聴覚障害児のための向山型算数 拡大図と縮図(東書)
指示・発問する際、手話や指文字を口話と併用し、聴覚障害児に対して行なった授業記録。木村重夫氏のサイト「同時進行の向山型算数」の追試。(TOSS中学日高見推薦) No.1310120 http://www8.ocn.ne.jp/~coo/kakudai-to-syukuzu.html
原実践:工藤由紀子先生
コンテンツ移行:門間政博

聴覚障害児なので、発問や指示は全て手話と指文字を、口話と併用しながら行なった。なお、授業は木村重夫氏のサイト「同時進行の向山型算数 東書6年2学期(拡大図と縮図)」の追試である。(TOSS中学推薦)
対象は高等部3年女子2名である。
《註》 論文中【 】内の{ }で囲った部分と数字は指文字とし、それ以外は手話とする。また、※は聴覚障害児に対して配慮した内容である。
「6 拡大図と縮図」とノートの新しいページに書きなさい。
【 6 拡大 {ズ} {ト} 縮小 {ズ} ノート 新しい 場所 書く 願う 】
※読み方が分からない生徒へは振り仮名を振るように指示した。(言語力に乏しい子への対応)
新学期の授業が始まって間もないので、日付とページが書いてあるか確認する。
日付とページも書いてありますか。
【 日 P 書く ある か 】
宇宙人くんがコピーをしています。
【 宇宙 人 男 コピー 】
その下。小さい宇宙人くんを指差しなさい。
【 下 小さい 宇宙 人 男 指す 願う 】
隣りの大きな宇宙人くん。
【 隣り 大きい 男 】
2人の宇宙人くんを、トレーシングペーパーにそっくりそのままなぞります。
【 2人 男 {トレーシング} 用紙 そっくり 同じ 書く 】
小さい宇宙人くんが描けたら見せてください。始め。
【 小さい 男 書く 終わる もらう 願う 】
※聴覚障害があるため、目線を教師側に向けているか確認しながら指示を出す。
作業開始の合図をするまではこちらを見ているよう指示する。
教科書折り目部分の大きな宇宙人くん(右端)が写しにくい。書けるところまでで構わないと指示する。
早く書けた子には、時間調整のため次の指示を出した。
トレーシングペーパーに書いた宇宙人くんに色を塗りなさい。
【 {トレーシング} 用紙 書く 男 色 書く 願う 】
同じ場所に同じ色を塗らせる。
女の先生の台詞を読みます。さん、はい。
【 女 先生 台詞 読む 】
※教師は、生徒に対して口元が見えるように注意しながら一緒に読んでいく。又、どこを読んでいるのかの指針として、内容理解の手助けとして、簡単にだが手話や指文字を併用する。
※大きな声で読むよう指示する。(発音を伴うことで、脳に刺激が行き、学習の助けになる。)
※全ての文を一緒に読むのは難しい。読み初めだけでも揃える様にと注意する。(きちんと読めているか確認し、読み方がおかしいところがあった場合はもう一度読ませる。)
描き終わったら見せてください。 始め。
【 書く 終わる もらう 願う 】
悩んでいる子には正解を描いたトレーシングペーパーをのせて答えを見せ、赤鉛筆で薄く、頂点を描いてあげる。
60ページ下□1を読みます。さん、はい。
【P 60 下 □(空書き) 1 読む】
(1)のヨットの図を指しなさい。
【 括弧 1 の ヨット {ズ} 指す 願う 】
縦1本のマストの線を赤でなぞりなさい。
【 縦 1 {マスト} 場所 赤 書く 願う 】
何マスですか。隣りに書きなさい。
【 {マス} いくつ か 隣り 書く 願う 】
二人が書き終えたところで、指名し答えを確認する。
同じように、(2)のヨットもなぞってみなさい。
【 同じ 括弧 2 ヨット 書く 見る 】
このことを次のように書きます。
【 この 事 (黒板を指し) 同じ 書く 】
≪板書 : (1) 縦4マス―□倍→(2)縦12マス ≫
□の中に数字を書きなさい。
【 四角 内 数字 書く 願う 】
これを先生の後に読みます。
【 (黒板を指し) 自分 後 読む 】
「縦12マスは、縦4マスを3倍にのばした長さです」
一人ずつ指名して言わせ、念のため全員でもう一度読ませる。 部分部分を隠すなど読み方に変化をつける。
次は横です。 (1)のヨットで横に1番長い線を赤でなぞりなさい。
【 次 横 】 【括弧 1 ヨット 横 最 長い 線 赤 書く 願う 】
縦と同様に横1本に限定し(1)(2)のマスを数えさせる。
横についても、 縦の場合と同じようにノートに書きなさい。
【 横 {モ} 縦 時 同じ ように ノート 書く 願う 】
最初の板書から5行空けさせる。答えを確認し○つけ。
時間の都合上、「拡大図と縮図」の1時間目はここまでで終わった。