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瓶にさす藤の花ぶさ…(正岡子規の短歌)

作者の「見えているもの」と「視点」を問うことで、「瓶にさす藤の花ぶさ・・・」という短歌に込められた作者の心境や境遇を考えさせることができる。

【授業のねらい】

(1)具体的な状況を設定することで、作者の視点の位置を予想するできる。
(2)作者の視点から現在の境遇を考えることができる。

【授業展開】(短歌は一行で板書する)

(板書)瓶にさす藤の花ぶさみじかければたたみの上にとどかざりけり

指示 . 1

(指示)全員、起立。自由に読んでごらんなさい。

何度か読ませた後、列指名で読み方を確認していく。瓶(かめ)がなかなか読めない場合は、教師が読み方を簡単に教える。

発問 . 1

季語は何ですか。  【藤の花(ぶさ)】

発問 . 2

季節はいつですか。 【春】

「季語」と「季節」をテンポ良く聞いていく。この時に、藤の花の写真を見せておく。そうすると、後で藤の花をイメージしながら、図を描くことができる。

発問 . 3

話者には、何が見えていますか。

指示 . 2

ノートに書きなさい。

生徒から共通してでるのは、「藤の花(ぶさ)」「たたみ」「瓶」である。

指示 . 3

話者から見えている状況を簡単な図に描いてごらんなさい。

発問 . 4

藤の花から畳までは、どのくらい距離がありますか。

生徒達の絵を「畳までまだまだ遠い派」「もうすぐつきそうな派」「遠い派とつきそうな派の中間」の三つに分類し、挙手で人数を確認する。

発問 . 5

話者は、その藤の花をどこから見ていますか。

指示 . 4

見ている位置に目玉を書きなさい。

目玉の位置もだいたい三つに分かれる。「上から」「正面から」「下から」である。そして、なぜ目玉をその位置にしたのか、理由をノートに書かせる。
生徒の次のような意見を書いてくる。
「寝転がって、下から藤の花を見ているから、畳に届くか届かないかが分かる」
「藤の花を正面から見たから、そのうつくしさに気付いて短歌を作った」
ここまでで視点の位置は確定できないが、だいたいの見え方が生徒のなかで決まってくる。

発問 . 6

そうやって藤の花を見ている話者は幸せですか。幸せではありませんか。

指示 . 5

幸せだと思う人は、丸。そうではないと思う人はバツと書きなさい。理由も書きます。

「幸せか、そうではないか」を挙手で確認し、意見を発表させていく。この発表で、藤の花を見ている話者の心情や状況が想像できるようになるである。
最後に、正岡子規の状態を説明しながら、教師の解を告げる。

説明 . 1

この短歌の作者であり、話者は正岡子規です。 正岡子規は、この短歌を詠んだとき、寝たきりに近い生活をしていました。脊椎カリエスという重病だったからです。寝返りをうつのにも激痛が走りました。 ですから、正岡子規は寝ながら藤の花を見ていたことになります。つまり、下から藤の花を見たことになりますね。

作者の位置が決まると生徒達は畳まで距離や、目玉の位置について納得することができる。
発展問題として、正岡子規が藤の花に対してどのようなイメージを持っているかを考えさせることも可能である。

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