低地の人々のくらし
教科書に掲載してある海津市の航空写真の読み取りを中心に低地のくらしを授業した。作業を中心に授業を進めるため教師の説明はほとんど必要ない。討論を含め4時間で終了する。
1時間目 海津市の航空写真の読み取り
教科書あるいは資料集に掲載されている海津市の航空写真を提示する。
海津市の写真を見て、分かったこと、気がついたこと、思ったことをノートに書きなさい。
箇条書きでノートに書かせる。作業時間は5分。1枚の写真から多くの情報を読み取らせ、低地のくらしについての体験の層を厚くすることがねらいである。
発表しなさい。
列指名で、10名ほど発表させた後、自由に発表させる。板書はしない。教師は聞き役に徹する。水害からくらしを守るための工夫について発言した児童がいた場合は、しっかり記憶しておく。
このあたりに住む人たちは、ある災害に苦しめられてきました。その災害とは何だと思いますか。
水害を防ぐための工夫へと授業を向けていくための発問である。写真の読み取りの段階で「水害が多かったと思う」というような読み取りをしていた児童がいる場合は、「○○君は、この地区では水害が多いのではないかと発言しました。みなさんは、この意見に賛成ですか」というように展開する。
水害を防ぐための工夫を写真から見つけなさい。
堤防や排水機場などを見つけてくるはずである。
このようにして海津市全体を概観し、低い土地を生かしたくらし方への授業を向かわせていく。
2時間目
海津市では、水害を防ぐためにどのような工夫をしていますか。教科書や資料集を使ってノート1ページにまとめなさい。まとめるときには文字はできるだけ少なくしなさい。
できた子たちに板書をさせ、説明をさせて授業は終わりである。
3時間目
海津市に住む人たちは、低い土地を生かして、どのような産業を発展させてきていますか。ノート1ページにまとめなさい。まとめるときは、文字をできるだけ少なくしなさい。
2時間目と同じように発表をさせ、授業を終わる。
4時間目
海津市の航空写真を再び提示する。
今から20年後、海津市の上空から同じように写真を写したとします。海津市はどのように変わっていると思いますか。ノートに箇条書きで書きなさい。
これまでに蓄積している情報をもとに近未来の姿を予想させる。
私の学級では「水害はほとんどなくなっている」「水を生かした産業が増えてくる」という考えが多かった。そこで、水害は今後増えるか、あるいは、減るかについて話し合った。
地球温暖化の進行にともない、ゲリラ豪雨に代表されるような局地的な大雨が降る確率が高くなると考えています。そうなると堤防を中心とした水害対策だけでは、間に合わないと考えています。そこで、仮に堤防が決壊しても、被害が少なくなるような町づくりを進めています。例えば、公園を低くして、そこに一時的に水をためておく施設や貯水池などの整備を考えています。海津市にもそうした施設が新たに作られてくるかもしれません。