「前転ボールキャッチ」でコーディネーション能力を育てる
マットとボールを組み合わせた運動です。「前転ボールキャッチ」によって,コーディネーション運動で取り上げられている能力のうち,バランス能力,連結能力,定位能力,分化能力が育まれていきます。

1.コーディネーション運動とは
通常私たちが「運動神経がいい」という場合,体を巧みに動かす能力が優れていることを指すことが多い。
五感で察知した周囲の状況に合わせて,スムーズに体を動かせる状態にあることである。
コーディネーション運動とは,このような巧みな動きづくりを意図した神経系のトレーニングである
ここで取り上げる「前転ボールキャッチ」によって,コーディネーション運動で取り上げられている7つの能力のうち,バランス能力,連結能力,定位能力,分化能力が育まれていく。
2.指導の実際
(1)習得 すばやい前転
声を掛け合って3人組をつくりましょう。
前転リレーをします。
1人目が終わったら,2人目がスタートします。一番先に全員回り終わったグループの勝ちです。
前転ボールキャッチができるようにするには,すばやい前転も大切である。
リレー形式で行うことで,楽しみながら練習させていく。
(2)活用 前転ボールキャッチ
前転したあと,投げてもらったボールをキャッチします。
示範を見せ,イメージを持たせる。
前転して友達に投げてもらったボールをキャッチする。
前転ボールキャッチをします。
示範を見せ,イメージを持たせたあと,練習に入る。
自分で投げ上げたボールを前転してからキャッチする。
ゴム製ソフトバレーボールが取り組みやすい。
どのようにしたらうまくできるでしょうか。
拡散的発問により,テクニカルポイントを引き出していく。
・すばやく前転する。
・ボールをしっかりと見る。
・ボールを高く投げ上げる。
・前転が終わる位置あたりにボールを投げる。
ボールの位置をいつ確認すればよいですか。
A.回る前
B.回っている途中
C.回り終わってから
集中的発問により,ボールをいつ見ればよいかを考えさせる。

上手な○○さんの動きを見てみましょう。
ボールの位置をいつ確認していますか。
上手な子は回っている途中でボールの位置を確認していることに気付かせる。
グループで教え合いながら練習しなさい。
教え合いながら練習させるようにすることで,コミュニケーション能力の育成を図る。
発問によって整理したポイントに沿って教え合うようにさせる。
ボールに触れたら1点,寝てキャッチできたら3点,起きてキャッチできたら5点とします。
一人3回挑戦して,何点取れるか競争します。
得点化して評価していく。
まずは個人の評価である。何点取れたかということで評価していく。
グループ3人の点数を合計します。
次にグループの評価である。
班の3人の得点を合計し,グループごとに競う。集団化していくのである。
最後にクラス全体の評価である。
全てのグループの得点を合計し,クラス全体としての向上を意識させていくことで集団的達成感を味わわせる。
(3)探究 ○○ボールキャッチ
前転だけでなく,ほかに「○○ボールキャッチ」の動きを考えましょう。
例えば,次のような動きが考えられる。
・馬跳び 2点
・馬跳び2回(向きを変えて往復) 5点
・側方倒立回転 5点
・ハンドスプリング 10点
・前転2回転 15点