百人一首で100発問を作る(5)おくやまに〜
”見開き2ページ100発問”の構想追試です。 ①100回音読 ②全ての語句の意味を辞書で調べる を行った後、100発問に挑戦し、向山先生が提唱された”短歌5つの授業パーツ”に即した発問をピックアップしました。

5.おくやまに紅葉踏分けなく鹿の声きくときぞあきは悲しき 猿丸大夫
上記の教材を用い、100発問を行った。
向山先生が『向山型国語教え方教室2008年8月号』で示された短歌の授業「5つの授業パーツ」は以下の通り。
① 読み方
② どこにいるのか
③ 全体の解釈
④ この短歌で、どの言葉が強調されているのか
⑤ 「この短歌」と「自分」との関係
100発問の後、「5つの授業パーツ」に即してピックアップした発問は以下の通り。
① 読み方
1 「紅葉」をどう読んだらよいですか。(もみじ)
② どこにいるのか
53 話者は「おくやま」にいるのですか。(×)
③ 全体の解釈
93 喜怒哀楽のうちどの心情を読んだ和歌ですか。(哀)
④ この短歌で、どの言葉が強調されているのか
74 話者の心情を示す語を書き抜きなさい。(悲しき)
⑤ 「この短歌」と「自分」との関係
38 声を聞くまでは悲しくなかったのですか。(×)
作成した百発問は以下の通り。
1 「紅葉」をどう読んだらよいですか。(もみじ)
2 「紅葉」の「もみじ」以外の読み方を書きなさい。(こうよう)
3 作者名を書きなさい。(猿丸太夫)
4 二つに区切って読むとしたら、どこで切りますか。(4句目)
5 形容詞が1つだけあります。書き抜きなさい。(悲しき)
6 「悲しき」の活用形を書きなさい。(連体形)
7 文末を連体形に変えるのはどのような法則によるものですか。(係り結びの法則)
8 係助詞を書き抜きなさい。(ぞ)
9 鹿が「かわいい」といいたいのですか。(×)
10 何を聞いたのですか。(鹿の声)
11 何が悲しいのか書き抜きなさい。(秋)
12 誰が悲しいのか書きなさい。(話者)
13 秋のはじめのことですか。(×)
14 誰がないたのですか。(鹿)
15 どのような時に「あきは悲しき」と思うのですか。(鹿の声を聞くとき)
16 季節はいつですか。(秋)
17 秋になく鹿は雄の鹿ですか、雌の鹿ですか。(雄)
18 ここでの鹿は牡鹿ですか、牝鹿ですか。(牡鹿)
19 話者は男性ですか、女性ですか。(男性)
20 鹿はどこにいるのですか。(おくやま)
21 鹿は鳴きながら何をしていますか。(紅葉を踏み分けている)
22 恋の和歌だと考えられますか。(×)
23 「紅葉」はまだ枝についているのですか。(×)
24 「紅葉」は散りきっているのですか。(×)
25 なんの声ですか。(鹿)
26 なぜ秋のはじめではないと言えるのですか。(紅葉が踏み分けられるのは秋の中頃以降だから)
27 「紅葉」は一種類ですか。(×)
28 「紅葉」は楓だけをさしているのですか。(×)
29 踏み分けている地面には何色の葉がありますか。(赤・黄・茶)
30 「奥山」は固有名詞ですか。(×)
31 「あき」を漢字に直しなさい。
32 「おくやま」を漢字に直しなさい。(奥山)
33 「奥山」と「山奥」ではどう違いますか。(奥山は奥の方の山、山奥は山の奥の方)
34 「おくやま『で』」に変えるとどう変化しますか。(鹿はずっと奥山にいることになる)
35 「鹿」は群れでいるのですか。(×)
36 秋の悲しさが嫌なのですか。(×)
37 複数の鹿が鳴いているのですか。(×)
38 声を聞くまでは悲しくなかったのですか。(×)
39 「秋」という言葉の持つイメージを書きなさい。(豊か・悲しい)
40 この和歌で詠まれているのは秋の豊かさですか、秋の悲しさですか。(秋の悲しさ)
41 紅葉は数枚散った状態ですか、どっさり散った状態ですか。(どっさり)
42 なぜどっさりだと言えるのですか。(紅葉を踏み分けているから)
43 「踏み分ける」という言葉を用いて短文を作りなさい。(雪を踏み分ける)
44 「とき」を漢字に直しなさい。(時・秋・刻)
45 もっともふさわしい「とき」を選びなさい。(時)
46 「なく」を漢字に直しなさい。(泣・鳴・啼)
47 落ち葉の合間に地面は見えていますか。(×)
48 話者に鹿は見えていますか。(×)
49 鹿は嬉しいことがあって鳴いているのですか。(×)
50 話者は鹿の声を聞きたいと考えていたのですか。(×)
51 「きく」を漢字に直しなさい。(聞く など)
52 耳をそばだてていたのですか。(×)
53 話者は「おくやま」にいるのですか。(×)
54 「ぞ」の品詞を答えなさい。(係助詞)
55 「ぞ」以外の係り助詞を書きなさい。(なむ など)
56 「ぞ」のここでの役割を書きなさい。(いくつかの中から特に取り立てて強調する)
57 「秋の悲しさ」を感じるのは和歌に書かれているような場面でのみですか。(×)
58 どんなときに「秋の悲しさ」を感じますか。意見を書きなさい。(北風に吹かれたとき など)
59 「おくやま」にあるもの、いるものを書き抜きなさい。(鹿 紅葉)
60 「紅葉」は散っている最中ですか。(×)
61 話者が紅葉を踏み分けたのですか。(×)
62 悲しいと思っているのは誰ですか。(話者)
63 鹿が悲しいと思っていたのですか。(×)
64 「声」は話者の声ですか。(×)
65 作中の人物は全部で何人いますか。(1人)
66 「あき」以外に季節がわかる語を書き抜きなさい。(紅葉)
67 「踏み分く」と「踏み入る」ではどちらが歩くのが大変ですか。(踏み入る)
68 踏み分け終わったからないたのですか。(×)
69 何をしながらないたのですか。(紅葉を踏み分けながら)
70 「声」を3字の現代語に直しなさい。(鳴き声)
71 この鹿に角は生えていますか。(○)
72 踏み分けたのですか、分けなかったのですか。(わけた)
73 「おく」とは「起く」ですか。(×)
74 話者の心情を示す語を書き抜きなさい。(悲しき)
75 鹿の動作を示す語を書き抜きなさい。(踏み分けなく)
76 話者の動作を示す語を書き抜きなさい。(きく)
77 「聞く」の主語を書きなさい。(話者)
78 「なく」の主語を書きなさい。(鹿)
79 「鳴く」と「泣く」ではどう違いますか。(前者は獣の鳴き声。後者は涙を出して声を立てずになくこと)
80 秋が悲しんでいるのですか。(×)
81 鹿が泣かなければ秋は悲しくないのですか。(×)
82 「やま」とはお寺のことですか。(×)
83 「やま」とはお墓のことですか。(×)
84 話者は鹿と一緒にいるのですか。(×)
85 鳥の声でも同じように悲しくなるのですか。(×)
86 なぜ、85のように言えるのですか。(「ぞ」があるから。いろいろな物の中で、特に鹿の声だという解釈になるから)
87 話者も紅葉を踏み分けたいと思っているのですか。
88 秋の悲しさはこの一瞬のことなのですか。(×)
89 初めて鹿の声を聞いたのですか。(×)
90 秋の悲しさを感じたのはこれが最初なのですか。(×)
91 風景を読みたかったのですか、心情を読みたかったのですか。(心情)
92 秋の悲しさを感じたのはこれが最初なのですか。(×)
93 喜怒哀楽のうちどの心情を読んだ和歌ですか。(哀)
94 話者と悲しみを共有している人物はいますか。(×)
95 朝の情景を詠んだのですか。(×)
96 一日のうちいつ頃を読んだのですか。(夕方)
97 「おくやま」によく人は立ち入りますか。(×)
98 「おくやま」は観光名所ですか。(×)
99 鹿は人里に来ているのですか。(×)
100鹿に話者は見えていますか。(×)