「赤とんぼ」実践記録 その2
光村図書2年生(下)の扉詩「赤とんぼ」の実践記録です。「赤とんぼ」は、教科書の副題になっています。過去の教科書の副題と比較し、題名に込められた願いを想像して音読しました。

十分に音読活動をした後、子どもたちに問題提起する。
「どうして、赤とんぼが下巻の教科書の表紙に副題で書いてあるのかなぁ。」
各学年、光村の教科書には、副題がある。
入学して初めて手にした1年生上巻の教科書の副題は何であったか、尋ねる。
「かざぐるま」である。(光村図書のシンボルマークにもなっている。)
なぜ、「かざぐるま」なのだろうか。
かざぐるまには、4つの羽があります。4つの羽には、それぞれ意味があります。
「話す」「読む」「書く」「聞く」
国語の力を付けてくださいね、という願いが込められているのかもしれません。
昭和25年、戦後初めてつくられた1年生の教科書の副題から「かざぐるま」である。
当時の6年生の教科書には、「風車の歌」という詩が掲載されていた。
「風車の四つのはね、それは、『話す・読む・書く・聞く』だ」という記述がある。
(光村図書のホームページには、かざぐるまが象徴しているものとして、さらに詳細な解説もある。
①頭脳(HEAD) ②心(HEART) ③手(HAND) ④健康(HEALTH) など、
教育の普遍的な方向性を示しているとある。)
続いて、1年生下巻の教科書の副題は何であったか、尋ねる。
「ともだち」である。
「ともだち」には、どんな願いが込められていると思いますか。
「ともだちをたくさんつくってね」というような意見が、子どもたちから出される。
続いて、2年生上巻の教科書の副題は何であったか、尋ねる。
「たんぽぽ」である。
たんぽぽには、「真心の愛」という花言葉があることを伝える。
「たんぽぽ」には、どんな願いが込められていると思いますか。
「やさしい人になってね」「愛情深い人になってね」というような意見が、子どもたちから出される。
そして、2年生の下巻、「赤とんぼ」に戻る。
「赤とんぼ」には、どんな願いが込められていると思いますか。
ノートに書かせる。
早く書けた子に、黒板へ書いていってもらった。
黒板には、次のような意見が並んだ。
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・空をとべますように
・ゆめにとどきますように
・みらへにとぶ
・うつくしさ
・空をとぶようにせいちょう
・きぼうをもって空をとぶ
・元気にとぶ
・がんばれば、空をとべる
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子どもたちの意見は、全て認める。
そのよさを誉める。
最後に、「とんぼ」「赤とんぼ」が象徴しているとされているものを、子どもたちに紹介する。
①豊かになりますように
稲に止まっているとんぼの画像を提示する。
米が主食の日本人は、稲につく害虫を食べてくれるとんぼを古くから大切にし、「五穀豊穣」の象徴とした。
②勝ちますように
武士の兜や着物にデザインとして使われているトンボの画像を提示する。
前にしか進まないとんぼは、勝利を呼ぶ縁起のよい虫「勝虫」と呼ばれ、武士に好まれた。
③変化・成長しますように
ヤゴの画像を提示する。
水中から陸上へ。エラ呼吸から肺呼吸へ。
大きな変化をするとんぼは、「変化」の象徴と考えられることがある。
④視野が広い人になりますように
とんぼの顔を拡大した画像を提示する。
目が大きい。
人間の視野は120度だが、トンボは上下左右270度見えているそうである。
⑤感謝を忘れませんように
お盆の画像を提示する。
赤とんぼが飛ぶ時期は、お盆と重なる。
古来の日本人は、祖先の霊が形を変えてやって来たと考えた。
みなさんは、赤とんぼにどの願いを込めて、音読したいですか。
①豊かになりますように
②勝ちますように
③変化・成長しますように
④視野が広い人になりますように
⑤感謝を忘れませんように
2年生であったが、学級で一番多かったのは、⑤であった。
各自がそれぞれ思い思いの願いを込めて、音読をした。
「願いを実現する秋にしましょう。」