絵画から学ぶルネサンス
絵画の描き方の変化から、ルネサンス(再生)のイメージをつかむ授業である。この時期にヨーロッパで科学技術が大きく発展した原因をつかませたい。

画面に「三美神(さんびしん)」と表示する。
三美神。三人の美しい女神様の絵です。
「A」
ボッティチェリの「春」の絵の中の三美神を拡大して表示する。細やかなラインが美しい絵だ。
「B」
トスカーナの写本の挿絵の中の三美神を表示。平面的でイラスト的な絵である。
「C」
ポンペイの壁画の三美神を表示。体の凹凸がよくわかる立体的な絵だ。
最後にA・B・C3枚の三美神の絵を並べて表示する。(時代がわからないように、あえて白黒で提示した。)
A・B・Cの絵を、描かれたのが古い順に並べ替えて、記号をノートに書きなさい。
「P君は、どんな順番にしましたか」
「BCAです」
「同じ意見の人?」
「Q君は?」
このように質問を繰り返しながら、すべての意見を聞いていく。
Aの絵は・・・・15世紀に描かれた絵です。Bの絵は・・・・14世紀に描かれた絵です。
「あー、外れた~」
教室が盛り上がるように、じらしながら正解を告げる。
Cの絵は・・・・・・・・・・1世紀に描かれた絵です。
「えっ?」
意外な事実に、目を疑っている生徒が多い。
「AとBは1世紀しか離れていないのに、描き方がずいぶん違いますね」
A(右)とB(左)の2枚のみ、拡大して表示する。
続いて受胎告知の絵を2枚提示する。右がアンジェリコ作(15世紀)、右がマルティーニ作(14世紀)だ。
受胎告知という絵です。どちらかが14世紀、どちらかが15世紀に描かれました。
どちらが15世紀だと思いますか。
右だと思う人?(挙手しなさい) 左だと思う人?
正解を表示する。
「左が15世紀です」
続いて聖母子の絵を2枚提示する。右がベッリーニ作(15世紀)、右がジョット作(14世紀)だ。
聖母子の絵です。どちらかが14世紀、どちらかが15世紀に描かれました。
どちらが15世紀だと思いますか。
右だと思う人?(挙手しなさい) 左だと思う人?
正解を表示する。
「左が15世紀です」
続いてキリストの磔刑(たっけい)の絵を2枚提示する。右がマンティーニャ作(15世紀)、右がダッディ作(14世紀)だ。
キリストの磔刑という絵です。どちらかが14世紀、どちらかが15世紀に描かれました。
どちらが15世紀だと思いますか。
右だと思う人?(挙手しなさい) 左だと思う人?
正解を表示する。
「左が15世紀です」
14世紀と15世紀の絵は全然違いますね。特に遠近感が大きく異なります。
なぜこのような違いが生まれたのでしょうか。
この変化のことが、教科書93ページ載っています。カタカナ5文字で探しなさい。
「ルネサンス」
中世のヨーロッパは、神中心の禁欲的な世の中でした。しかし15世紀頃、古代ギリシャ・ローマ文明を学び直す学問・芸術がさかんになりました。これによって人間性を表現するような美術や、自分の目で見て判断しようとする科学が大きく進歩したのです。
最後にレオナルドダビンチのモナリザや、コペルニクスの地動説等のエピソードを紹介し、授業を終える。
《参 考》 『新中学社会科 授業方略の理論と実践 歴史編』星村平和監修、金子邦秀編著(清水書院),p84