「もみじ」を二部で歌う技術をつける「変化のある繰り返し」
4年生のクラス授業で二部に分かれて歌うのは、なかなか難しい。歌う声を作り、合唱する力をつける「変化のある繰り返し」のパターンを多用して鍛えていきたい。

音とりする
聞こえてくる言葉を指で押さえながら聞きます。
範唱CDを聞く。
範唱を聞くときには、聞こえている部分を指で押さえるようにすると、聞いてほしい音に集中できる。また、二部合唱の楽譜で歌う段を間違えることも減らす事ができる。
以下の音とりパターンから、子どもたちの様子によって1〜3種類組み合わせて音とりをする
【音とりパターン1】 ハミングで歌います。
範唱CDに合わせてハミングする。間違えても目立たないので挑戦しやすい。
【音とりパターン2】 LaLaLaで歌います。
範唱CDに合わせてLaLaLaで歌う。
音がわかりにくそうな時には、CDの音にかぶせてソプラノの音をピアノでガイドするとよい。
【音とりパターン3】 BonBonで歌います。
長い音符は、nで伸ばさないで母音のoで伸ばし、次の音に移る直前にnを言う。
【音とりパターン4】 DonDonで歌います。
LaやBonに比べると、細かいリズムの甘さが際立って聞こえるようになるので、歌えていない部分は取り出して練習する。
【音とりパターン5】 nGonGoで歌います。
横崎剛志先生や坂本かおる先生の指導にでてくる「んご」の前にBonやDonで練習する方法は、ウィーンを中心に長く合唱指導をしておられるエルビン・オルトナー氏のセミナーで習った。
いきなり「んご」で歌うより、リズムや音程の甘さを修正していくことができるように感じている。
【音とりパターン6】 リップロールで歌います。
唇をブルブル震わせて音を出す。やり方がわからなければ、Youtubeで検索すると沢山でてくる。
息のスピードや分量が適切でないと、うまくできなかったり、音が途切れ途切れになったりするので、歌う力をつけるには非常に有効な手段だ。
歌詞で歌います。間違えても大丈夫ですよ。周りで間違えた人がいても、無視するのが本物の友情!
間違えた人を無視できる集団を作っていく。そうすれば、間違えを恐れずに色々な事に挑戦していくことができる。
ここまでで約5分〜7分。新曲視唱はパターン化してしまうとよい。
次の時間も、まず音とりパターンのどれかで復習してから歌詞で歌うようにすると心配な子も少しは安心して歌える。
アルトパートも同じように音とりする。
ハーモニーをつくる
教科書記載の「もみじ」の二部合唱アレンジは、輪唱のようになっていたり、まったく違う音形が重ねてあったりする。この面白さを表現するには、まず歌詞ではなくBonやDonのような単純な音で合わせてみることだ。
上のパートをBonで歌います。
今度は、下のパートをBonで歌います。
全員で固まって歌うと、音がわからなくなりやすい。パートの立ち位置をなるべく離すのがおすすめだ。
上のパートは音楽室の窓側、下のパートはドア側に集まって歌います。
歌う位置に立ったら、体の向きを考えさせる。
心配な人は相手パートに背を向けて、まぁ大丈夫という人は正面を向いて歌います。
1回歌ったら、少しレベルアップする。
大丈夫そうな人は正面に向きを変えます。完璧!という人は相手パートの方を向きます。心配なら、そのままの向きでいいですよ。
身体の向きを教師が決めてしまうのではなく、自分の判断で決めさせるのが効果的。
数回くりかえして、ハモる経験を積んでいく。うまくいかなくても深追いせず、さっと切り上げて次回トライする。
初めてなのによくハモったね。最後に歌詞で歌おう!
次の授業まで発酵させておくと、もっとうまくなるよ。
いきなり子どもたちに合唱させてもうまくいかないかも?と不安な時は、ソプラノだけを全員で歌って録音しておき、それを聞きながら全員でアルトを歌う手法もつかえる。
逆に、アルトだけを録音しておいて、上にソプラノを乗せていくと気分転換になる。
生の声を録音した声は、同じ人や同じ団体であっても少々違って聞こえるので、つられにくいのだ。
Bonでハモる方法で書いているが、音とりパターンのリップロール意外なら全部使える。毎時間、色々なパターンに変えて、飽きずに取り組んでいくと、ハモる力がついていく。