大気圧・水圧
大気の柱、水の柱を考えて、その柱が面を押すと考えると、大気圧も水圧もただの圧力と同じ考え方で考えることができる。細部にこだわらず、サクサクと進めたい。

1.復習
復習。
圧力とは何でしたか。
お隣に説明します。
どうぞ。
参考TOSSランドコンテンツ:
(高校)圧力とは何か
(中学)2年天気2 大気の中で働く力②
忘れた様子が窺えたら、教科書、ノートを見てもいいと告げる。
列指名で対応する。
「単位面積当たりの力です」
言えない生徒がいたら、立たせておき、列の最後の生徒の次にもう一度発表させる。
間を開けず、次々発表させていく。
圧力の公式をお隣に言います。
どうぞ。
対応の仕方は発問1のときと同じ。
「圧力=面を押す力÷面積」
「p=F/S」
言葉の式でも記号の式でもどちらでもよい。
圧力を説明する図を頭にイメージしなさい。

こうなりましたか。(どちらか一つの図が書けていればよい)
ペットボトルの実験を覚えていれば、思い出せるはず。
忘れていても、教師が書いた図を見て、「あぁ」と思い出せればよい。
忘れていた生徒の人数を確かめ、多いと感じれば、黒板の図を使って、圧力を説明する練習をさせる。
2.大気圧・水圧
大気圧とは何ですか。
お隣と相談。
相談の様子を見守る。
1分もかからず相談は収束する。
指名なし発表で対応する。
「大気が単位面積当たりに押す力」
というように、大気が押す力が出れば良い。
図で表します。
ノートに書きなさい。
参考図
大気の上下運動と気温の変化(引用サイトへのリンク) > 1-5 高いところほど気圧が低い(提示したい図へのリンク)
指示3で板書したペットボトルの図で、ペットボトルが大気の柱になったと考えればよい。
この柱の重力がW、柱の底面積がSとします。
大気が地面を押す圧力pを求める式を書きなさい。
指名なし発表で対応する。
「p=W/Sです」
正解。
大気の柱が地面を押す力Fは大気にはたらく重力Wに等しいからである。
次。
水圧を考えます。
先生は、何というでしょうか。
予想できる人、挙手。
挙手があれば、発表させる。
挙手がなくても、発表が間違っていても、平然と受け流して、
指示を出す。
水圧とは何ですか。お隣に説明しなさい。
海底でもいいし、魚の表面でもいい。水中のどこかに一つの水平な面を思い浮かべなさい。
水面、海底面を表す水平線を黒板に書く。
魚を一匹、2本の水平線の中間あたりに書く。
水圧を説明する図を思い浮かべます。
思い浮かんだら、どんな図を思い浮かべたのか、4人で情報を交流しなさい。
次の参考図に示すように、大気圧力を説明する図の大気の柱が水の柱に置き換わった図になっていればよい。
参考図
海洋観測コラム:深さと圧力(引用サイトへのリンク) > [図2](提示したい図へのリンク)
この水の柱の重力をW、水の柱の底面積をSとして、
水の柱が底面を押す圧力pを表す式をノートに書きなさい。
できたら、できました(と言いなさい)。
大気圧と同じ状況だと気づくから、すぐできるはず。
「できました」
式をいいます。
さんはい。
「p=W/S」
その通り。○。
圧力も大気圧も水圧も、基本的な考え方は同じです。
納得できた人?
挙手をさせる。
反応が鈍い場合も考えられる。
いずれの場合でも、隣同士でどこが同じなのか、話し合わせる。
大気圧、水圧の場合、ただの圧力と異なる特徴があります。
教科書から探します。
見つけたら、アンダーライン。
(作業)はじめ。
1.同じ深さでは、方向によらず同じ圧力になる。
2.深くなるほど圧力が大きくなる。
ほとんどの教科書では、水圧の部分でしかこの特徴を説明していない。
だから、困ったり迷ったりする生徒が出る可能性がある。
しかし、視点を宇宙ステーションに持っていけば、大気圧でも水圧でも同じことがいえるとわかる。
深くなるほど柱が長くなるから、2番は当然のことだ。
1番について、「圧力の等方性」ということを紹介しておく。
3.密度を用いて圧力を表す
液体の場合、液体の柱の重力は、液体の密度を使うと簡単に計算できます。
次のようにやります。
注意事項
大気圧の場合、大気の密度は地上からの高さによって変化してしまう。
だから、大気の柱の重力を気体の密度から簡単に求めることはできない。
厳密に言えば、液体の場合も柱の高さによって密度は変化する。
しかし、気体ほどの変化はないから、高校生段階であれば、一定として考えて差し支えない。
重力Wの公式を答えなさい。
みんなでさんはい。
「重力W=mg」
板書する。
質量mと密度ρの関係を式で表しなさい。
ノートに書きます。
この問いに答えることは難易度が高い。
反応が悪いと見て取ったらヒントを出す。
「質量m 体積V 密度ρ」
と書いて、
「隙間に = や × を書いて式を完成させなさい。」
という。
「質量m = 体積V × 密度ρ」
「質量m ÷ 体積V = 密度ρ」
こうなった人。(挙手させる)
よし。○。
直方体の体積Vを求める式を答えなさい。
ノートに書きます。
「体積V=底面積S×高さh」
こうなった人。
よし。○。
「体積=縦×横×高さ」でももちろんよい。
縦×横=底面積と確定してあげれば、同じことになる。
今やった3つの式を使い、密度ρを用いて重力Wを表しなさい。
3つの式とは次である。
①W=mg
②m=ρV
③V=Sh
③を②に代入すると、
m=ρV
=ρSh →④
となる。
④を①に代入すると
W=mg
=ρShg
となる。
今求めた重力の式と圧力の公式を組み合わせて等式変形してご覧なさい。
p=W/S
=ρShg/S
=ρShg/S
=ρhg
これが教科書に載っている水圧の公式です。
補足が2つあります。
1つめ。
大気は高さによって、密度が異なります。だから、大気圧を計算で求めることはむずかしい。
高校生にとって、大気圧は1気圧=1.013×105hPで一定だと思ってかまいません。
2つめ。
地球上では、海の上に大気の層がありますね。
だから、地球上で水圧を考える場合、大気圧を含める必要があります。
板書
大気圧 1atm=1.013×105hP
実際の水圧=水だけの圧力+大気圧
写しなさい。