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「たから島のぼうけん」(旧教科書「たから物をさがしに」)実践記録

旧光村図書3年(下)に掲載されていた教材、「たから物をさがしに」の実践記録。

旧教科書に「たから物をさがしに」という教材があった。
そのときの実践記録である。

フィンランドの教科書にも「物語を書く」という学習がある。
書き方については非常に細かく説明されている。

(『日本語訳版 フィンランド読解メソッド 5つの基本が学べるフィンランド国語教科書』)

作家には、ストーリーから構想を練るタイプと登場人物から構想を膨らませるタイプがあるというが、フィンランドの教科書では、物語全体の骨格ではなく、登場人物の設定からさせてる。

小野隆行氏も登場人物の設定から指導をしていた。
(雑誌『向山型国語教え方教室』2009年11~12月号)

小野氏は、物語を書く前に、「名前」「年齢」「登場人物の関係」「性格」「地図を手に入れた経緯」を設定させているが、これに加えて、「特技」「宝箱の中身」「結末」も設定させた。

以下、小野隆行氏の修正追試である。

発問 . 1

たから島には、何がありますか。

「宝物」「トラ」「ライオン」「巨大キノコ」「巨大かたつむり」…。
地図から様々なものを見付ける。
これだけで、子どもたちは楽しそうであった。

発問 . 2

男の子と女の子の名前は、何ですか。

教科書に描かれている男の子と女の子。
ジョニー、レミ、ジョンソン、ルーシー、マイケル、つばさ、えりかなど…。
それぞれ、思い思いに名前をノートに書いていた。
外国人名が多い。
決まった名前を発表させるだけでも、教室は、とても楽しい雰囲気になる。

発問 . 3

男の子と女の子は、それぞれ何歳ですか。

9~12歳が多かったが、16~19歳とちょっと大きい子を設定した子もいた。

発問 . 4

男の子と女の子は、どんな性格をしていますか。

食いしん坊、すぐ怒る、腕白、優しい、勇気がある、恐がり、優しいけど、怒ると怖い、なごみ系で優しい子など…。
様々な性格が出された。

発問 . 5

男の子と女の子には、どんな特技がありますか。

手品、剣道、サッカー、ヨーヨー、料理、空手、水泳、足がめちゃくちゃ速い、謎の拳法、発明など。
ピンチの時に生かされる。

発問 . 6

二人は、どんな関係ですか。

兄弟、友達、同じクラブ、他人、双子、恋人などの意見が出された。

発問 . 7

二人は、宝の地図をどうやって手に入れたのですか。

サンタからもらった、家の倉庫に眠っていた、お菓子のおまけに付いてきた、海で流れてきた、おじいちゃんの遺品、空から降ってきたなどの意見が出された。

発問 . 8

宝箱の中身は、何ですか。

宝石、お金、魔法の杖、金貨、ドラえもん、新しい宝の地図、バナナ、ティッシュ、20万円(ただし偽札)などのアイデアが出た。

発問 . 9

最後に、二人はどうなったのですか。

新しい地図で冒険した、貧しい人に寄付をした、王様王女になった、お金持ちになった、商売をした、結婚した、研究者になったなど…。

様々なアイデアが出され、笑いの中、それぞれが想像をふくらませていった。
楽しい授業であった。

その後、どのようなルートを通って宝箱へたどり着くのか、鉛筆で地図をなぞらせた。

そして、途中の出来事を考え、ノートに箇条書きさせた。

発問 . 10

途中でどのような事件が起こり、どのように乗り越えるのですか。

3つ程度、考えさせた。

早く書けた子に板書してもらい、みんなでアイデアを共有した。

楽しいアイデアが出されると、教室には笑いが生まれる。

2時間の授業で、全体の構成が出来上がった。

「早く書きたい!」と意欲満々。

家でもアイデアを書いてくる、という子もいた。

次の時間。

教科書に、書き出しの部分を書いた例文が載っているので、何度か音読をした。

また、段落を意識させるため、段落番号も振らせた。
 
「書き方が分からない子は、教科書を参考にしてですよ」と告げた。

そして、台詞が入っていることを確認。

「一つの事件につき、最低一回は、台詞を入れなさい」と指示してから、書くことをさせた。

その後は、
「書き出しがかけたら」
「一つの事件が書けたら」
などの関所を設けて、教師のところに持ってこさせた。

このあとは、個別指導だが、最初の2時間で物語の構成がほぼできているので、褒めることが中心。
 
子どもたちは、楽しそうに作文を書いていった。

■参考実践

5年生での実践もご覧ください。