「独立な試行と確率」の基礎・基本
独立な試行の確率の計算はそれほど難しくない。問題になってくるのは「独立な試行の定義」である。教科書に載っていないが「従属」である試行も教え、教科書の設問を区別させる。また、「反復試行」は試行の回数を「組合せ」で求める箇所が肝である。教師がその問題をオリジナルに出し、慣れることから始める。

1 授業のアウトライン
① 教科書の例示問題1・練習問題1(20分)
② 教科書傍用問題集(5分)
③ 例示問題2・練習問題2(20分)
④ 教科書傍用問題集(5分)
2 教科書の例示問題1・練習問題1はこうする
初めは「独立な試行」を定義する。
教科書40ページ。(冒頭から読む)
『1回めに1の目が出たとき』2回めはどうなりますか。(教科書に選択肢がある)選びなさい。(2回めの1の目の出やすさは変わりません。が正解)
引き続き、教科書を読み進める。(練習13の前まで)
『これらの試行は独立である』とかいてあります。どんなとき独立といえるのですか。(2つの試行が互いに他方の結果に影響を与えないとき、です)
ここは具体例を入れないと分からない生徒が想定できる。特に『影響を与えない』がイメージできないことが多い。
隣の女の子のセリフを読みなさい(「さいころで1の目が出たから、硬貨は表が出やすくなる」ようなことはありません)
コインは、表が出たら次も表が出やすくなるわけでありません。これが独立です。
また、2種類のくじを引くようなことも同じです。一方で当たりを引いたら、他方で当たりを引くやすくなるわけではありません。
逆に「独立」の反対語を「従属」と言います。10本くじがあって、当たりを引いたら(戻さない)当たりの数が減って出にくくなります。前の試行の影響があることを、従属と言います。
これで、練習13が解けるようになる。
「独立な試行の確率」の計算自体はそれほど難しくない。
例5は今までの確率の復習から独立な試行の確率を導いている。
基本型は次の問題の例題5である。例5を扱うのなら例題5の後のほうがよい。
41ページ。例題5の問題文を読みます。

独立な試行の確率は、個々の試行の確率をかけ合わせれば求まります。
くじSが当たる確率は。\left(\frac{3}{8}です\right)
くじTが当たる確率は。\left(\frac{3}{10}です\right)
確率を求めなさい。\left(\frac{3}{8}×\frac{3}{10}=\frac{9}{80}です\right)
教科書40ページ。例5も同じように解きます。

3 例示問題2・練習問題2はこうする
反復試行は「繰り返しした試行の回数」を「組合せ」で表すことが肝になる。
教科書42ページ。(冒頭から読む)
例6を読みます。(_3\mathrm{C}_2通りまで読ませる)

下の表を見ます。一番上の段。1回めは5の目が出ています。さいころの絵の隣に、\frac{1}{6}とかきます。
2回めは5の目が出ています。何とかきますか。\left(\frac{1}{6}です\right)
3回目は何ですか。\left(\frac{5}{6}です\right)
なぜですか。(×は5以外の目(1、2、3、4、6の5種類)が出ているからです)
残りもかきなさい。(合計3段かくことになる)
合計何通りですか。(3通りです)
3回のうち、2回5が出ることを「_3\mathrm{C}_2」とかきます。
問題①。5回中3回、1が出るのは何通りですか。(_5\mathrm{C}_3通りです)
問題②。6回中2回、4が出るのは何通りですか。(_6\mathrm{C}_2通りです)
問題③。7回中1回、6が出るのは何通りですか。(_7\mathrm{C}_1通りです)
あとは立式して計算させるだけである。
残りの問題も、①組合せで回数を求める、②事象と余事象をかけ合わせることで求まる。