向山式~夏休みの宿題チェック法 「ピンクの紙に太赤ペンでコメントを書く方法」
夏休みの宿題チェック 子ども達が喜び、教師の時間も短くてすむ赤ペン指導で!
「教え方のプロ・向山洋一全集」55 向山の教師「仕事術」 P.66~67
六 腕のいい教師は仕事のやり方を身につけている
ー夏休みの宿題処理法
腕のいい教師は仕事のやり方を身につけている。腕の悪い教師は我流でやっ ている。この差は大きい。
たとえば、夏休みの作品の処理を例に取る。
夏休みの作品は九月新学期に廊下に飾られる。作品展だ。親も見に来るだろう。
九月半ばを過ぎる頃、教師は作品に赤ペンを入れて返す。そのころには、作品展の熱意もさめ、どこかありきたりの赤ペンとなる。しかし、赤ペンを入れるのはましな教師だ。
多くは、九月も押し迫ってハンコを押しただけで返す。赤ペンを入れている時間なぞない。これに対して、子どもも親も「手抜きだ」と思っている。ハンコを喜ぶ子どもも親もいない。
中には、何もしないで返すだけの教師もいる。まれに、いつまでも返さないで学年末に捨ててしまう教師もいる。むろん問題外だ。しかしいるのである。
私は、九月初めに作品発表会をする。一人一分以内で発表させる。次の人にうつったとき、前の人の赤ペンをきれいなカードに記入する。
一分前に聞いたことだ。ポイントは分かる。筆はすべる。すぐに書ける。
こうして、作品発表会と赤ペンは同時に終わる。なんの苦労もない。
近所のおじいさんなどから、「昔の話」を取材していた場合、その場で担任としての礼状を書き、持たせる。
礼状をもらったおじいさんは、「○○先生は感心だ。九月すぐに礼状が来た。すばらしい先生だ。」と隣近所、町会で言って歩く。私の実例だが、たった一通で感謝された。
私は、無理な時間を使っていない。むしろ、時間を節約している。それでいて、 子ども、保護者、地域の人に感謝されるのだ。
このような仕事をする人をプロという。
プロの腕は、我流ではだめだ。学ぶしかない。先人から謙虚に学ぶしかない。
準備物
薄いピンクの画用紙(B6)、太めの赤サインペン
用紙に、子殿も名前だけ書いておくと、時間短縮できる。
指導の実際
(1) 事前の登校日の宿題に、発表会を予告しておく。
始業式に、夏休みの作品発表会をします。
いくつか作った作品のなかで、一つでも二つでもいいです。みんなの前で発表
することを決めます。
連絡帳に、頑張ったこと、工夫したことなどを書いてくるのが宿題です。
登校日がない場合は、始業式の日予告し、次の日に発表会をしても良い。
(2)作品の発表シナリオ用紙を用意してもよい。
私は、4年生の指導で、このような用紙に書き込ませた。
私の作品は、 です。
一番見て欲しいところは、 です。
苦労したことは、 です。
できるまで 日(時間)かかりました。
作った感想は です。
自分の作品についての発表会をします。
もうやってもいいという一手を挙げなさい。(なし。)じゃあ、後1分あげます。
(子どもたちは急に読み始める。)
間もなく時間ですよ。
発表会のやり方を説明します。
自分の作品、1つでも2つでもいいですから発表します。
自分の作品を取りに行きなさい。
まずやろうという人たちなさい。5人まで。
最初は5人前に出させる。
子どもは、自分の作品を見せながら読む。
それを聞きながら、教師はコメントを書く。
聞いている子どもたちに、何か質問をさせると、コメントを書く間が持つ。
子どもは、自分の作品を見せながら書いてある文を読む。(できたら暗記させる)
それを聞きながら、教師はコメントを書く。
聞いている子どもたちに、何か質問をさせる間に、教師はコメントを書く。
私は、自由研究について発表します。
工夫したところは、スライムに色をつけたところです。難しかったところは、スライムをまとめるところです。とても楽しかったです。
質問(C):作るのに何日かかりましたか。 →1日
質問(C):色は何でつけましたか。→ 絵の具
質問(C):誰かと遊びましたか?→ 弟と
教師はできるだけ早く、子どもへのコメントを書く。子どもが発表している言葉を聞いて書くので、具体的に褒めることができる。
例えば、このような文面である。
自由研究をがんばりましたね。4年生になって一番楽しい研究になったんですね。すばらしいです。スライム作りよくできましたよ。カラフルでいいスライムですね。
残りの人出なさい。
5人ずつ前に出させるが、最後まで発表したがらずに残る子がいる。
発表したがらない子への指導ではこの指示が必要である。
前で発表するのが苦手な子どもがいるときは、グループの発表も可能
(希望者のみ、全体の前の発表した。)