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鉛直投げ上げ運動

ボールの位置が上下に変化することと、ボールの速度が単調減少することの理解を目指す。

指示 . 1

身近なものを使って、鉛直投げ上げ運動を観察しなさい。

生徒は消しゴムを使って実験する。
ビー玉やおはじきなど、道具を用意した方がいい。
生徒の実験の様子を動画で撮影しておく。

指示 . 2

ものを投げ上げた運動の様子を図にします。ノートに書きなさい。

書いたら、書きました(と言いなさい)。

指示 . 3

お隣と交流。

指示 . 4

速度の変化に注目した文章にします。もう一度観察しなさい。
注目するのは速度の変化ですよ。

机間巡視しながら、
手から離れた瞬間から注目すること、
速度ですから、速さと向きの両方に注目すること
を繰り返し強調する。

指示 . 5

速度の文章をお隣と交流します。
発表してください。

上昇中はだんだん遅くなる。てっぺんで止まる。落下中はだんだん速くなる。
撮影しておいた動画を再生して速度の変化を確定・共有する。

指示 . 6

vtグラフに表しなさい。
ただし、手から離れた瞬間を0sとします。

指示 . 7

vtグラフが書けたら、ノートを持ってきます。

持ってきたことに対して「よし」と声かけをし、「黒板に書いて」と指示する。
生徒は様々パターンのグラフを書いてくる。

次に示す2つの観点について、10点満点で個別評定する。
以下に示す「1.」「2.」の2つが合っていれば合格である。
1.上昇中はだんだん遅くなり、てっぺんで一瞬止まっている。→右下がりの直線でt軸に達している。
2.落下中はだんだん速くなる。→速度の向きが下向きはv軸負の領域になる。

上図の解答例では、
(1)、(3)、(4)、(5)は大きな×である。
(2)は右下がりの部分は○、右上がりの部分は×。
(6)は大きな○である。

次の3つの観点を加えて評定してもよい。
3.v軸の単位が「 [m/s] 」となっている。
4.t軸の単位が「 [s] 」となっている。
5.直線が丁寧に書いてある。(フリーハンドでもよい)

発問 . 1

上図(2)のグラフがダメな理由は何ですか。

指示 . 8

お隣と相談しなさい。
発表どうぞ。

速さがゼロになったあと、速さが増加している。
これは、速さの変化だけを見れば、正しい。
しかし、向きが上向き速度から下向き速度に変わっていることを表現できていないことが問題なのである。

発問 . 2

(1)のグラフは、ある意味で正解です。
どういう意味で正解なのですか。

指示 . 9

お隣と相談。
発表。

発表には必ず評価を与える。
ボールの位置を表すグラフになっている。vtグラフではないが、ytグラフなら正解である。
位置と速さと速度に対する理解が区別できていないための混乱である。
(3)なら、自由落下運動のvtグラフである。
(4)なら、鉛直投げ下ろしのvtグラフである。
(5)なら、vtグラフとytグラフが入り交じってしまっている。考えすぎて混乱しちゃったグラフである。

説明 . 1

このグラフの切片は初速度 v0 を表します。
このグラフの傾きは下向き g(=-g) です。

指示 . 10

数学の一次関数 y=ax+b を参考にして、
このグラフを数式で表します。
ノートに書きます。

y=-gx+v0
とする生徒が多い。
正解は
v=-gt+v0
である。

説明 . 2

投げ上げたボールの位置xはグラフの面積で表されるのでした。
第一象限の黄色い三角形は、てっぺんまで上昇した高さを表します。
第四象限の青い三角形はてっぺんから落下した高さを表します。

説明 . 3

つまり、
位置x=黄色△ー青△‥‥(1)
です。

説明 . 4

この計算は頂点に達する時間がわからないと計算が面倒なことが多い。
初速度、終速度、終速度に達する時間の3つがわかるときは次のやり方が簡単です。
位置x=黄色長方形ー青△大‥‥(2)
次の図に示す黄緑台形部分を使って(2)式を書き直すと(3)式になる。
位置x=(黄色△+黄緑台形)ー(黄緑台形+青△)‥‥(3)
(3)式は黄緑台形が相殺されるので、(1)式と同じになります。
(2)式をきちんと計算すると、教科書の公式と同じになります。

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