「どうぶつの赤ちゃん」 実践記録
光村図書1年(下)の説明文教材「どうぶつの赤ちゃん」の実践記録。(旧教科書での実践です。)

1.音読をたっぷり
1年生、最後の説明文教材。
教材のポイントを一言で言えば、「比較」である。
ライオンの赤ちゃんとしまうまの赤ちゃんの違いを読み取る。
1年生は音読を大切にしたい。
単元に入ってから3時間は、音読の練習をたっぷり行った。
練習と言っても、楽しく行う。
追い読み、ペア読み、列読み、リレー読み、指名なし音読、個別評定など、様々なバリエーションで、子どもたちが飽きないように。
2.文章全体の構造を押さえる
みんなに質問をしている段落は、何段落ですか。
問いと答えの対応は、説明文の基本構造である。
過去の説明文教材で、問いの文と答えの文を扱っていれば、子どもたちはすぐに見付けることができる。
1段落が問いの段落であることを確認し、2つの問いがあることを見つけさせる。
A どうぶつの赤ちゃんは、生まれたばかりのときは、どんなようすをしているのでしょう。
B そして、どのようにして、大きくなっていくのでしょう。
Aの質問の答えが書いてあるのは、何段落ですか。
答えをノートに書かせ、できた子から教師のところへもってこさせた。
子どもたちの多くは、②段落と書いてもってきた。
にこにこしながら「惜しい!25点!」と告げた。
「えっ!」と子どもたち。
ここから、授業はヒートアップする。
子どもたちは、もう1回、教科書とにらめっこ。
答えは、複数段落あることにだんだん気が付いていく。
二つ見つけた子は、50点。
三つ見つけた子は、75点。
点数が上がる度に、子どもたちは熱気を帯びる。
解は、②③⑤⑥段落である。
すべて見つけて100点を取った子は、跳び上がって喜んでいた。
次に、Bの答えを扱う。
解は、④⑦段落である
3.ライオンとしまうまを比較する
ライオンの赤ちゃんとしまうまの赤ちゃん、どちらがすごいですか。
子どもたちに聞くと、多くの子がしまうまの赤ちゃんだと主張したが、ライオンだと主張する子もいた。
その根拠を、ノートに書かせた。
「なんとなく」ではなく、判断した理由を書くことができることが国語の力である。
理由を書かせたあとは、簡単に討論をした。
以下、子どもが書いた意見である。
わたしは、しまうまだとかんがえます。
なぜならしまうまの赤ちゃんは、生まれたときに、もうやぎくらいの大きさがあります、とかいてあるからです。
だから、しまうまの赤ちゃんの方がすごいと思います。
あと、30ぷんもたたないうちに、じぶんで立ちあがります。
そして、つぎの日には、はしるようになります。
だから、どうぶつにおそわれても、おかあさんやなかまといっしょににげることができるのです。
ライオンの赤ちゃんは、よわよわしいとかいてあるので、しまうまの赤ちゃんのほうが、すごいと思います。
次の時間、ライオンとしまうまの赤ちゃんの違いをできるだけたくさん見付けさせた。
最初からノートに「書きなさい」では難しい。
そこで、始めは口頭作文させる。
「ライオンの赤ちゃんは~で、しまうまちゃんは~。」
数名の子に発言させたあと、ペアで練習。
自信を付けさせてから、ノートに書かせた。
番号を付けて箇条書きさせる。
たくさん見つけた子は、さらに自信を深めることができる。
ノートは次のようになった。
①ライオンの赤ちゃんはの目や耳はとじているけど、しまうまの赤ちゃんの目は、ひらいて耳も立っている。
②ライオンの赤ちゃんは、子ねこぐらいで…
③ライオンの赤ちゃんは、おかあさんに…
④ライオンの赤ちゃんは、あるけないけど…
⑤ライオンの赤ちゃんは、二かげつくらい…
(⑥、⑦、⑧、⑨と続く。)
次の時間、前の時間までに見付けた違いを表にまとめさせた。
1年生に表を作らせるのは、難しい。
枠を大人の方で作って印刷してやれば、きれいにできるし、楽である。
しかし、何事も経験。
つたなくてもよいから、あえて自分たちで表を作らせた。
表は、次のようになった。

4.カンガルーをどう扱うか
教科書が新しくなって、カンガルーの赤ちゃんの記述が最後に追加された。
(旧教科書には、なかった。)
教科書では、ライオンとしまうまの赤ちゃんと比べ、どんなところが違うか、どんなところが似ているかを考えさせている。
最初に違いだけ、つまりカンガルーのオリジナルだけを見付けさせ、その後、次の発問をする。
カンガルーの赤ちゃんは、ライオンの赤ちゃんとしまうまの赤ちゃん、どちらに似ていますか。
討論をする。
1年生なりに考えた楽しい意見がたくさん出る。