急事態の際、連携を進める上で必要な情報を更新しておく。

例 地域の関係団体とは
   防犯協会、青少年健全育成委員会、町内会、自治会、ボランティア

① ボランティア、「子ども110番の家」「子ども110番の店」等子どもを守る組織の状況(連絡先、代表者等に変更はないか)
② 緊急事態発生時の連携方法について~メール、電話
② 警察や病院までの距離等

(7)緊急事態発生時の対応を点検する

緊急時に一目で対応の仕方が分かるように、図で示すなど明確なものであるかどうかが重要である。
以下の項目が一目でわかるようになっているかどうか、点検する。

① 対応手順・役割分担
② 関係機関電話番号・通報文例(110番、119番)
③ 子どもの避難経路、避難場所、誘導方法(図面等)
④ 緊急時に使用する防犯設備の設置場所、操作方法
⑤ 報道・保護者対応例

(8)事件・事故の事後対応を点検する

①負傷した児童がいた場合の支援・援助について
 ・児童への見舞いや保護者への事故の経緯説明など
②心のサポート・ケアについて
 ・カウンセラー等の派遣による児童生徒・保護者への心のサポート・ケア
 ・家庭訪問や教育相談による、児童生徒の状況把握と心のサポート・ケア
③教育活動再開について
④再発防止に向けた取り組みについて