音の数に注目「八五調」を教える
北原白秋の作品を教材として,童謡でよく使われた「八五調」を教えます。2006年3月21日,卒業間際の6年生を対象に20分ほどで授業をしました。

次のようなプリントを配る。
◆アメアメ フレフレ、/カアサン ガ
ジャノメ デ オムカイ、ウレシイナ。(『アメフリ』)
◆足踏みしている、/僕たちは。
空にはながれる、/よい雲が。(『足踏み』)
◆ぶらぶらじいさん、なまけもの、
まいにち、ぶらぶら、出てあるく。
◆水馬赤いな。ア、イ、ウ、エ、オ。
浮藻に小蝦もおよいでる。
柿の木、栗の木。カ、キ、ク、ケ、コ。
啄木鳥こつこつ、枯れけやき。(『五十音』)
◆なるほど、なるほど、/なるほどな。
なるほどじいさん、/なるほどな。(『なるほどじいさん』)
「これらは北原白秋が作った童謡の一部です。」
共通することは何ですか。
ノートに書かせ,持って来させた。
「四・四・五の音になっている。」「八・五になっている。」という答えが出てきた。
八五調といいます。(「八五調」と板書)北原白秋の作った童謡には,八五調のものが多いのです。
「これも、北原白秋の作品です。」
と言って,『山のあなたを』(ルビなし)のプリントを配る。
山のあなたを、
見わたせば、
あの山恋し
里こひし
今学習したことをふまえて読んでごらんなさい。
1人ずつ音読させる。
「合格」「不合格」で評定していく。
何人か不合格が続くうちに,気付く子が出てきた。「山のあなたを」を「やあまのあなたを」と読む。「あの山恋し」を「あの山こーいし」と読む。そういう子が出てきたのだ。
「この詩も八五調で読むのです。では,八五調でこの詩を十回音読しなさい。」
数名に暗唱させて,授業を終えた。
『名作童謡 北原白秋100選』上田信道編著(春陽堂)に収録されたこの詩には「山(やアま)」,「恋(こウい)し」とルビが振ってある。
が,原典(雑誌『赤い鳥』大正七年八月号)では,次のようにルビが振ってある。

「山のあなたを」の頭に休拍を一つ置いて読むのも合格としてよかったのかもしれない。