国語B問題対応授業(1)
全国学力調査「国語B」に対応させた授業の第一時です。準備するものは、平成19年小学国語Bシカク1の問題だけです。ここでは「条件」という言葉の意味を教えるところから始めました。
板書
「条件」とは何ですか。
例をあげてできるだけ詳しく説明しなさい。
教室は「えっ」という感じになる。
教師はノートを持って来るのを待つ。
辞書で調べる子も出る。
最初は意味を写しただけになるだろう。
「辞典で調べたのがえらい!10点!80点以上が合格です!」
何人かが同様に続く。
「同じく10点。問題をよく見てね」
意味しか書いていない子が続く。
やがて、例を付ける子が出る。
「すごい!20点!ちゃんと例もありますね。でもこれ、普通の例だからね。」
教室が徐々に熱を帯びて来る(ようにする)。
高得点が出ると更に盛り上がる。
次のようなノートが出てくる。
条件というのは、あることを決めるために必要なことです。
例をあげると、「ぼくは一週間以内に返すという条件でA君にゲームソフトを貸した」という感じで使います。
「うん、意味もあるね。自分で分かりやすい例をあげているなあ。しかもおもしろいね、この例。80点!」
合格者がある程度出たところで区切る。
「今日から国語の難問に挑戦してもらいます。B問題とも言われています。Aが基本でBが応用という意味です。「条件」という言葉は、そのB問題を解く時に大事な言葉です。また、みんなが大人になって社会で働くときにも大事な考え方になります。今日から何度も出て来ますので使いこなせるようにしましょう。」
ここで、平成19年小学国語Bシカク1の問題を配る。
両面印刷にすればA4一枚で済む。
表に名前を書かせる(解答用紙は無くても出来る)。
取り組む前に次のことを指導する。
「問題が配られたらまずどこを見ますか」
指名。「シカク1の最初の文から読む」という意見と「その他」に分かれる。
「その他」と答えた子の考えを聞いてみる。
「後ろの問題を先に見る」
このように答える子が出る。
「この考えに賛成ですか反対ですか」
手をあげてもらい、説明する。
「普通のテストの時は最初から見ていても大丈夫かもしれませんが、難問ですからね。難しいんです。時間がかかります。ゆっくりやって行って時間切れになる場合もあります。効率よく取り組むことも大切です。効率よく取り組むためには、A君のように、問題文を先に読んで『これから何を聞かれるのか』を先に知っておくのは大事なやり方です。みんなが社会に出て仕事に就いた時にも、時間と結果が大切になってきます。『先を読んで仕事をする』というのは大切なことなんです」
最初の文から読むことは否定しない。ざっと目を通すことは必要である。ここで重要なのは、「いつまでも最初のところをだけを熟読するのではなく、順序を無視して問題にも目をやる」ということである。むしろ、問題をよく読むことの方が重要であり、その「よく読む」を更に具体化しておくことの大切さを教える授業ということである。
「では、問題一を読んでみましょう」
指名して読ませる。
「問題一の中で大事なところはどこですか」
指名。波線が付いている「ふさわしい言葉」が指摘される。
「どうしてそこが大事なのか」→「波線が付いているから」ということも確認しておく。
「つまり、この問題は『ふさわしい言葉を答える問題なんだなあ』という風に考えておけばいいのです。
「まだあります」
ここは気づかないかも知れないが必ず触れる。
「もう一つは太字のところです」
「どうして太くなっているのですか」→「大事な所だから」という当たり前のことでも確認しておく。その上で次のように言う。
「太くなっているのは、『そこに関係のある所が本文の中にありますよ』という印なのです。この問題で言うと、『3司会』『四角ア』が太くなっていますね。ということは、本文の中に『3司会』と『四角ア』が出ているはずなのです。探してごらん。見つけた人?」
子どもの中から声が起こる。
「あ、ほんとだ。こっちも太くなっている!」
「そうですね。問題の中の太字は、本文の中でも探しやすいように太字で書いてあるのです」
B問題に太字が多いのはこのためである。
この構造がわかれば、太字は邪魔物ではなくて便利な手懸りになる。
「ということで、この問題一を見る時に大事なところは二つです。一つは波線のところで、もう一つは太字のところ。波線は答えるときに頭に入れておく大事なことで、太字は探すときに頭に入れておく大事なことです」
「では聞きます。問題一で、探すのはどこで、答えるのは何か言ってください」
数名指名。「探すのは『3司会』『四角ア』で、答えるのは『ふさわしい言葉』です」と言えれば合格。
「では、この難問に挑戦してみましょう!」
問題一と二の両方に取り組ませる。
問題二は指導なしでの挑戦となる。早く終わる子も出るので時間調整にもなる。解答は余白や枠を適宜使わせる。
できれば全員に二問とも取り組ませたいので早く終わった子には別な課題を与えるなどの調整も考える。
終了時間を指定して答え合わせ。配点は適宜(「二問あるので一つ50点」とか「一が80点、二が20点」など)。
一人指名して各自でマル付け。マルかバツか自信のない場合には手をあげさせる。
補足1:問題二の答え合わせの時に「この中で司会者を困らせた人は誰ですか?」と聞くと盛り上がる。
補足2:「池田さんの提案に出てくる条件は何ですか」と話し合いの内容から条件を取り出す授業も考えられる。
補足3:B問題においては、情報を取り出すときに条件思考が必要とされます。条件に合わせて読解したり解答したりしなければなりません。そういった使い方の条件が重要なのですが、この問題ではテキストの中の学級会の場面の中で条件という言葉が使用されています。問いに答えるための条件思考とは別なのですが、活用前の基礎の基礎として授業を組み立てました。
【必要教材】
平成19年度全国学力調査問題(小学校国語B)
http://www.nier.go.jp/tyousa/07mondai_shou_kokugo_b.pdf