おいしい水まずい水
4年社会。有田和正氏などのすぐれた実践家の授業を追試しながら、水の値段の違いに気づかせ、水の大切さに気づかせる授業。 (c)TOSS福井

1時間目
みんなで使っているトイレですが、学校全体ではいくつあるでしょう
班ごとに学校中のトイレにある便器の数を調べてきなさい。
便所を使ったときに流す水は、1回でこのペットボトル(1リットル)何本分だと思いますか。
・8本
学校で一人が1回トイレにいくとすると、どれだけの水がいることになりますか。
実際に計算して見せた。
小便の場合の計算である。
8リットル×747人=5,976リットル 5976本
*現在は5リットルから6リットル水を必要とする。
学校で使う水はトイレだけではありません。手を洗ったり水を飲んだりするのにも使います。そこで、どれぐらいの水を使っているのか、水道料金の領収書を調べてみました。すると、平成4年の2月、3月で月に2221立方メートルもの水を使っていることがわかりました。金額にすると319592円です。
では、みんなの家ではどのくらい水を使っているのでしょう。調べてきなさい。
社会科教育別冊11号(明治図書) 「下水道の授業は、大胆かつ下品に(1)(2)-西尾実践の追試」松本昇の修正追試。
2時間目
家ではどのくらいの水を使っていましたか。
◇平均80立方メートルほどであった。
○小学校やこの地区の水道の水は、どこから引いているのですか。
福井県地図を見て、ここではないかなというところをすべてあげなさい。
・日野川 ・足羽川
・九頭竜川 ・海
九頭竜川のどこらあたりから水を引いているのでしょう。
3時間目
水道の水は作ったものですか。自然のものですか。
討論を行った。
◇討論後、福井市の水道課が作ったビデオ「4年社会 いつでもおいしい水を」を視聴させた。ビデオの中には何度も「作った水」という言葉が使われ、作ったという考えの子が歓声をあげた。
有田和正氏の発問の追試。(「授業のネタ」 日本書籍 「水道の水は作られたものか」より)
4時間目
はじめに、水道の水、六甲のおいしい水、南アルプスの天然水を用意した。いずれもペットボトルにいれ、ラベルははがしてある。
子どもたちには、紙コップを3つもってくるように指示してある。
3つのコップにABCの記号を打たせ、それぞれのコップに水道の水、六甲のおいしい水、南アルプスをついだ。
どの水が一番おいしいですか。
◇Aは水道水、Bは六甲、Cは南アルプスである。
六甲のおいしい水や南アルプスの天然水は、作った水ですか、自然のものですか。
ミネラルウォーター(六甲のおいしい水、南アルプスの天然水)と水道の水では、どちらが値段が高いですか。
◇次のような計算を行い。水1リットルあたりの値段を出した。
六甲のおいしい水 268円÷ 2リットル=144円
南アルプスの天然水 218円÷1.5リットル=145.3円
水道水 1円 ÷20リットル =0.05円
ミネラルウォータは、自然のままなのに、なぜ作った水である水道の水より高いのですか。
・見つけるのが大変。
・あまりたくさんないから。
発問 東京の水と、福井の水ではどちらが値段が高いと思いますか。
東京の水 20立方メートル 2000円(東京都葛飾区金町)
福井の水 20立方メートル 1000円
*1994年調べ
福井市の水が安い理由を考えなさい。
福井市の水の半分は井戸からとっています。水をきれいにするのにたくさんの費用がかからないからです。
小山弘一氏の追試。「社会科教育」91年11月号の「比べてみられる技能をどう育てる
5時間目
はじめに、高度浄水場のしくみ(産経新聞93、2、28)を全員に配布して、記事を読み聞かせた。
高度浄水処理施設は、大変すばらしいのですが、問題がありました。それは、何ですか。
・水の値段が高くなる
おいしいくて値段の高い水の方がいいですか。安くてまずい水の方がいいですか。
ミネラルウォータの生産量は15年で5倍に増え、家庭用の浄水器が今ブームになっています。値段が高くても、おいしい水が売れるのです 。
6時間目
灰色のダムはコンクリートでできたダムです。飲み水や農業などに水がつかえるように、上流で水を蓄えています。では、白いダムとは何のことでしょう。
・雪
緑のダムとは何のことでしょう。
・森林
日本の森林2500万haの総貯水量は1894億トンであり、ダムの9倍あるという計算もあります。
今から50年後、福井の水道の水はおいしくなるでしょうか。まずくなるでしょうか。
討論をさせる
*この実践を行ってから20年。日本の水道の水は明らかにおいしくなっている。東京の高度浄水場でつくられた水道水は販売までされている。