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よみがえれ、日本海!

1997年の「ナホトカ号」重油流出事件を扱った実践。ボランティアの手で日本海が守られた出来事を題材にしている。東京書籍の道徳副読本『明日をひらく』(中学校3年生版)に所収の教材を発展的に扱っている。(TOSS福井推薦)

指示 . 1

副読本の「よみがえれ、日本海!」を読みます。

1段落ごとにリレー読みで読んでいく。

説明 . 1

今から16年前、三国町で起こった出来事です。

(以下、パワーポイントの画面を進めながら授業していく。)

説明 . 2

重油を回収している様子です。【画面】
地元の漁業組合の方の話です。【画面】
やってもやってもきりがないんだけど、やるしかないのですね。
重油回収に、のべ30万人のボランティアが参加しました。【画面】

説明 . 3

原因はこれです。【画面】
ロシアのタンカー「ナホトカ号」が、悪天候のために真っ二つに折れて沈没したのです。

説明 . 4

沈没したのが1997年1月2日。【画面】
折れた船体は海流に乗って、5日後に三国に流れ着きました。【画面】
タンクからは、大量の重油が垂れ流し状態でした。
1月10日。福井県各地の海岸に重油が漂着してきました。【画面】
13日。さらに重油の範囲が広がっていきます。【画面】
17日。【画面】(京都、石川まで広がっている)
20日。【画面】(兵庫まで広がっている)
24日。【画面】(鳥取、新潟まで広がっている)
約3週間で、これだけの海岸に被害が広がってしまいました。

発問 . 1

重油流出事故で被害を受けたのは誰ですか。

・漁師さん
・海女さん

説明 . 5

海を心配そうに見つめる、地元の漁師さんたちです。【画面】
地元の海女さんの言葉です。【画面】
とにかく何か行動しなければどうにもならない、という気持ちで、お年寄りの海女さんたちも重油回収に乗り出しました。【画面】

発問 . 2

ほかに、重油流出事故で被害を受けたのは誰ですか。

・魚などの海の生き物
・海鳥
・昆布や岩のりなどの海産物

説明 . 6

重油でどろどろになった海鳥です。【画面】
鳥は、自分で油を洗い流すことはできません。
鳥の保護活動をしていた方の言葉です。【画面】
野生の鳥を、一羽一羽、捕まえて保護していったのですね。【画面】

発問 . 3

ほかに、重油流出事故で被害を受けたのは誰ですか。

・旅館の人
・お土産屋さん
・フェリー会社

説明 . 7

観光産業も被害を受けました。
これもその一つです。【画面】
越前松島水族館のイルカです。
このイルカを題材にした絵本があります。

『イルカのラボちゃん』(鈴木隆史著/福井新聞社発行)を紹介して、読み聞かせをする。
(絵本は小さいので、ページをスキャンした画像を画面に映しながら読んだ。)

説明 . 8

ラボちゃんは、今でも松島水族館の人気者です。
これも、多くのボランティアのおかげで救われた例ですね。

説明 . 9

最後に、この時のボランティア活動の中心となった長谷川さんの話を紹介します。

(長谷川さんのエピソードを画面で紹介していく。)
・続々と集まってくるボランティアに、その場で次々と仕事を割り振って、ボランティア組織を一から作り上げていった様子。
・北陸電力に「できるはずがない」と断られても、強引に電気を引かせたこと。
・道路交通法違反と知りながら、トラックの荷台にボランティアを乗せて現場まで運んだこと。
・隣の自治体に嫌な顔をされながらも、必要な場所に自分の判断でどんどんボランティアを送り込んでいったこと。
・ボランティアというものについての長谷川さんの考え方。

説明 . 10

事故が発生してから、ボランティアが解散するまで、約3ヶ月。【画面】
この間に、のべ30万人の人がボランティアに参加しました。
残念ながら、ボランティアの最中に体調不良や事故で亡くなった方も5名いました。
このような人たちの思いによって、福井の海は今も美しく守られているのです。【画面】

【生徒の感想】
・福井の海が今までに重油だらけになったということを知らなくて驚きました。人工的に海から重油を取り除くというのは本当に困難なのに、それを成し遂げたのはすごいと思いました。
・三国の海にあんなことがあったなんて知りませんでした。またそういうことがあったらボランティアしたいと思います。
・重油まみれになった海をきれいにしてくれた人がいるから、今の日本海があるんだなと思いました。私もいろんなボランティアをしたいです。
・今日は道徳の時間に三国の重油の話を読んで、ボランティアをする人たちのすごさを思い知りました。ボランティアについての考えが少し変わりました。

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