VIEW: 5451

2年生全員が乗れた一輪車の指導

2年生19人全員が一輪車に乗れました。補助のステップも掲載されています。TOSS栃木ML推薦 No.1211017 http://www1.ocn.ne.jp/~mashikot/sub1.html
(原実践 松崎力先生 コンテンツ作成 塩沢博之)

1 指導をして
この一輪車の指導は,1年生の12月から始めた。
   19人である。
   その時点で,一輪車に乗れた子は2人であった。
   1年生の3月で,新たに3人が乗れるようになった。これで5人である。
   私も一緒に練習をしている段階で,子どもたちにしっかりとした指導をすることができなかった。
   また,体育の時間に練習することをせず,ほとんど自主的に行う子を集めて,休み時間に練習をしてい
  た。
   2年生の4月から9月いっぱいまでは,私が内地留学をしてしまい,その間乗れるようになった子は0人
  であった。
   10月1日から学校に戻り,また指導を再開した。
   この時から,以下のような指導を試みた。
   その結果,10月で3人,11月には新たに5人が乗れるようになった。
   そして年が明けて,1月には5人が乗れるようになった。
   残りの一人は,体が小さく,自分にあった一輪車がなかった。
   ペダルにはつま先しか届かなく,苦労していたが,3月には10メートル以上は乗れるようになった。

2 環境を整える

向山先生が言われるとおり,子どもたちを活動させるには,「時」「場」「もの」を保証することが重要になる。
 これは一輪車の場合も同じである。

(1)もの
   ものは,ズバリ一輪車である。
   一輪車は,身長にあったものを選ばせたい。そこで,次のように指示する。

指示 . 1

乗るところが,おへそのところにくる一輪車を選びなさい。

(2)場
   練習をする場所は,少し硬めの土がよい。
   砂地では,でこぼこができやすく,車輪がうまく進めない。
   上級者には,「あり地獄」などと名付けて,砂地に挑戦させると,
  バランス感覚が発達する。  
   また,男子体操競技の平行棒のようなものを作ると,よい練習
  場所となる。
   高さは1.2メートル程度。  
   持つところは,鉄のパイプで直径は5センチ程度。
   長いほどいいが,最低でも3メートルはほしい。
   進むに従って,若干低くなるような傾斜があるといい。

(3)時
   時を確保すると言うより、子どもたちに積極的に一輪車の練習をさせたい。
   練習は、体育の時間に行うが,やはり休み時間なども積極的に練習させたい。
   そのために一番いいのは,教師も一緒に練習することである。
   子どもたちに比べて,教師の上達スピードは遅い。
   私は37歳で,初めて一輪車に乗ってみた。約一ヶ月,毎日練習をした。
   教師が一輪車に乗っていると,いつの間にか子どもたちが集まり,一輪車に乗り出した。
   中には,応援してくれる子どもたちもいた。乗れる子どもたちは,乗り方を教えてくれた。
   少し乗れるようになると,一緒喜んでくれた。
   同じ頃に練習を始めた子どもは,どんどんうまくなっていく。
   そして,「先生、競争しよう。」と勝負を仕掛けてくれる子もいた。
   教師が一緒にやることが,時の確保につながる。

3 ポジションの指導
    始めたばかりの子は,サドルの上にどかっと垂直に座る子が多い。
    これでは,バランスがとりづらい。
    上手に乗れる子は、、姿勢が良く,、背筋が伸びている。
    その様子を見ていると,一輪車に垂直に乗っているような気がする。
    実は体重移動をしながら,一輪車を上手に扱っているのである。
    最初は,自分で一輪車を扱いやすい姿勢を指導する。

指示 . 2

体を「く」の字に曲げてみよう。

このようにして,腰を後ろに引かせる。
こうすると,ペダルを前に思い切り踏み込んで,スピードがでても,何とかバランスを保つことができる。
平行棒などで,このポジションは,十分に習得させたい。
ある程度乗れるようになったら,立ち乗りのポジションを教える。
片足をペダルに乗せる。
この時,乗せたペダルの位置は,時計の4時か5時あたりにする。
そして,乗るのであるが,サドルには座らず,重心を高くする。
その方が,バランスをとりやすい。

4 ジャングルジムの利用

一輪車の練習には,ジャングルジムが有効である。
    片手でジャングルジムにつかまりながら,周りを回るようにさせる。
    練習をしているうちに,徐々に手を離す回数が多くなってくる。
    手を離す距離が長くなればなるほど,上達したことになる。
    この練習方法であれば,補助は必要でないので,多くの子どもが同時に練習することができる。

5 補助のステップ

ジャングルジムや平行棒で,少しでも手を離すことができるようになってきた子には,教師が補助をして
   あげる。

ステップ1
    まず,教師の足を車止めにして,車輪が進まないようにする。
    そして,子どもにバランスをとらせてから始める。

ステップ2
    まず最初に教えたいのは,降り方である。
    後ろに落ちたとき,頭を打ってけがをしてしまうからである。
    必ず前に降りるようにさせたい。
    子どもの両手を持って補助をし,「1,2の3」で前に飛び降りさせる。
    これを繰り返し行うことで,バランスを失ったときに前に降りるタイミングを習得させる。
    フォームが「く」の字になっていれば,前に降りやすくなる。

ステップ3
    降り方を何回か練習したら,少し前に進んでみる。
    教師が両手を持ち,正面に立って補助をする。

ステップ4
    次は,片手で補助をする。
    その際,教師の手の平を必ず下にして,子どもの手を持つようにする。
    子どもが自分でバランスがとれるようになれば,自然に手の力が抜け,ふっと手を離すときがある。
    これを何回も繰り返すうちに,一人で乗れる時間が増えてくる。

ステップ5
    ある程度進めるようになってきたら,ゆっくりカーブをいれてみて,元いた地点に戻るようにする。

6 多様な練習方法

オン ザ ライン  
    一輪車がある程度乗れるようになってくると,子どもたちは余り乗ら
   なくなってしまう。
    それは,一輪車を乗るという単純な活動しかしないため,飽きてしま
   うのである。
    そこで,グランドに線を引いて,その上を進むようにする。
    カーブをつけたり,回転を入れたりすると,夢中になっ
   て取り組む。
    また,砂地にまで線を引き延ばすと,コースの難所と
   なり,そこを越えることを競い合って練習する。
    進む方向を指定すると,かなり上達する。

2人組
    2人組になり,手をつないで練習すると,多少バランスが崩れても,何とか乗り切ることができる。
    そして,少しずつ人数を増やしていく。
    このクラスでは,最高11人で手をつないで進むことができた。

ぐるぐる
 この名前は,子どもたちがつけたものである。       
 2人で手をつなぐ。
 右手同士が左手同士にする。
 そして,ぐるぐる回転をする。
 少しずつ人数を増やし,3人組,4人組とする。

その他
     ①一輪車に乗りながら縄跳びをしたり,ジャンプをしたりする。
     ②前,後ろ,前,後ろと踏み込み,その場から動かない。
     ③後ろに進む。
     など,いろいろな練習をしてみると楽しい。