『朧月夜』(高野辰之)授業記録
向山型国語に挑戦42『朧月夜』の授業記録です。


2008年1月に,児童への授業を2回,教師相手の模擬授業を2回おこなった。
まとめて記述する。
春の夕方ですね。話者はまず何を見ましたか。4文字。
答えは「菜の花畠」である。
次に何を見ましたか。3文字。
答えは「山の端」である。
「山の端」とはどこですか。
「山の端」とは「稜線」のことである。辞書を引けばわかる。
次に何を見ましたか。漢字1文字。
答えは「空」である。
次に何を見ましたか。漢字2文字。
答えは「夕月」である。
1行目『菜の花畠に入日薄れ』。話者はどちらの方角を見ていますか。
全員が「西」であった。
月はどっちに出ている?
東だという人あり,西だという人あり,天頂だという人あり。
「この歌は,与謝蕪村の俳句『菜の花や月は東に日は西に』をふまえて作られていると推定されます。ですから,日は西にあって,月は東にあると考えてもおかしくありません。この場合,月は満月になりますね。しかし,話者の視線は,菜の花畠→山の端→空→夕月と上がっていっているのですから,くるっと振り向いて東を見るというのは不自然な感じもします。一番だけを読めば,月は天頂から西にあると考えてもこれまたおかしくありません。天頂にあるなら半月,西のほうにあるなら三日月ということになります。
一番は,主に顔の中のどこを使っていますか。
答えは「目」である。
一番で,目以外を使った部分があります。どこですか。
「春風そよふく」と「にほひ淡し」が出た。
「におい」という言葉は,現在では「かおり」という意味で使われますが,昔は「色が美しく映えること」という意味に使われていたのです。鼻でかぐにおいではなく,見た目の美しさのことなのですね。つまり,「にほひ淡し」は,霞のために色が薄くなっているよという意味になります。
1番は夕方でしたね。2番はいつですか。
「もう日はすっかり暮れて夜ですね。」
(2番では)何が見えていますか。
箇条書きにしなさい。
①里わの火影,②森の色,③田中の小路をたどる人 の3つとなった。(月は別として。)
どちらかといえば明るい夜ですか,暗い夜ですか。
田中の小路をたどる人が見えているのですから,明るい夜ですね。ということは,月は満月(に近い)と考えられますね。
1番は各行が起承転結になっています。では,2番はどうでしょうか。
なっていませんね。①里わの火影も ②森の色も ③田中の小路をたどる人も ④蛙のなくねも ⑤かねの音も と5つのものを並べ,それらすべてが霞んでいる,というのですね。
何かおかしいことはありませんか。
児童から「蛙の鳴き声や鐘の音が霞んでいるというのはおかしい。」という意見が出た。
これはどういうことでしょう。
児童から「何か途中にある(遮蔽物がある)感じで聞こえる。」「音が美しい感じがする(という意味だ)。」「音がかすかに聞こえる。」という意見が出た。
絵に描いてごらんなさい。