反抗挑戦性障害の子への対応はこうする!
反抗挑戦性障害の特性と対応のポイントを解説する

反抗挑戦性障害の子への対応はこうする!
反抗挑戦性障害とは、特に親や教師などの目上の人に対して、拒絶的、敵対的、挑戦的な行動を取る疾患です。
ここでは、反抗挑戦性障害の特性と、その対応のポイントを具体的に紹介します。
(1)反抗挑戦性障害の特性
反抗挑戦性障害の子は、次のような特性がある。
①怒りっぽく、イライラしやすい。かんしゃくを起こしやすい傾向がある。
②周囲がイライラする挑発的な行動をとる。ルールを破る、ものを壊すなどの行為を繰り返すことがある。
③自分にとって得になることでも、「やりたくない」と言ったり、大人に反抗的な態度を取る。
原因は、様々にある。育ちの中で、適切に対応されなかったことによって引き起こされることもあるが、ADHDの二次障害である可能性もある。ADHDは、不注意、多動性、衝動性などの症状のため、注意を受けやすく、その積み重ねによって反抗挑戦性障害を引き起こすことがある。
(2)反抗挑戦性障害の子の観察記録の仕方
「この子、反抗挑戦性障害かもしれないな・・・」と思ったら、次のような場面をノートに記録するようにする。
①1日のうち、「何時ごろ」「何の教科で」そのような症状が出たか。
②1週間のうち、何回そのような症状があったのか。
③これらの行動は、学校だけで行われているのか、それとも家庭でも行われているのか。
記録した内容を、特別支援コーディネーターの先生に見せて、その後の方針を一緒に考えてもらうようにするのがよい。
(3)反抗挑戦性障害の子への対応のポイント
<やってはいけないNG対応>
①問題行動に対して、厳しく叱責する
彼らは、そうしようと思って行動しているのではない。脳がそのように行動させているのである。だから、彼らの行動は叱責する対象にはならない。叱られれば、余計に反抗するようになる。
②彼らの「言いなり」になってしまう
言いなりになるのもよくない。よくないことはよくないこととして、注意をすることが必要である。言いなりになってしまうと、「これは、やっていいんだ」と誤学習してしまう。
<具体的な対応のポイント>
①自己肯定感を高める
反抗挑戦性障害の子は、叱られ続けたことにより、自己肯定感が著しく低下している可能性が高い。彼らは、「やりたくない!」「いやだ」など、反抗的な言動をしても、感情的に対応せず、できていることを認め、ほめ続けることが大切である。ほめ続けることで、子どもの自己肯定感は、少しずつ向上する。
「この人は、これまでの大人とは違うな・・・」と思わせられれば、反抗的な言動は少しず津減っていく。
②「今何をやるべきか」を、毅然と伝える
反抗挑戦性障害の子の反抗的な態度にひるんではいけない。伝えるべきことは、毅然と伝えることが大切である。
反抗挑戦性障害の子が、算数の授業が始まっているのに、図工をやめない場合、「○年△組は、今、算数の勉強をします」と、その子に伝える。もちろん、その子が算数をしなくても、叱らない。今やるべきことを毅然と伝え続けることで、本人も周りの子も「先生は、許していないんだな」ということを示すことができる。
③授業中の支援は、「後方から」行う
反抗挑戦性障害の子にとって、正面から来る人は、対決姿勢に入る「敵」と捉える傾向にある。学習中、彼らを支援しようと正面から近づくと、反発することが往々にしてある。彼らを支援するときは、正面からではなく、自然に後ろから近づいて、包み込むように支援するのがよい。
「特別支援教育重要用語の基礎知識」小野隆行編 学芸みらい社 P.83