『スイミー』全指示・全発問1
音読の練習の後からの実践報告である。まず、設定を扱う。時・所・登場人物である。この中では、登場人物がおもしろい。主役はスイミーで決まりだが、対役は「小さな魚たち」と「まぐろ」に分かれる。どれだけ理由を言うことができるかがポイントとなる。

1 主役と対役を検討する
まず第1時は、音読を中心に行った。範読、一文追い読み、新出漢字の読み、起立読み、一文リレー読み、漢字スキルと行った。
第2時は、起立読み、指名なし音読2回、漢字スキル、登場人物の検討と行った。
その中の登場人物の検討から報告する。
お話に何が出てきましたか。
すべて挙げなさい。
出てきた順にひとつずつ発表させていった。次のものが出された。
小さな魚のきょうだいたち,スイミー,まぐろ,くらげ,いせえび,見たこともない魚たち,こんぶやわかめ,うなぎ, いそぎんちゃく,小さな魚のきょうだい、大きな魚
ここでは、ブルドーザーややしの木、ドロップ、ミサイルはだめである。たとえとして使われているだけである。
ちなみに、場所といつの話か聞くのもいい。
場所は「広い海のどこか」、いつの話かは「ある日」である。
第3時は、起立読み、一文リレー読み、赤ねこ漢字スキル、主役・対役の検討を行った。
登場人物の続きである。
このように聞く。
主役は誰ですか。
全員がスイミーと答えた。
理由を聞いてみた。次のような意見が出された。
・題名がスイミーだから
・よく出てくるから
・スイミーのことがいっぱい書いてあるから
・大きな魚をおい出す方法を思いついたから
・スイミーが目になるから
・およぐのがだれよりもはやいから
・スイミーがまぐろに食べられずにすんだから
・しゃべるところが多いから
・一ぴきだけからすがいよりもまっ黒だから
けっこう理由が出るものである。
ここで、「スイミーはまぐろよりもはやくおよげるのですか。」と「まっ黒と黒ではどちらが黒いのですか。」と聞いてみた。
それにしても、「大きな魚をおい出す方法を思いついたから」とか「スイミーが目になったから」とか核心に踏み込んだ内容まで意見が出されたのには感心した。2年生でも考えるものだ。主役を聞く発問は有効だと思った。
次に、対役を聞いた。
対役とは、「主役の考えや行動を変えるもの」とした。
対役はだれですか。
このようになった。
小さな魚たち…24人
まぐろ…3人
見たこともない魚たち…1人
それぞれ理由を発表させた。
小さな魚たち…スイミーといっしょに大きな魚を追い出したから,力を合わせて大きな魚になるから,2番目にいっぱい出てくるから
まぐろ…みんなを食べてしまったから,最初食べて最後に追い出されたから
見たこともない魚たち…見て元気になったから
見たこともない魚たちは、1回だけしか出てこないから対役ではないとなった。
さて、小さな魚たちか、まぐろかである。
そこで、私は次のように聞いてみた。
スイミーはなぜ考えたのですか。
・まぐろがおそろしいから
・まぐろをおい出すため
・なかまを食べられたかたきのため
まぐろがいなかったら、スイミーは考えましたか。
・考えなかった
そこで、私は次のように言った。
「対役はまぐろだと考えます。なぜなら、まぐろがいなかったら、スイミーは考えなかったでしょう。主役の気持ちや行動を変えるものが対役なのだから、まぐろはスイミーの気持ちや行動を変えさせたので対役ということになります。」
ここは、教師の方で、教師の解釈を言った。
しかし、小さな赤い魚たちが対役ということも考えられないことはない。すなわち、小さな赤い魚たちのおくびょうさを見るにつけ、自分が何とかしなくてはと思ったという場合である。スイミーはリーダーとしてがんばろうと決心したというなら話はわかる。
理由がきちんといえればどちらもよしとしたい。