百人一首で100発問を作る(1) 秋の田の〜
”見開き2ページ100発問”の構想追試です。
①100回音読
②全ての語句の意味を辞書で調べる
を行った後、100発問に挑戦し、向山先生が提唱された”短歌5つの授業パーツ”に即した発問をピックアップしました。

1.秋の田のかりほの庵のとまをあらみわがころもでは露にぬれつゝ(天智天皇)
上記の教材を用い、100発問を行った。
向山先生が『向山型国語教え方教室2008年8月号』で示された短歌の授業「5つの授業パーツ」は以下の通り。
① 読み方
② どこにいるのか
③ 全体の解釈
④ この短歌で、どの言葉が強調されているのか
⑤ 「この短歌」と「自分」との関係
100発問の後、「5つの授業パーツ」に即してピックアップした発問は以下の通り。
① 読み方
34 2つに区切って読むとしたら何処で区切りますか。(3句目)
② どこにいるのか
61 話者は庵の中にいますか。外にいますか。(中)
③ 全体の解釈
60 作者は話者を蔑んでいるのですか。(×)
④ この短歌で、どの言葉が強調されているのか
70 作者は話者のどのような境遇を読みたかったのですか。(話者の生活の苦しさなど)
⑤ 「この短歌」と「自分」との関係
62 「つつ」の後に言葉を付け加えるとしたら、どんな言葉を加えますか。(破れつつ)
作成した百発問は以下の通り。
1 季節はいつですか。(秋)
2 作者は誰ですか。(天智天皇)
3 濡れているものを6字で書き抜きなさい。(わがころもで)
4 何で濡れているのか1字で書き抜きなさい。(つゆ)
5 濡れていることが嬉しいのですか。(×)
6 話者は一人でいますか。(○)
7 建物を5字で書き抜きなさい。(かりほの庵)
8 「庵」の意味を書きなさい。(草木などで作った粗末な仮の家)
9 誰の「ころもで」ですか。(話者)
10 いつも「かりほの庵」に住んでいるのですか。(×)
11 なぜ住んでいないと言えるのですか。(「庵」は仮の住居だから)
12 話者を指す語を1字で書き抜きなさい。(わ)
13 「露」という語を用いて熟語を作りなさい。(夜露など)
14 ここでの「露」は夜露ですか朝露ですか。(夜露)
15 夜露と言えるのはなぜか説明しなさい。(仮の家に泊まるなら夜だろうから)
16 「私は露に濡れて〜しい」という形式の単文を作りなさい。(さみしい・かなしいなど)
17 「庵」は田んぼの真ん中にあるのですか。(×)
18 田は青々としていますか。(×)
19 なぜ青くないと言えるのですか。(季節が秋だから)
20 農作業をしている最中なのですか。(×)
21 「庵」にいるのは誰ですか。(話者)
22 「庵」は住みやすいところですか。(×)
23 なぜ住みにくいのだと考えられるのですか。(仮の家だから・袖が濡れるような造りだからなど)
24 話者はすすんで庵にいるのですか。(×)
25 24のように考えられる理由を書きなさい。(楽しそうな描写が何処にもないなど)
26 「庵」には普段から人が住んでいるのですか。(×)
27 「庵」に泊まる人の身分は高いですか。(×)
28 荒れているのは「庵」の何処ですか。(とま)
29 「とま」があるのは「庵」のどの部分ですか。(屋根)
30 荒れているのは屋根だけなのですか。(×)
31 話者は袖をぬらしたかったのですか。(×)
32 気候は暖かですか。(×)
33 暖かいときには存在しないものがあります。1字で書き抜きなさい。(露)
34 2つに区切って読むとしたら何処で区切りますか。(3句目)
35 話者はお金持ちですか。(×)
36 助動詞はありますか。(×)
37 雨は降っていますか。(×)
38 「庵」にすきま風は吹きそうですか。(○)
39 これから働きに行くのですか。(×)
40 火はたいていますか。(×)
41 「庵」の中はきれいですか。(×)
42 「ころもで」以外は濡れていないのですか。(×)
43 農作業をして濡れたのですか。(×)
44 季節がわかる言葉を1字で書き抜きなさい。(秋)
45 宮中での出来事ですか。(×)
46 「作者」は「庵」で寝起きをする身分ですか。(×)
47 話者が自分自身の状態を読み始めているのは何句からですか。(3句)
48 悲しさ・寂しさを象徴している語を3字で書き抜きなさい。(あらみ)
49 「あらみ」が48の答えとなるのはなぜですか。(屋根が荒れているという情景はいかにも寂しそうだから)
50 「秋」と聞いて感じるイメージを書きなさい。(豊か・寂しさ・収穫など)
51 秋の夜と聞いて感じるイメージを書きなさい。(寂しさ・冷たさ・孤独など)
52 「かりほの庵」を現代語訳しなさい。(粗末な仮の家)
53 「袖」という意味の4字を書き抜きなさい。(ころもで)
54 「つつ」を現代語訳しなさい。(〜したことだ・〜なことだ)
55 空欄を埋めて、現代語訳を完成させなさい。”私□服の袖は露□ぬれた□。”(の・で・ことだ)
56 「み」を現代語訳しなさい。(〜なので)
57 「あらみ」を現代語訳しなさい。(荒れているので)
58 士農工商のうち話者はどの身分に属すると考えられますか。(農)
59 小作人や地主など、様々な農民がいますが、話者はどんな農民だと考えられますか。(貧乏な農民など)
60 作者は話者を蔑んでいるのですか。(×)
61 話者は庵の中にいますか。外にいますか。(中)
62 「つつ」の後に言葉を付け加えるとしたら、どんな言葉を加えますか。(破れつつ)
63 露は昼間もあるのですか。(×)
64 「に」の意味を損なわないように別の助詞に置き換えなさい。(で)
65 「ころもで」を漢字に直しなさい。(衣手)
66 「が」の意味を損なわないように別の助詞に置き換えなさい。(の)
67 格助詞「の」と「が」の違いを説明しなさい。(「が」は「の」と異なり、侮蔑の意味を含む場合がある)
68 「は」はどの語句を受けているか、書き抜きなさい。「わがころもで」
69 「は」の品詞を書きなさい。(助詞)
70 作者は話者のどのような境遇を読みたかったのですか。(話者の生活の苦しさなど)
71 形容詞の語幹を2字で書き抜きなさい。「あら」
72 「あら」を漢字に直しなさい。(荒ら)
73 「わが」を漢字に直しなさい。(吾が・我が)
74 漢字に直せる単語を全て書き抜きなさい。(かりほ・とま・あら・わ・ころもで・ぬれ)
75 平仮名が多いのは偶然ですか。(×)
76 何色が見えますか。(白・茶色など)
77 何の何色なのか書きなさい。(露の白・柱の茶色など)
78 省略しても意味を損なわない語が1つだけあります。書き抜きなさい。(を)
79 「つゆ」という音の別の漢字を書きなさい。(汁)
80 天智天皇は漢字が書けなかったのですか。(×)
81 なぜ平仮名が多いのか、理由を考えて書きなさい。(農民のつもりで詠んだ歌だから)
82 「を」は間投助詞です。働きを書きなさい。(強調)
83 漢字の多い和歌と平仮名の多い和歌、沢山の人が読めるのはどちらですか。(平仮名の多い和歌)
84 天智天皇は農作業をするのですか。(×)
85 「庵」には沢山の人がいるのですか。(×)
86 「庵」の中は賑やかですか。(×)
87 「を」の品詞名を書きなさい。(間投助詞)
88 「かりほ」を平仮名で正しく書き改めなさい。(かりいほ)
89 「かりほの庵」は宮中の建物ですか。(×)
90 天智天皇は話者ですか。(×)
91 話者は男性ですか、女性ですか。(男性)
92 「ころもで」という語を含む枕詞を書きなさい。(ころもでに など)
93 天智天皇の住居が荒れているのですか。(×)
94 「ころもで」を現代語訳しなさい。
95 「袖」という語は古語辞典にありますか。(○)
96 字余りがあるのは何句ですか。(3句)
97 字余りのように定型詩のリズムをわざと崩すことをなんといいますか。(破調)
98 字余りにならないように3句を書き改めなさい。(とまあらみ)
99 破調を用いて、「とま」どんな様子を強調したかったのですか。(とまの荒れた様子)
100「かりほの庵」に住むことは嬉しいことだったのですか。(×)