国語テストの答え方5 《動詞で答える問い》
国語のテストの答え方を身につけると、テストの点もぐーんとアップします。今回は、動詞で答える問いの答え方を紹介します。2007.11.19作成

動詞で答える問い
1.述語の部分を問う発問
今回は、動詞で答える問いについて述べたい。
ポイントは二つある。
1.「どうしましたか」「どうなりますか」といった述語の部分を問う発問には、動詞で答える。
2.文末が、現在形か過去形か未来形のどれかを見極める。
まず、次の発問の答えを考えてみよう。
だんだんスピードがついてきたと思ったとき、もうれつな砂のたつまきが真正面からおそいかかった。ぼくは、ぎゅっと目をつむり、尾びれの付け根にしがみ付いた。 |
兵十は立ち上がって、なやにかけてある火なわじゅうを取って、火薬をつめました。そして、足音をしのばせて近よって、今、戸口を出ようとするごんを、ドンとうちました。 |
水にういているあめんぼを見ると、あしのまわりの水面が少しへこんでいます。 |
犬などのてきがあらわれると、「クワン。」という大きな声を出してきけんを知らせ、みんなをにがします。そして、自分は、ゆうかんにてきに向かっていきます。 |
問い1 ぎゅっと目をつむり、尾びれの付け根にしがみ付いた。
典型的な述語を問う発問である。
児童の中には、「どうしましたか」という問いかけに対して「しがみ付きました」と答える者がいるので、この点については、正解ではあるが、常体で答えるのが一般的であることを指導しておくと良い。
問い2 ドンとうった。
これも、「ドンとうちました」と答える児童がいる。
そのまま書き抜く練習をしているクラスでは、こちらの答えの方が多いかも知れない。そのまま書き抜けたことを褒めた上で、書き抜く問題ではないので、「ドンとうった」でも正解であることを説明する。
問い3 少しへこんでいる。
「少しへこんでいます」なら正解。しかし、「少しへこむ」「少しへこんでいた」は不正解。「へこんでいる」というのは、今現在へこんでいるという状態を表しているが、「へこむ」では今まで平らであったものが変化するという意味になってしまうし、「へこんでいた」は過去形であるから今はへこんでいないかもしれないということになってしまう。
「どうなっていますか」という問いに対しては「こうなっている」と答えなければならない。意味を変えたり、過去形で答えたりしてはいけないのである。
問い4 ① 「クワン。」という大きな声を出してきけんを知らせ、みんなをにがす。
② ゆうかんにてきに向かっていく。
これらも、敬体の答えなら良いが、過去形での答えは間違いである。
では、次のような問いにはどう答えたら良いだろうか。
「最初だけ、ちょっとおしてくれませんか。」 クジラがぼくにたのんだ。 「いいとも。」 ぼくは、クジラの後ろに回って、そりをおすようにクジラの尾びれをおしだした。 |
それからクジラは、大きくのびをして海におどりこむと、尾びれで「さよなら。」を言って、水中に消えた。 |
これは、問い方が悪い。
《テストの答え方3》で、「どんな○○」という問いには「こういう○○」という形で答えるということを書いた。そのように考えると、この場合は、「そりをおすようにクジラの尾びれをおすこと。」「尾びれで「さよなら。」を言うこと。」のように「・・・・こと」で答えることになる。
しかし、出題者の意図は、明らかに行動(述部)を問うている。
このような紛らわしい問いは、基本的な答え方を学習する小学生にすべきではないと考える。
問い5、問い6では、「どうしましたか」と問うべきなのである。
ほかにも、会話文を書かせるのに、「何と言いましたか」と問えば済むところを「どのように言いましたか」と問うているために、「楽しそうに言った」と児童が答えてしまうという例もある。
このように見ていくと、テストの発問なんていかに分かりずらい言い回しが使われているかよく分かる。
少し横道にそれたが、どの部分について答えさせるのかによって、発問もよほど吟味しなければならないということがお分かり頂けると思う。
さて、動詞で答える発問は、もう一つある。動詞の意味を答える場合である。
次回、言葉の意味を問われたらどう答えるか、ということの中で詳しく述べることにする。