「黒米」を食べることから、歴史の学習を見直す
「黒米」を食べることから、歴史の学習を見直す授業。3時間扱いの1時間目の授業。
原実践:戸井和彦先生
コンテンツ移行:門間政博

玄米は、籾から籾殻のみを取った米のことである。かつて、「黒米」と呼ばれていた。
しかし、古代に食べられていた「黒米」は、現在の玄米とは籾殻の色が異なる。黒っぽい色をしている。この「黒米」、現在では白米などに少し混ぜて、赤っぽい色をつけ、赤飯などとして食べられている。子どもたちに、この「黒米」を手がかりにして、「食」という観点から、歴史を学習をしてみた。その指導計画は次のとおりである。
昔の人が食べていたもの調べよう
1時間目 「黒米」を食べてみよう
2時間目 貴族や武士の食生活を比べてみよう
3時間目 貴族の食事、武士の食事の栄養を比べてみよう。
1時間目の授業
事前に用意しておくものは、次のものである。
・生の黒米
・鍋で炊い黒米
・ルーペ
まず、その生の黒米を各班に配ってたずねる。白い紙の上に置かせた。
これは、昔の人が食べていたお米です。これを観察して、気がついたことを書きなさい。
以前に、玄米と白米の違いを観察によって調べさせたことがある。そこで、今回は黒米のみとした。
黒米を知っている子は誰もいなかった。子どもたちは、「えっ、これ本当にお米」などと言っていた。10分くらい時間を取り、自由に調べさせた。玄米のときと同じようにどの子も、割って中の様子を見ていた。プリントに書かせたことを指名なし発表で言わせた。次のようなことが出された。
・中をつぶしてみると、白米が入っていた。
・黒い周りのものは皮みたいで、少し、玄米に似ていると思った。
・苦くて、においがきつかった。
・生の黒米には、くきのようなかなり細いのが生えている。
・まずそうで、食べる気がしない。
このあと、炊いているものを配って、実際に食べさせてみた。
黒米を食べてみて、気がついたことを紙に書きなさい。
「とても苦くてまずい。」
と答えた子が多かった。中には、「おいしい」と言って、他の子の分ももらっている子もいた。 「最初は何か変な味がしていたけれど、かんでいるうちにだんだん甘くなってきた。」というように、白米と同じようなことを書いている子がいた。
そのほか、食べてみた感想として、
・ねちょっとしている。
・赤い汁が出る。
・もち米に感じが似ている。
・おかずと組み合わせて食べる米ではないと思う。
などが出された。
この学習を土台に、奈良時代、平安時代、鎌倉時代などの食生活を比較させていく。例えば、奈良時代を見てみると、貴族は白米であるが、下級役人は玄米を食べている。平安貴族は白米であるが、鎌倉武士は玄米である。主食である米が歴史に大きな影響を与えているような気がしてきた。