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保護者のクレーム対応

保護者からの要望を聞き入れ、良好な関係を構築するためのポイントを挙げた。

保護者のクレーム対応(いじめ・事故・トラブル)

保護者との関係づくりは学級経営に大きく影響をする。大事なことは、「しっかりと真意を伝え、しっかりと話を聞く」こと。最も「しっかり」と伝わっていくものは、「子供の事実」。「勉強ができるようになった」「友達と仲よく過ごしている」、これが保護者の最も安心できる事実である。これを補助するのが「学級だより」や「保護者会」などであるが、「直接会って話を聞きたい」という緊急を要することがある。これは「今までにいくつかの不安材料があり、何かのきっかけでそれが今回、形になった」と考えるべきだ。。なるべく早く話し合いの機会をつくり、誠意をもって聞くことで、まずは保護者は「向き合ってくれている」「大事にしてくれている」という点で理解を得る。
 
保護者が学校に求めるものはほぼ決まっている。
「うちの子のことを大事にしてほしい」ということに尽きる。それを頭に置いておけば、大抵のトラブルはきちんと収束していく。うまくいかないのは、解決の過程で「我が子がないがしろにされた」と感じた時である。例えば、学校が真剣に対応してくれない、と感じた時に不満は爆発する。教師の聞く姿勢のことである。真面目に聞いてくれないと感じたり、面倒臭そうに対応したり、他の仕事の方を優先していると感じたりした時に保護者は不信感を抱く。
 
もう一つ、「学校が連絡をくれない時」にも、保護者は不満を募らせる。ずっと待っているのに、どういうことになったか、どういう指導をしたのか、相手はどう言っているのか、そういう連絡をなかなかもらえないとき、親は、「我が子のことを誠意をもって考えてくれない」、と感じる。
 
そのように考えていくと、保護者とトラブルの解決について話し合うときに失敗しない対応、というものも存在することになる。
 
以下に保護者対応のポイントを示す。
・子供が家で話す前に学校から報告をする。
・苦情が入ったその日のうちに経過報告をする。
 
こういうことをきちんとすれば、親は納得する。仮に要求してきたレベルで問題が解決しなくても、「犯人」と指摘する児童を特定できなくても、場合によっては、先生のやり方に納得できなくても、学校の真剣さは親に伝わっていく。「これだけやってくれた」と、我が子の辛さを重要視したことを理解してくれるのである。
「誠意」を伝えることは何よりも重大だと考え、学校全体の問題だという認識をすれば、親は「何をしたのか」「どういう結果になったのか」、それにはこだわらない。問題が解決しなくても、「学校はうちの子を大事にしてくれた」、という満足感をもつ。これをきっかけに、担任の応援団長になってくれる可能性さえある。

保護者対応の原則

1 教師の情熱で親の心を動かす。(先生はうちの子を一生懸命教えてくれる、と親に思わせる。)
2 「思っている」ではなく「している」と現在進行形で話す。(自分の信条を訴える。)
3 要望に応えようとする熱意を示す。(担任にどのようにしてもらいたいか、要望を聞く。)
4 謙虚さを忘れない  (「私の力不足でご迷惑をかけていることがあったら教えてください」)
5 信頼は秘密を守り合うことから高まる。(「先生は秘密の大切さを心得ている」と思ってもらう。)
6 心を開き合うことで、心のふれあいを図る。(「どんなことでも気楽に話せる」と思ってもらう。)
7 まめに学校での情報を知らせる。(親は今日の学校生活を知りたいと願っている。)
8 努力して成績が向上したことなど、具体的に成長の事実を知らせる。
9 完璧な教師にならず、失敗を見せて人間味を示す。
10 子供の短所は言わない。親は謙虚な気持ちで我が子の欠点を言うが、同調しない。
 
その他、「誰か第三者に入ってもらい、1対1で話し合わないようにする」「話し合いの場は極力、学校内にする」「闇雲に謝罪をしない。何について謝っているのかを明確にする」「判断がつかない場合には約束をしない」「相手が興奮している場合には、途中で口を挟むことが言い訳だと取られてしまう」などを心がけてみるとよい。保護者対応は一概にマニュアル通りに進めることができないため、非常に難しい。ベテランの教員の経験と知恵、ノウハウなどを若い方にうまく伝えていってあげたい。