「一人暮らしの方を訪問しよう」10のステップ
6年「総合的な学習の時間」での実践です。一人暮らしの方を訪問する活動のポイントを、10のステップで示しています。(TOSS熊本ML推薦) No.2153081 http://www6.ocn.ne.jp/~kouji21/hitorigurasihoumon.htm

6年で、「一人暮らしの方の訪問」を行った。
その実践を、10のステップでまとめてみた。
1、課題を出し合う
「一人暮らしの方の訪問」を行うにあたって、解決すべき課題を出し合うことから、授業をスタートさせた。
「行って何をするのか」「訪問の目的は何か」「どこに一人暮らしの方がいらっしゃるのか」「訪問してよいのか」「いつ訪問するのか」「グループで行くのか」などが出された。
2、「一人暮らしの方」がどこにいらっしゃるのか調べる
この点を明らかにしなければ、先へは進めない。
もちろん、「となりがそうだ」「○○さんちがそうだ」と知っている子も多かったが、地区によってはよく分かっていない子もいた。
家の人に聞くなどして調べさせた。
各地区に一人暮らしの方がいらっしゃることが分かった。
3、承諾を得る
訪問してよいか、承諾を得なければならない。子どもによる直接交渉を考えた。
行って話をする内容は、「訪問してよいか」「期日をどうするか」「子どもたちにやってほしいことは何か」の3点である。
「期日」や「やってほしいこと」については、項目を挙げ、選択してもらうようプリントを作成した。
教室で練習をさせた。はじめの挨拶から、一つ一つの質問、お礼の言葉まで、グループごとに確認しながら、練習していた。
グループ内の練習の次は、他のグループの人を相手に再チェックを行わせた。
このようにして、放課後、各グループごとに承諾を得に行った。
ほとんどのグループが「快諾」をもらってきており、とても嬉しそうだった。
一つのグループは期日の調整がつかず、別の方にお願いに行くことになった。
4、訪問期日の連絡
全グループ、「承諾」を得たため、学校から「訪問について」のプリントを作成し、訪問期日等について、正式にお願いに行かせた。
5、担任からの連絡
ここまで、地域の方との打ち合わせは、すべて子どもにさせていた。しかし、担任からの一言もぜひ必要である。
一軒一軒、電話を入れ、挨拶と期日の確認を行った。
「楽しみにしている」との話もあったりして、一安心であった。
6、プレゼント作り
訪問の打ち合わせのとき、そこの方からプレゼントをもらってきていたグループがあった。
そのグループから、「訪問のとき、プレゼントを持っていこう」と提案があった。
全員一致で「賛成」となった。
折り紙を使った小物や手紙、松ぼっくりやどんぐりを使った小物、手作りのカレンダーなど、さまざまのプレゼントを作った。
7、活動内容の確認
訪問して、やることや話すことを、グループごとに話し合わせた。
やることの希望は書いてもらっていたので、それにあわせて、活動内容の順番や具体的な動きを考えさせた。
そうじ、窓拭き、畑仕事、小物作り、折り紙、肩もみなど、さまざまな内容となっていた。
また、話の内容としては、昔の地域の様子のこと、昔の学校のこと、戦争中のことなど、だいたい共通していた。
8、訪問する
14:00から16:00までの訪問である。給食を食べて、すぐに訪問場所への移動である。
近くは100m、遠くは6kmである。遠いところは、車で送ることにした。
そのあと、各訪問宅を一軒一軒回ることにした。
どこのグループも、楽しそうにおしゃべりをしていたり、小物作りをしていたりして、活動がうまくいっている様子だった。
内容としては、予定のものばかりでなく、漬物を切る、大根を干す、洗濯物を取り込んでたたむ、楽器の演奏をするなど、いろいろな活動があったようだ。
おしゃべりの内容としては、昔の地域のことや学校のことのほか、昔の遊びのこと、昔の通学のこと、正月のことなどがあったようだ。戦争の話では、墨塗り教科書のことも聞いたようであった。
また、近所の方も呼ばれたりして、にぎやかに楽しむグループもあった。
翌日、訪問先の方から学校へお礼の電話があったりして、本当に喜んでもらえたことが分かった。
9、訪問のまとめをする
訪問の目的が2つあった。
① 交流したり、お手伝いしたりして、喜んでもらう。
② 自分たちにできることを進んでできるようにする。
これらのことを、念頭におき、感想を出し合った。
・進んでお手伝いできたことがよかった。
・楽しんでもらえたのがよかった。
・話をいっぱい聞けたのがよかった。
・長い話はできなかったけど、質問が3つできた。
・話を聞いてびっくりしたことがあった。
・肩もみをして喜んでくれた。
・窓拭きのとき、あまりおしゃべりできなかった。
「帰るとき何と言われたか」と質問すると、ほとんどのグループが「また来てね」などと声をかけてもらっていた。
しかし、唯一、あまりうまくいかなかった、というグループでは、「早く帰らんと心配さすよ」という言葉だったそうだ。
帰り際の言葉で、活動の成否が伺えた。
10、年賀状を書く
「年賀状ちょうだいね」と言われたグループもあった。お礼の意味を込めて、年賀状を書くことにした。
はがきを準備させ、それぞれ書かせ、それぞれで出させた。
新年になって、話を聞くと、「出した」「返事がきた」とのこと。学校にも年賀状が届いていた。喜んでもらえた証である。
最後に、子どもの感想を紹介する。
今日、ぼくは、訪問してみて、気付いたことが一つあります。それは、一人暮らしでもさみしくないということです。ぼくは、そのことを聞いたら、一人暮らしは楽しくやっていかないと、やっていけない、とおっしゃられました。(中略)一人暮らしの方は、子どもや近所の人などが来てくれると、とってもうれしいということが分かりました。
最後に、話をするのがとっても、一人暮らしの方は好きなんだなあということも分かりました。また、一人暮らしの方のところへ行って、一緒に話がしたいと思いました。
やっぱり知っている人だったからかもしれないけど、気軽に話せるし、おばあちゃんたちも、普通に近所の人にしゃべるように、しゃべってくださってよかったです。だいぶん会話がはずんでよかったです。「ありがとうね」と言ってくれてよかったです。
折り紙でつるを折ってわたしたら、「わー記念にかざっとかんばんね。あなたたちもここにきたことを忘れたらあかんよ。」と言われて「ハイ」と答えました。
一人暮らしの方の訪問で喜んでもらえたし、前より仲良くなれました。