説明文教材 スラッシュ分割法
文章構成の検討を促す「スラッシュを○本入れなさい」の指示を使った授業。全ての説明文教材でできます。
学習指導要領には、「段落相互の関係」を指導するよう明記されている。
筆者の考えとそれを支える理由や事例がどのような文章構成で書かれているのか。
それを考えさせるために、スラッシュ分割法の授業を行っている。
光村の四年生教材「動いて、考えて、また動く」の実践を紹介する。
「動いて、考えて、また動く」を始め・中・終わりに分けると次のようになる。
始め ・・・ ①段落
中 ・・・ ②~⑦段落
終わり・・・ ⑧段落
中の部分は、どのような構成で書かれているのか。
その検討を促すために、次の指示を出した。
②~⑦段落を3つに分けます。スラッシュを2本、入れなさい。
ノートに②~⑦の段落番号を縦に書かせ、そこにスラッシュを2本入れさせる。
次に、子どもたちが前に出て板書する。
全て子どもたちに板書させてもよいが、字の大きさが揃っていた方が見やすいので、数字は教師が書いておき、スラッシュのみ、子どもたちに書かせている。
意見は、6通り出た。
A ②③/④⑤/⑥⑦
B ②/③④⑤⑥/⑦
C ②③/④⑤⑥/⑦
D ②/③④/⑤⑥⑦
E ②③④/⑤⑥/⑦
F ②/③④⑤/⑥⑦
正しいもの見付けさせない。次のことを問う。
正しくない分け方は、どれですか。
始めは正しくないものを見付ける方が、子どもたちは考えやすい。
一分程度考える時間をとった後、数分間ペアやグループで話し合わせる。
そして、全体で検討する。
最初に異議が唱えられたのはA。
「③段落と④段落は、ひざを高く上げる話題です。だから、切れません。」
同じように、③と④を区切っているCも同時に消えることになる。
次に反対意見が出されたのはF。段落冒頭の「足の動きと同時に、うでのふりも重要です」の文。「同時に」という言葉や、助詞「も」を根拠に前の段落とのつながりが主張され、Fが消えた。
ここまでテンポよく意見を消していったが、残り三つになった段階で検討のペースを落とした。再度考える時間を一分程度とり、どれがよいか指名なし発表で意見を言わせた。
「⑦に『このように』という言葉がある。」「⑦は中のまとめになっている。」
「②~⑦も『始め・中・終わり』になっている。」
意見が、Aにまとまってきた段階で、段落相互の関係についてまとめた。
② → 工夫を始めたきっかけ
③~⑥ → 筆者の工夫の具体例
⑦ → 工夫のまとめ
教師が②~⑦の番号を書き、子どもが前に出てきてスラッシュを入れる。
「他の分け方をした人はいますか?」 → 別の子が出て、意見を列挙していく。
全体での検討で出された意見のキーワードを、教師が黄色チョークで板書する。
スラッシュ分割法の授業は、どの学年の説明文教材でも行うことができる。
■3年生「すがたをかえる大豆」
7通りの分け方が出された。
【正解】①②/③④⑤⑥⑦/⑧
■5年生「想像力のスイッチを入れよう」
6通りの分け方が出された。
【正解】①②③④⑤⑥/⑦⑧⑨⑩⑪⑫⑬⑭/⑮⑯
■6年生「生き物は円柱形」
5通りの分け方が出された。
【正解】①/②③④⑤⑥/⑦ または、
①/②③④⑤/⑥⑦
※6年生「生き物は円柱形」について。
指導書では前者の分け方がされているが、「序論・本論・結論(主張の要約と今後の展望)」に従って分ければ、後者の考え方も可能である。正解は一つとは限らない。大切なのは、説明文が論理的な構造をもっていることをつかませることだ