「一ばんみじかい叙情詩」(寺山修司)実践記録
光村図書5年に掲載されている詩。発問からイメージを広げ、主題を考えた。

寺山修司が4行で綴った詩。
“なみだは にんげんのつくることのできる 一ばん小さな海”という
平易な言葉で綴られているシンプルな詩だが、意味を考え出すと深い。
もとの詩は、『寺山修司少女誌集』に収録されている。
詩集には、「海」という章があり、海に関する14編の詩がある。
寺山修司の海に関するイメージや捉え方を知りたくて詩集を読んだが、縦横無尽、様々に広がっていて、
読めば読むほど分からなくなってしまった。
だが、それがよい。
いろいろな解釈ができることが詩の面白さでもある。
子どもたちと様々な解釈をつくっていく授業を試みた。
考えたこと、思ったこと、疑問点を書きなさい。
・なぜ、漢字ではないのか。(なみだ、にんげん)
・なみだには、思いが込められている。
・たくさんの思いが海ということなのではないか。
・なぜ、題名が「一ばんみじかい叙情詩」なのか。
・「人間がつくる」とは、どういうことか。
・なぜ、涙を海にたとえたのか。
・作者は、どんな気持ちだったのか。
・作者は、海をみて、何かを思い出しているのではないか。
・作者の気持ちを知りたい。
「なみだ」からイメージすることは何ですか。
・悲しみ
・苦しさ
・悔しさ
・痛み
・憎しみ
・恐怖
・喜び
・うれしさ
・死
・目
・雨
・感情
・感動
・人生
「海」からイメージすることは何ですか。
・おだやか
・豊か
・生命
・太平洋
・波
・魚
・塩
・しょっぱい
・楽しい
・気持ちいい
・恐怖
・死
・美しい
・青
・広い
「なみだ」と「海」、どんなところが似ていますか。
・水
・液体
・しょっぱい
・感情がある
・豊かなこと
「なみだ」と「海」、どんなところが似ていませんか。対比しなさい。
・大きい←→小さい
・人←→自然
・量が多い←→量が少ない
・音がしない←→音がする
・魚がいない←→魚がいる
・命がない←→命がある
・安全←→危険
・感情がある←→感情がない
「人間のつくることができる」と「人間のつくる」とでは、どう違いますか。
前者だと、つくることもできるし、つくらないこともできる、可能性があるという意味になることを子どもたちは指摘した。
何を伝えたい詩だと考えますか。
ノートに書かせ、教師のところに持ってこさせ、黒板に書かせた。
子どもたちからは、次のような意見が出た。
・涙には、たくさんの感情がつまっている。
・人間の涙には、たくさんの感情がこもっている。
・涙は、豊かな感情。
・涙は、海のようにたくさんの感情を表現できる。
・涙は、海のように様々な感情がこもっている。
・人間には、何でもつくることができる可能性がある。
・人間には、何でも作れる力がある。
・人間が支配する自然。
・人間には、人間にしかもっていない可能性がある。
・海は美しい。
・自然には、作れないものがある。
・いろいろな思いがこもった作者の気持ち。
自分なりの解釈をもてた子を褒めた。
(日記の代わりに、分析したこと、考えたことをノートにまとめさせた。)