ヒトの骨格とほかの動物の骨格の違い(発展学習)
2001年版の東京書籍の教科書を使って、ヒトの骨格と他の動物の骨格の違いを、実験を含めて調べる指導案。
新指導要領では’発展学習として実施することができる。
2001年度版 原実践者 大堀真 (コンテンツ作成 安瀬貴幸)

2000年版の教科書による実践。現行の教科書には骨格の図はないが、骨格図をさがせば追試可能である。
2004年1月18日一部更新
【 準備物 】
1 やわらかいゴムボール。(ハンドベースボール用のものが最適)
2 できれば、「逆T型」のブックエンドと「L型」のブックエンドを用意できるといい。
ノートの新しいページを開きなさい。
「人の体と、他の動物の体ではどこが違うのだろうか」と問題を書き、赤枠で囲みなさい。
教科書の27ページを開きなさい。
人の骨格はどれですか指で押さえなさい。指したら指したと言いなさい。
人の背骨はどこですか。赤鉛筆でていねいに色を塗りなさい。
※以下、コイ、ハト、ネコの背骨にも赤鉛筆で色を塗る。
人の背骨を指で二回なぞりなさい。(同様にコイ、ハト、ネコの背骨もなぞらせる)
人と他の三つの動物の背骨を比べて、一番大きな違いは何ですか。ノートに書きなさい。
数名発表させ、次のようにまとめる
【人と他の動物の違い その1】
★ 他の動物は背骨が横向きだが、人は背骨が縦向きである。それは「二本足で立って歩く」ためである。
※「 」の中は虫食いにして考えさせることも可。
人間と他の動物の最大の違いは「常時、二本足で立って歩く」という点です。
28ページにチンパンジーの写真がありますから探しなさい。
チンパンジーも「二本足で立って歩く」ことはできますが、写真のように、四本足で歩く方が速いのです。
人間は二本足で立って歩くようになりました。「直立二足歩行」と言います。
その結果『動物と明らかに違う』点があと二つあります。それは何だと思いますか。1・2とノートに箇条書きにしなさい。
一つ書けたら持ってきなさい。
代表的な意見を板書させ、整理をする。
1 かかとの骨が大きくなった。
2 「手」が自由に使えるようになった。
人とほかの動物の違い その2です。
教科書27ページの人の骨格から、骨盤を探しなさい。見つけたら指で押さえなさい。となりの人と確認しなさい。
骨盤から足が出ています。最初の関節は「股」の部分です。
次の関節はどこですか。(ひざです)そうです。ひざが二番目の関節です。
ひざの次の関節はどこですか。(足首です。)そうです。足首が三番目の関節です。
人間の足首に赤鉛筆でマルをつけなさい。
では、ネコの足で、骨盤から数えて三番目の関節はどこですか。赤鉛筆でマルをつけなさい。
人の足とネコの足の違いを一言で言いなさい。
★ 人はかかとをつけて歩くが、猫はかかとをつけないで歩く。
★ または、人のかかとの骨は大きい(太い)が、ネコのかかとの骨は小さい(細い)
自分の足首に触ってみなさい。踵の骨は、足首よりも後ろに出っ張っていませんか?(そうだ、そうだ)
人は、二本の足で立って歩くようになりました。
もし、かかとの骨が後ろに出っ張っていないとこのようになります。( 「L型」のブックエンドを机の上に立てる)
垂直の部分が足だとしましょう。
何もないときは倒れません。でもちょっと後ろの方へ押すと、、、、、ぱたんと倒れてしまいます。
では、次の実験です。( 「逆T型」のブックエンドを机の上に立てる)この部分がかかとの骨に相当する部分です。
○○君、出てきなさい。これを前後に揺すってみなさい。
簡単に倒れますか?
このように、踵の骨が大きく太くなり、足首よりも後ろに出っ張っているので人間は二本の足で立てるのですね。
犬や、猫は、つま先だけであるいているのです。
【人と他の動物の違い その2】
★ 他の動物はかかとをつけないで歩くが、人は二本の足で立つためにかかとの骨が大きくなった。
【人と他の動物の違い その3】
★ 他の動物は片手でものをつかめないが、人は片手でものがつかめる。このように手が自由に使えるようになった。
確かめてみることにします。
★ 手が自由に使えるようになったということ、その1です。
筆箱を出しなさい。筆箱をわしづかみにしなさい。(やってみせる)
人間の手は、このように「ものを片手でつかむ」ことができます。
教科書に出ている三つの動物で「片手でものをつかむ」ことができるものはいますか。(いません)
鳥は足で木の枝に止まることができますが、これは「足」ですね。
リスやハムスターはものをつかんで食べますが、これは「両手」でつかむのですね。
片手でものをつかむことができるのは人間と、一部のサルだけです。
その秘密は・・・・・・親指とほかの四本の指が向かい合っている・・・・ことですね。(時間をとるならこの点は考えさせても可)
あらためてものをつかませてみる。
親指なしでつかませてみる。さらに、親指を他の四本の指とそろえてつかませてみる。これではうまくできない。
次、手が自由に使えるようになったということ、その2です。
全員、起立。となりの人と離れて立ちましょう。体操をします。ゆっくり両手を上に上げます。
はい、ゆっくり下ろします。
ぐるぐる回します。(クロールの腕の動きをイメージしてください)
教科書に出ている三つの動物で「腕がぐるぐる360度まわる」動物はいますか。(いません)
ネコやウサギの手(前足、正確には上腕骨)は、肩より高くは上がりません。
ウサギやネコがバンザイしたのを見たことがありますか?
360度、肩が回ることで、人間が手に入れたのが「手で、ものをつかんで投げる能力」です。
イヌやネコがものをつかんで投げますか?
イヌやネコの子どもを、出口のない部屋に入れ、部屋の片方から蛇の模型を近づけると、必死で逃げます。最後はかみつこうとします。
しかし、チンパンジーや、人間の子どもを同じように出口のない部屋に入れ、蛇の模型を近づけると、近くにあったものをつかんで投げつけるそうです。
危険を感じたときにものをつかんで投げる。これは、人間の体がものを投げることができるからなのです。
★昔から夫婦喧嘩のやり方は近くにあったものをつかんで投げるということに相場が決まっています。★
誰かにゴムボールを投げてもらいましょう。(軽~~~くキャッチボールをする)
キャッチボールができるのは「片手でものをつかめる手」と「360度回る肩関節」のおかげです。
このように他の動物と人の体には大きく言って三つの違いがあるのですね。