木彫 基本は片切り彫り
木彫の授業は、中学校3年間で必ず教えてきました。
日本は木の文化だと思うからです。
当然刃物を用います。危険です。
でも、私の授業では怪我をした生徒は30年間でたった一人しかいませんでした。
用具(ふつうの彫刻刀)をそろえ、基本の技術を教え、してはいけないルールを教えれば怪我などしません。
ここではでは彫りの技術を教えます。
彫りの技術の中でも、片切り彫りは基本中の基本といえます。
片切り彫りができれば、木彫の制作は80%できます。


1 準備物
(1)切り出し刀
(2)板(「ほう」の木が適当である)
(3)滑り止め
2 彫り方を教える
まず教師自身が、片切り彫りに挑戦し、出来るようにしよう。
切り出し刀を握って(鉛筆を握るように握ります)次のような切り方をする。
(1)仕切る
まず、切り出し刀で仕切りを入れる。
絵の内側に刃が入ってしまわないように気をつける。
(1)切り出し刀を垂直に近い角度をつけ、2~3ミリ程度の深さで切りさく。
(2)輪郭線の横を、「絵の外側」に向けて切ります。全体を同じ深さできるのがコツだ。
絵の線全体に仕切りを入れる。

(2)片切り彫り Aタイプ(もう一つやり方がある)
仕切りを入れたら、今度は切り出し刀の刃の平らな方を上にして片切り彫りをする。
(1)仕切りを入れた部分に対し、切り出し刀をかなり寝かせて刺す。
(2)切り出し刀の刃に左手の親指を当てて、手前に引くように切りさく。
(3)板を浅く切りさく。
「切る」というよりは、鉋(かんな)で板を削るように「切りさく」といった方がいいと思う。
深く切りさかないで、浅く、2度、3度と切り裂くのがコツだ。切った跡がゆるやかな坂になる。
絵の部分が浮き上がって見えるように切っていく。

(3)その他
青色の線の横が仕切りを入れた部分。
黄色の線の横が片切り彫りをした部分。
3 注意すること
(ア)木目にそって切っているときにきれいに切れてくれるのだが、木目に逆らうときには必要以上に力が入りうまく切れない。
こういうときには教師が手伝う必要がある。
(イ)切り出し刀は、新しいあるいはよく研いだ切れる彫刻刀を使う。
切れない彫刻刀は、必要以上に力が入り、けがをします。
(ウ)彫刻刀が右から左に動いているかが、正しい彫り方をしているかどうかをチェックをするポイントである。
彫刻刀は、一般的に右利き用に作られているため、左利き用の切り出し刀も用意する。
左利きは、上記の反対方向で切りさく。
私は、練習して右利きも左利きもできるようにした。