慣性の法則(①/② 静止の慣性)
静止する物体が示す慣性の性質を3つの動画で視聴させ、静止における慣性という性質を視覚的に理解させる。その上で、慣性という語句を使わずに現象が起こる理由を説明させるように授業を組み立てた。

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今日の目標は、2つの勉強を通じて、慣性とは何かを説明できるようになることです。
4つのことに取り組むことを言う。
1.実験動画を見ます。前半3つ、後半3つ、全部で6つ。
2.実験の様子を表す略図を描きます。
3.どうなるのか予想と結果を書きます。
4.説明練習をします。
することがわかったら頷かせる。
頷きが少なければ、列指名で復唱させる。
動画を見る。図を書く。感想を書く。説明する。「動画を見る。図を書く。感想を書く。説明する」
その上でもう一度、わかったら頷きます、と指示を出し、頷かせる。
Ⅰ.静止の慣性
(1)コップ上の10円玉実験
1番。
コップの上に名刺のような厚紙を置きます。
その上に10円玉を置きます。
厚紙だけ指で強くはじきます。

その時、10円玉はどうなりますか。
3択です。
A.紙と一緒に遠くに飛んでいく。
B.少しだけ飛んでいく。
C.コップの中に落ちる。
手を挙げます。
Aだと思った人。B。C。
それぞれ、挙手をさせ、人数を確定する。
選んだ理由が言える人がいれば発表させる。
どんな答えでも、なるほど、などと肯定的に受け取る。
経験や小中学校での学習など根拠がわかる言い方には、~に基づいた意見ですね、と根拠を持って褒める。
結果を見ます。
動画を視聴させる。
結果がどれだったか、生徒に問う。
「C」
合っていたら、○。間違えたら直します。
実験の様子を表す図をノートに書きなさい。
図を書く要領は次の通り。
1.大きく書く。(縦ノート5行以上使う)
2.1本線で書く。(酒井式かたつむりの線)(参考 TOSSランドコンテンツ「線描の学習~かたつむりの線」)
3.写実的でなくてよい。(陰影などはつけない)
下手でよい。
下手に書く。
コップを使った実験だとわかれば上出来だ。
くらいは言って、絵の苦手な生徒を励ます。
いけないことは雑に書くことです。雑と下手は違います。
この点も強調する。
感想を書きなさい。
感情を書かせる。短くてよい。
面白かった。つまらなかった。などである。
エピソード記憶を形成したい。
しかし、わかったことを書くことが多い。
これは意味記憶で、忘れやすい。
「感じたこと、想ったこと」と強調する。
「~がわかった」と書くのではありません。と言う場合もある。
いずれ、感想とわかったことの2つを一度に書かせるようにする。
理由を何と説明していましたか?
発表を促すが、発表立候補はいないはず。
映像に注目していて、解説の音声に注意を払っていないからだ。
立候補がいれば、積極性を褒め、発表させる。
答えが間違っていても、挑戦したことを褒める。
聞く態勢、と言って注意をスクリーンに集め、改めて動画を流す。
ナレーションが何と言っていたか、確かめさせる。
生徒の表情を判断して、もう一回聞きたい人?と聞いてもよい。
理由の発表、どうぞ。
「静止を続ける」が答えられればよい。
生徒の回答にかかわらず、まとめます、と言ってまとめのスクリーンを示す。

読みます。
「静止していた10円玉はいつまでも静止を続ける性質を持っている。この性質を慣性という」
ちゃんと読めていたら、よし!、と言う。
そうでない場合は次の対応を取る。
読んでいない人がいます。(声を揃えて読みます)など、根拠を述べて再度言わせる。
改善されたら、よし!よくなった、と言う。
いつまでも静止を続ける性質を何といいますか。
さん、はい。の言葉にあわせて手刀を示す。(「はい」を省略する準備)
「慣性」
正解。
続けて、逆の聞き方をする。
「慣性とはどんな性質ですか。」
手刀と笑顔で返事を促す。
「いつまでも静止を続ける性質」
重要な用語については、このように、意味を言って用語を答えさせ、用語を言って意味を答えさせる活動に取り組ませるとよい。
(スクリーンを)ノートに写しなさい。
(2)だるま落としを使った実験
2番。
だるま落としという日本の伝統的おもちゃです。
木槌で一番下の木を叩き出します。

上に乗っていた木はどうなりますか。
A.大きくガラガラと倒れる。
B.小さくまとまって倒れる。
C.ストンとそのまま落ちる。
手を挙げさせ、人数分布を確かめる。
選んだ理由が言える人?と聞いて、発表を促す。
10円玉実験動画と同じ対応をする。
挙手があれば発表させる。
なければ、動画視聴。
結果を生徒に言わせる。
「C」
予想が合っていたら○をつけさせ、間違えていたら直させる。
動画の最終場面、宙に浮いた状態で画面が停止する。
だるまが宙に浮いています。
なぜ、浮いているのですか。
理由が言える人。
発表、どうぞ。
指名なし発表で対応する。
十円玉の実験からの類推で「静止を続けるから」と答えられれば素晴らしい。
図を書いて、感想を書きなさい。
図は簡略化して書いて構わない。
感想は感じたこと、想ったことを書く
作業の遅い生徒は急がせる。
残り10名程度になれば、まとめのスライドを示し、次の指示を出す。

読みます。
静止していた、さんはい。
空欄も含めて読めるかどうか、よく聞く。
「静止していただるまはいつまでも静止を続ける性質を持っている。この性質を慣性という」
ちゃんと読めていたら、よし!、と言う。
そうでない場合は次の対応を取る。
笑顔を維持しつつ、「30点。やり直し。70点の読みでもう一度」
改善されたら、「よし!よくなった。90点の読みに挑戦」と言って挑戦させる。
改善されていなければ「35点。もう一度」
静止を続ける性質を何というのですか。
「慣性」
その通り、といって、クリックで画面を一つ進め、青四角を外して、言葉を示す。
「慣性とは何ですか」と逆を聞いて、「いつまでも静止を続ける性質」と答えさせる。
ペアワークをします。
Aさんが、静止を続ける性質を何と言いますか。と聞きます。
Bさんが答えます。つづけて、Bさんが、慣性とは何ですか。解きます。
Aさんが答えます。
交代して同じことをします。
ペアワークとして何をするか、わかったかどうかを確認する。
ボランティア生徒2名を立たせて、演示をさせてもよい。
ペアワーク、始め。
様子を観察する。
欠席等による孤立が減るように生徒を移動させ、ペアを作る。
積極的なペアは褒める。消極的なペアは励ます。
10円玉実験のまとめと比較して、
同じ所がどこか、意識しながら、
スクリーンをノートに写します。
(3)水入り風船実験
3番。
風船です。水が満タンに入っています。
ここに手が写っています。風船の大きさがわかりますね。
この風船を針で刺して割ります。

中の水はどうなりますか。
A.大きくバシャーと飛び散ります。
B.少しだけ飛び散ります。
C.飛び散らず形を保ったままストンと落ちます。
手を挙げさせ、人数分布を確かめる。
選んだ理由が言える人、発表どうぞ。
発表立候補があれば発表させる。
なければ、動画を視聴させる。
結果を生徒に言わせる。
「C」
Cになった理由を指名なしで発表させる。
どんな発表でも発表に挑戦したことを褒める。
「静止を続けるから」と答えられれば素晴らしい。
図と感想を書きなさい。
図を全員が書き終わったころ、まとめのスライドを示し、写させる。
まだ感想を書いている生徒には速く書き終えるよう促す。
2/3の生徒が写し終えるころ、次の指示を出す。

スクリーンを読みます。
キチンと読ませる。
10円玉実験との共通点を強調して読んでごらん、と指示してもよい。
ペアワークをします。
ペアワークの内容はだるま落としの時と同じである。
2回目だから、詳しい説明は省略する。
静止を続ける性質を何と言いますか。「慣性」
慣性とは何ですか。「静止を続ける性質」
前半3つの学習が終わったので、慣性とは何か、の説明文を書かせる。
続ける性質という意味の内容が書かれていれば良い。
この段階では、この程度の扱いで次に進む。
引き続き、慣性の法則(②/② 運動の慣性)の学習に移る。