高校倫理「アリストテレス」⑤ 徳の倫理
アリストテレス哲学に関する内容である。アリストテレスによれば、人間に求められる徳とはなんだろうか。また、幸福になるにはどうしたらいいのか。実際に授業したものをブラッシュアップし、再現する。

1.教科書の構成
【4】 アリストテレス
①イデア論批判
②形相と質料
③四原因説
④可能態と現実態
⑤徳の倫理(今回)
⑥正義と友愛
2.授業の展開
アリストテレスの考え方を、プラトンの理想主義に対して、何主義といいますか?
現実主義
このような現実の物事のあり方を尊重するアリストテレスの考え方は、人の生き方についての考察にも反映されています。
アリストテレスは、次のようにいっています。この文章を読んでください。
「アリストテレスによれば、人間の行為の究極的な目的は幸福となることである。」(*教科書を読ませる。)
そして、この幸福とは、アリストテレスによれば、徳に従って活動することによって実現されます。そこで、アリストテレスは、師匠プラトンが重視した「知恵」について重視しました。
アリストテレスは、この「知恵」について2つに分類しています。
一つは何ですか?
知性的徳
もう一つは何ですか?
性格的徳
なぜこのようにしたのか。
そもそも、人間は知恵がある。賢い存在であればいいか?という問題。知恵があれば、賢い存在であるだけでいい?
例えば、賢い人が必ずしも人柄がいいとはかぎりらない。
知恵のほかに、人間にはどのような資質も求められると思いますか?
(例)優しさ、人柄のよさ、親切さ
人間には人柄としての良さも求められているのです。
これを「知性的徳」に対して、なんとか的徳。なんといいますか?
性格的徳(倫理的徳)
知性的徳・性格的徳。それぞれノートに書きなさい。
そして、アリストテレスによれば、人柄において優れている人とは、しかるべきときに、常に善を実践できる人、いわゆる善を習慣化している人なのです。
それでは、善い行いとはどのような行為だと思いますか?
*意見を述べる。
アリストテレスによれば、やりすぎの状態。つまり過剰。やらなさすぎの状態、過小の状態。このような両極端の状態を避けた行為が善い行為だといいます。例えば、食べすぎはNG。食べなさすぎもNG。ちょうど善い状態にするということなど。
つまり、適切な中間の状態。これを「中庸」といいます。
カタカナではなんとありますか?
メソテース
中庸とメソテース。ノートに書いてください。
ちなみに、この中庸とは妥協を意味するわけではなくて、あくまで事柄の本質において最適な状態の行為をさしています。
でもさ、最適な中間の状態。選ぶのは簡単でしょうか?
(例)簡単ではない。/難しい。 など
ではどうしたらいいか。アリストテレスは、最適な状態の行為を判断するための働きについて述べています。アリストテレスが述べた「知性的徳」の一つに、例えば、真理を認識する知恵や人間の行為に関わる働きがあります。
簡単に言えば、注意深く色々思いめぐらした考え。これを?漢字2文字で?
思慮
カタカナでは、「フロネーシス」。このような「思慮(フロネーシス)」の働きをかりることで、アリストテレスによれば、人間は最適な状態の行為を判断することができます。
またアリストテレスは、性格的徳には、勇気や節制などが含まれる。そして人間にとって最も幸福な生活とは、理性に従って純粋に真理を求める生活にあるとしました。これを「観想的生活」「テオーリア」といいます。「観想的生活」とは、考えをおこなうことに重きを置いた生活、学問を追究する生活のことをいいます。つまり、知を探求する生活のことをいいます。
「観想的生活」と「テオーリア」大事。ノートに書いてください。
アリストテレスによれば、「人間は生まれつき知ることを欲する」動物だといいます。そのため、人間はだれでも知的好奇心をもっているので、知を探究することによって、人間は幸せになれる。そのようにアリストテレスは考えたのです。