家庭科 第一回授業 ガイダンス
家庭科の授業が初めての5年生への指導です。
2時間続きの授業です。

授業の流れ
1 家庭科室の約束
2 ガイダンス
3 目標決め 発表
4 家庭での仕事ふりかえり
5 次回の授業の説明
1 家庭科室の約束
家庭科室は、座席の配置、扱う道具が教室とは違う。
なので、一番初めの授業で、家庭科室の約束を確認する。
①先生がいる方に体を向ける。
家庭科室では、実習の説明、道具の使い方など教室のいろんな場所で説明をすることがある。
初めに、教師がいる方に体を向けて話を聞くことを徹底する。
②走らない。
当たり前だが、家庭科室では特に「走る」ことが大きな危険につながる。
「包丁を持っている人に走ってぶつかったらどうなる?」
「ミシンで縫っている時にぶつかったらどうなる?」
と具体例を出し、絶対に許されないことを伝える。
③大きな声でしゃべらない。
万一、実習中に事故があったとき、子どもたちが大きな声で話している中では、教師の指示が通らない。
「調理実習で、火事が起こった時、みんなが大きな声を出していると、すぐに気付かないことがあります。
先生が『逃げなさい』といっても、すぐに伝わりません。自分の身を守るためにも大きな声は出しません。」
と趣意説明をする。
④人の体に触らない。
包丁を持っている時、ミシンをかけている時など急に触ると怪我のもとだ。
少しちょっかいをかけたつもりが大事故につながることもあるので、初めに伝えておく。
⑤忘れ物をしたときの対応(専科の場合)
専科だと担任と違い、基本的には授業時間の中で対応することになる。
なので、先に忘れ物への対応を約束しておく。
・朝のうちに忘れ物は伝えに来る。
(エプロンなどを忘れた時も、朝伝えに来ていれば授業までに貸し出ししやすいように対応できる。
授業が始まってから伝えに来ると、貴重な実習の時間が減ってしまう。)
2 ガイダンス
家庭科は、どんな教科ですか。
初の家庭科なので、学習の見通しと心構えを持たせるために発問する。
「裁縫をする。」
「料理をする。」
「生活に役立つことを学ぶ。」
といった意見が出てくる。
出た意見を全て認めたうえで、話す。
家庭科はね、みんなの生活を変えることができる教科なんだよ。それも、学んだその日に変えていくことができる。
そのためには、みんなが家で何をするかが大切なんだ。
家庭科で勉強したことを、どういかすか、工夫してやってみるかが大事。
家庭科の学習が10あるとしたら、学校で学ぶのは、そのうちの2。残りの8は、みんなが家で実際にやってみるんだよ。
知識だけの家庭科、学校だけの家庭科にしては意味がない。
家庭科の学習は、自分の生活にいかしてこそ、価値がある。
以前、専科をした時は、家庭の事情によって、家庭で実践できるかは変わってくるから、子どもに家での実践を求めすぎてはいけないと考えていた。
もちろん、その点への理解は教師に欠かせない。
しかし、家庭の事情はそれぞれあるだろうが、それを乗り越える力を、強さを子どもに持たせたい。
「できないならしようがない。」
ではなく、「その中で、自分にできることは何か」考えさせたい。
自分から働きかけて家庭を変えることもできるんだという自信を持ってほしい。
学習内容の紹介
教科書の最初のページと目次を使って学習内容の紹介をする。
家庭科は、各学校のカリキュラムに応じて、教科書とは学習の順番を入れ替えることが多い。
2年間の見通しを持たせるために伝えておく。
また、新学習指導要領に示されている家庭科の見方・考え方である
●協力・協働
●健康・快適・安全
●生活文化の継承・創造
●持続可能な社会の構築
についても、ガイダンスの中で扱う。
3 目標決め
できることチェック
学習内容の一覧をプリントで配布し、家族とできること、自分一人でできることをチェックさせる。
(教科書会社のワークシートに入っている)
内容を確認したうえで、卒業までに家庭科で何を身につけたいか、とくにがんばりたいことは何か書きださせる。
目標の書き出し
卒業までにできるようになりたいこと、自分の目標を、思いつくだけノートに書きます。
なかなか書き出せない子には、さっき書いた『できることチェック』を参考にするように伝える。
また、「裁縫ができるようになりたい。」「料理ができるようになりたい。」といった目標ではなく、
「包丁で野菜を切ることができるようになる。」
「家族のために、栄養バランスを考えた献立を決められるようになる。」
のように、より具体的に書くように声をかける。
目標の発表
書いた目標の中から、一番がんばろうと思うことを発表します。
全員に発表させる。
*できる限り、指名なし発表がよい。
家庭科専科の授業、第一時でも、指名なし発表はできる。
途切れることなくスムーズにとはいかないが、教師が指名するよりテンポよく進む。
自分の発した言葉は、耳から入って、脳に刻まれる。
脳は、みんなを動かす命令を出すよね。
こうなりたい!と思うことをみんなの前で宣言することは、
なりたい自分になるための方法なんだ。
全員の前で宣言することは、なりたい自分に近づくための原動力になるよ。
と伝えると、発表したことの意味を高めることができる。
4 家庭での仕事ふりかえり
家庭の仕事にはどんなものがありますか?
ホワイトボードに書きだしたのち、自分がしていることに手を挙げさせる。
一番多いのは、食器の配ぜん。
逆に、料理作り自体は少ない。
洗濯物の取り込み、風呂掃除も比較的多い。
洗濯自体、トイレ掃除になるとぐんと減る。
買うものを指定された「おつかい」は経験しているが、
自分でものの選択をする「買い物」の経験は減る。
今、できていることとできていないことを再確認することで、
5年生の最初の学習につながっていく。
5 次回の授業の説明
まずは、コンロの使い方になれることから学習することを説明する。(学校のカリキュラムによって内容は異なる)
教科書で、コンロの扱いを確認しておくと次の授業での説明が減り、実習の時間を多く取ることができる。
忘れずに、実習時の持ち物(エプロン、マスク、三角巾、ランチョンマット)の説明もする。
エプロン、三角巾は自分一人で着脱できるように練習するよう話す。
そうしないと、当日おうちの人に渡されたエプロンで、どう着たらいいのか分からない子がクラスに2,3人出てくる。
慌ただしい実習の中で、対応しきれない。
予防線だ。
家庭科は、実習が多く、子どもたちが材料や道具を準備する機会も増える。
授業の終わりに、次回の授業の内容を確認するシステムにしておくと伝え忘れが減る。