楽しく名画を鑑賞する~「鳥獣人物戯画」・絵からストーリーを考えよう~
平安時代の絵巻物「鳥獣人物戯画」を楽しく鑑賞する授業です。絵巻物全巻からストーリーのある場面を考えます。描かれているカエルやウサギなどが登場する場面をしっかり見ることでストーリーのある場面をみつけていきます。【TOSS大分推薦】 No.8879586 http://www.oct-net.ne.jp/~tokai/home3.htm

教科書に「鳥獣人物戯画」が載った。初めて絵巻物を観賞したときに、「どんなふうにつながっているだろう。」とストーリーを探しながら見ていくと、11.5mの長い絵巻物でも楽しみながら見ることができる。絵と絵の関連性を探して見ていくうちに、擬人化されたしぐさや筆の巧みな表現を楽しむことになる。水遊びをしているサルやウサギ、鹿、弓で遊んでいるキツネやウサギなどたくさんの動物や鳥が登場する。そんなすばらしい絵巻物が800年前の日本で生まれ、今の漫画文化につながっている。日本が誇れる美術文化である。それを楽しみながら鑑賞できる授業を考えた。

相撲場面の最初の場面を見せる。(ウサギとカエルが組み合っている絵)
何がいますか。
「カエル。」「うさぎ。」
何をしていますか。
どれかに手を挙げます。①けんか ②ダンス ③相撲
(挙手を確認した後に) この絵には続きがあります。

次の場面(ウサギが投げられている絵)を見せた後にもう一度。
「何をしていますか。」と問う。
なぜ相撲とおもったのですか。(または、なぜけんかと思ったのですか。)。
・ウサギにカエルが足をかけているから。
・投げられているウサギが笑っているから。
・勝ったカエルがいるから。
・周りのカエルが喜んでいるから。
2つの絵を順番に見ると、相撲だと分かります。動物たちが人間のように遊んでいます。
2つの相撲場面を見せながら尋ねる。
いつの時代の絵でしょう。
平安時代、今から800年前の絵巻物です。そんな昔から日本人は生活の様子、遊びの様子を絵巻物として見て楽しんでいました。 こんなふうに想像しながら見ていたのかもしれませんね。(NHKのビデオ:相撲場面の動画を流す)実は、この絵は長い絵巻物の一場面です。
この場面の絵を出しなさい。(資料1)水遊びの場面です。


水遊び、賭弓、宴会の準備、トラブル、踊り、相撲、法事などの11場面ある。ストーリーを読み取りやすい「水遊び」の場面を見せる。
このウサギは何をしていますか。(サルに向かって手招きしているウサギ)
このサルはだれを見ていますか。(泳いでいる?サル)
ストーリーがあるところはどこでしょう。
水遊びの場面で、ストーリーがあるところを○囲みしなさい。
○囲みさせ、書けた子どもから発表させる。
どこを囲んだかを確認する。
なぜそう考えたのですか。
理由をノートに書きなさい。
全員に理由を発表させる。
時間が余れば、どんな音や声が聞こえてくるのか考えさせて発表させてもいい。
鳥獣戯画(正式名は鳥獣人物戯画)は漫画のルーツといわれています。宮崎駿さんもアニメのルーツと言っています。今日は、2つの絵をつなげて見ると、ストーリーが見えました。まだまだ、じっくり見ると、他にも漫画のような表現が隠されています。
知りたいですか?次回、じっくり見ていきましょう。
次回は、鳥獣戯画のレプリカ(全図)を観賞させる。
2時間目。
実際にクラスでしたときは、生徒同士「ここ!見て。鹿がいるよ。」「カエルが弓を持っている。」「なんでカエルがひっくりカエル。」などと声を掛け合って見ていた。発見したことを、付箋紙に記入させ、絵巻物貼っていかせた。たくさんの付箋が貼られ、授業のまとめに自分の発見したことを発表させ、感想を書かせて終わった。
生徒は「楽しかった。」と言っていた。
《参 考》
『鳥獣戯画がやってきた!』白描画雑感 有賀祥隆(サントリー美術館・読売 新聞社 2007)
『鳥獣人物戯画』 謎に包まれた遊び心の絵巻―鳥獣戯画 辻惟雄(小学館2007)
『十二世紀のアニメーションー国宝・絵巻物に見る映画的・アニメ的なもの』高畑勲著(徳間書店 1999)
