できない子ができるようになる後転の指導
前転や後転につながる最も大切な運動は「ゆりかご」である。この「ゆりかご」をスモールステップで指導し、後転につなげていく指導法である。
スモールステップを踏むことで、ほとんどの子はできるようになる。しかし、全員はできるようにならない。
できない子をできるようにさせ、できる子もさらに上手にさせなければならない。その指導法を紹介する。

(1)「ゆりかご」のスモールステップ
①マットの上で、体育座りをする。
「手で膝を抱え、お腹と膝をつけなさい。背筋をピッとします。」
②手で膝を抱えたまま、後ろに倒れ、「ゆりかご」をする。
「そのままゆりかごをします。何回もやります。」
③手を離して、ゆりかごをする。
「先生に背中が見えるように「ゆりかご」をします。」
④後ろにいったときに、手をマットにつけさせる。
「後ろにいったときに、マットに手を着きます。」
⑤起き上がった時に、お尻を浮かせる。
「起き上がったときに、お尻を床から浮かせます。」
⑥後ろにいったときに、つま先をと床に着ける。
「後ろにいったら、つま先を「ポン!」と床に着けなさい。」
⑦⑥の動きを中腰の姿勢から行う。
「起き上がった時、中腰の姿勢になります。」
⑧立った姿勢から行う。 *少しずつ、腰の位置を高くしていく。
(2)後転指導のポイント
①ゆりかごによる手の着き方
②加速させるためのお尻の位置
③目線
②加速するためのお尻の位置
「後転をします。お尻をできるだけ遠くに、落として勢いをつけて回ります。」
③目線
「目はずっとおへそを見ています。」
*この指示で回転がスムーズになる。
①ゆりかごによる手の着き方
「手をちょうちょにして、首の後ろに持っていきます。後ろに転がったときに手の平をマットに着けます」
基礎感覚作り
マット運動に必要な主な基礎感覚は、三つある。
一つは、腕で体を支える「腕支持感覚」である。
前転や後転で、片方の手がふにゃっと曲がってしまう子がいる。床を押し、自分の体を支えるという感覚が身についていないからだ。
二つめは、腰よりも頭が下になる「逆さ感覚」である。
日常生活では、このような動きはほとんどない。身につけさせるためには、体育の授業で意識して取り組まなければならない。
三つ目は「回転感覚」である。
マット運動はその動きから「回転系の技」と「倒立系回転系」の技に分けられる。
(回転系・・・・・前転、後転、開脚前転等)
(倒立回転系・・・側方倒立回転、ハンドスプリング等)
どちらも体を回転させるので、その技の基礎感覚を低学年の時期に身につけなければならない。
この三つの基礎感覚を身につけさせる運動を、準備運動に計画的、継続的に取り入れていくのである。
①いぬ歩き(四つ足歩き 膝をつけないように歩く。)
②クマ歩き(「いぬ歩き」の発展型 膝を伸ばして歩く。 これにより頭が腰よりも下がる)
③かに歩き(仰向けの姿勢で、手足を使って歩く。お尻を床に着けない。)
④うさぎ跳び(「トン・パッ」のリズムで 手を着いたところよりも前に着地する。)
⑤アザラシ歩き
⑥手押し車(「アザラシ歩き」の発展型 足を持つ位置は、足首ではなく、膝又は膝の近く。)
⑦カエル倒立
⑧肩倒立
⑨V字バランス
⑩三点倒立