高校倫理:「義理」と「人情」とは何だろうか?
「義理がたい人」とか「人情味あふれる人」という言葉がある。「義理」とはそもそも何か。「人情」とはなにか。身近な事例を含めつつ、授業したものを再現する。

1.教科書の構成
1.義理と人情
① 義理と人情という言葉(今回)
② 庶民倫理としての義理と人情
2.授業の展開
あなたは、友達と約束をしました。
でも、そのあと別のお誘いを受けました。
あなたなら、友達との約束はどうしますか?
①守る
②破って新しいお誘いにのる
③その他
①だという人?いや、②?③かな?
では、なぜ約束は守らなければならないと感じるのですか?
近くの人に自分なりの理由を言ってごらん。
なぜ守るのか、理由を言ってごらん。
(例)約束はしたら守る/他人のことを考えて
よく約束を果たす人などをこう言います。「義理がたい人」
この言葉、聞いたことある人?
この義理とともに、よくセットで使われる言葉があります。「義理と○○」。
○○に当てはまる漢字2文字、予想してノートに書いてごらんなさい。
思いつかない人は、教科書から探して書いてください。
人情
「義理」とは?何でしょうか?
では、「人情」。この「人情」を使った言葉、思いつくだけノートに箇条書きにしなさい。
例えば、何があるでしょうか?
(例)人情味あふれる/人情深い
つまり、他人のことを思いやることのできる、の意味です。
では、教科書に戻ります。そもそも、このような義理と人情とは、どのようにして日本人の庶民倫理として普及したのだろうか。(※教科書を読み上げる)
1つ目。まずは義理。義理は元々は外国の思想の用語でした。
どこの国の、何の思想?
中国の儒教の用語
そうだよね。その後はどうなった?
(例)古代に日本にもたらされた。
そして、それ以来、「意味や訳」から「物事の道理、筋道」へと変化し、やがて近世になって「人のふみ行うべき道」という道義的な意味合いを強めていきました。
もう一つの「人情」も、中国の古典に端を発すると言われています。中国の古典によれば、人情とは、人間が本来持っている心の動きで、多すぎたり少なすぎたりしない状態を理想としました。
では、一方日本では、人情はどのような意味合いをもったでしょうか?
(例)「情け」や「いつくしみ」「思いやり」
そして、江戸時代の人情話や人情本と呼ばれる話や書籍として大変流行したとされます。
このように、「義理」と「人情」は日本固有の意味合いをもち、現代にいたるのです。