VIEW: 379

『ゴッホの自画像』鑑賞の授業

ゴッホは短い生涯のうちにいくつもの自画像を描いた。自画像を鑑賞することで、ゴッホの個性と創造性に気づかせたい。

1 授業のねらい

ゴッホの自画像を通して、自画像を鑑賞することで、ゴッホの個性と創造性に気づかせる。

2 準備物

①ゴッホの自画像やその他作品の画像、②パソコン,③プロジェクター,④スクリーン、⑤罫線の入ったメモ用紙(ワークシートではない。生徒1人1枚)

3 授業の流れ(全1時間)

1 作品に親しむ

ゴッホの代表的な作品を一度に6つ見せる。
『馬鈴薯を食べる人々』『タンギー爺さん』『アルルの跳ね橋』『ひまわり』『オーヴェルの教会』『星月夜』

発問 . 1

ゴッホという画家が描いた作品です。
知っている作品はありますか?

『ひまわりは知ってる。」「テレビで見たことがある。」等々、生徒は口々に言い始めた。

指示 . 1

ひとつでも知ってるという人は手を挙げなさい。

9割の生徒が挙手をした。

説明 . 1

ゴッホの絵について勉強します。

発問 . 2

これら(画面に出している6つの絵)の中で好きな絵を1つ選びなさい。
(これらの作品は著作権の許可を得ていないため、授業者がネットから探していただきたい。この後の作品についても同様である。)

指示 . 2

用紙に好きな絵の記号を書きなさい。
(作品画像に、ぞれぞれA~Fの記号をつけておく。)

20秒間待つ。

指示 . 3

好きな理由を短く書きなさい。

2分間待つ。

A(『馬鈴薯を食べる人々』)の作品から順番に見せる。

指示 . 4

この作品が好きな人、手を挙げなさい。

指示 . 5

好きな理由を発表しなさい。
2,3名発表させる。
指名しないで自主的に発表させた。

A~Fまでこの繰り返し。
テンポよく授業を進める。
1つの作品にかける時間は2分間程度におさえ、発表人数も3名程にする。発表しない場合は指名する。

2 自画像の比較

黙って絵を見せる。

発問 . 3

ゴッホが自分を描いた絵です。
絵を見て、分かったこと、気づいたこと、思ったことを書きなさい。

指示 . 6

書いたことを発表しなさい。

2列約10名程の生徒に発表させる。
次のような感想が出た。
「パイプをくわえてる。」「厳しそうな感じがする。」「50歳くらいに見える。」「真面目そうだ。」「写真みたいに描いている。」

説明 . 2

もう1枚、ゴッホが自分を描いた絵を見せます。

発問 . 4

これもゴッホが自分を描いた絵です。
絵を見て、分かったこと、気づいたこと、思ったことを書きなさい。

指示 . 7

書いたことを発表しなさい。

「髭が赤い。」「病気みたいな感じがする。」「服がよれよれで貧しい感じがする。」「グニャグニャした線で描いている。」

発問 . 5

どちらが若い頃に描いた絵でしょうか。

指示 . 8

AかBか。どちらかを書きなさい。

指示 . 9

どちらかに手を挙げなさい。

指示 . 10

Aだと思う人?

29名中26名。
何度授業をしてもA が多くなる。

指示 . 11

Bだと思う人?

29名中4名。
Bはどのクラスでもに少なかった。

指示 . 12

理由を、用紙に1つ以上書きなさい。

3分間以上待つ。

指示 . 13

発表しなさい。
「私はAが若いと思います。Aは○○だけど、Bは〇〇だからです。」
というように発表しなさい。
まず、Bが若いという人から発表しなさい。(数名発表させる。)

私はBが若いと思います。Bは若いから身なりにかまわないだけど、Aはパイプをくわえて身なりもきちんとしていて偉そうだからです。(見かけ)
私はBが若いと思います。Bは明るい色を使っているけど、Aは暗くて年寄りっぽいからです。(色)
私はBが若いと思います。Bはテクニックもまだまだだけど、Aは写真のように丁寧に描けるようになっているからです。(描き方)

Bの次にはA派を発表させる。(ここでも数名に発表させる。)
その後、A派対B派の討論に持っていく。

私はAが若いと思います。Aは身なりがちゃんとしているけど、Bは年を取ってよれよれだからです。(見かけ)
私はAが若いと思います。Aは色をまだたくさん使っていないけど、Aはだんだん色を増やして使っているからです。(色)
私はAが若いと思います。Aはありのままに描いているど、Bはぐにゃぐにゃの線があって個性のある描き方をしているからです。(描き方)

意見が出尽くした頃合いをみて、正解の画面を見せる。

指示 . 14

もう一度、AかBかを用紙に書きなさい。

挙手をさせる。
討論後は、AからBに変更する生徒がやや増える。
これはB派の意見が強い場合であり、B派が弱かったり、または誰もいなかったりする場合もあった。
この場合は、教師がB派を少しだけ補強する。

説明 . 3

正解を見せます。
ゴッホが描いた年齢順に、ゴッホの自画像が出てきます。
(パワーポイントで1枚ずつ現れるように見せる。)

説明 . 4

(A派から「えーっ!」という声が上がる。)
正解はどちらでしたか?
(生徒「Aです。」)
Aですね。
ゴッホは、自画像を生涯で約40点描きました。

3 模倣と創造性

ここから先は、テンポよく授業を進めていく。

発問 . 6

上の絵と下の絵。どれとどれが同じ頃に描かれたものかわかりますか。
答えを用紙に書きなさい。
(下の作品は、使用許可をもらってないため出せないので、作品名だけ紹介する。)

発問 . 7

アはどれですか?
(「3です。」)
そうだと思う人?
他にありますか?

同様にイとウも尋ねていく。

説明 . 5

正解を見せます。
(パワーポイントで下のように矢印で結びつける。)

説明 . 6

天才といわれるゴッホも、いろいろな画家や作品から影響を受けました。

画面を見せていく。

指示 . 15

タイトルを、声に出して読みます。
さん、はい。
「働く人を描いたミレーの影響を受けた頃。」

説明 . 7

「点で描く点描画の影響を受けた頃。」

説明 . 8

「浮世絵の影響を受けた頃。」

説明 . 9

教師が、画面の文章を読み上げる。
フィンセント・ファン・ゴッホ。
オランダで生まれる。
1853年に生まれ、1890年37歳で生涯を閉じた。
1880年27歳の時、画家としての修業を始めた。
10年間で2000枚の絵を描いて残した。

指示 . 16

授業の感想を用紙に書きなさい。